人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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麻生さんのルーツ

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2007/09/18 09:52

9月12日の安倍総理の突然の辞任表明を受けて、自民党総裁選挙が始まった。

立候補したのは、福田元首相の長男の福田康夫と、吉田茂元首相の孫の麻生太郎。小泉−安倍に続いて次の首相も世襲政治家となりそうだ。この2人、マスコミでは福田総裁誕生の可能性が高い、と言われているが、名字的には「麻生」の方が気になる。

麻生姓は全国順位でいうと700〜800位あたり。人口でも2万人はいそうだから、別に珍しい名字ではない。しかし、分布は九州北部と南関東に集中しており、その他の地域では、関西や秋田県などに若干ある程度のため、珍しいと感じる人の方が多そうだ。

麻生という名字は地名姓で、ルーツはいくつかある。一つは茨城県南部の麻生町(現在は行方市)をルーツとする桓武平氏の麻生氏。南関東の麻生さんのルーツはこれだろう。また、秋田藩は常陸出身の佐竹氏が藩主だったことから茨城をルーツとする名字も多く、秋田の麻生さんもこの系統。さらに愛知県にもそこそこいる麻生さんも、常陸系の一族の末裔であるなど、かなりの広がりがある。

一方、北九州には福岡県北九州市戸畑区と大分県宇佐市に「麻生」地名があり、それぞれ別系統の麻生氏が生まれた。麻生太郎氏は戸畑をルーツとする藤原北家宇都宮氏の支流の麻生一族の末裔で、明治以降、炭鉱経営で発展した麻生財閥の当主である。

この他にも、山口県美祢市の地名をルーツとする麻生氏があり、現在下関付近に固まっている麻生さんはこの子孫の可能性が高い。
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