今の時代は、SNSを使ったマーケティングが経営において非常に重要ですが、これまで本格的に乗り出してこなかった企業にとっては、若干のハードルがあります。安直にバズってる人・企業の真似をしたところでうまくいきません。そこで、SNSと相性のいい動画を軸として、後発企業でも逆転しうる「SNSマーケティングのやり方」を、『最速で結果を出す「SNS動画マーケティング」実践講座』(天野裕之著)より紹介します。

※本記事は上記書籍の内容を一部抜粋のうえ、編集したものです。

ビジネスに合うかつニーズがあるテーマを選択する

YouTubeやTikTok、Instagramのリールなど、SNSでの動画配信は、あなたのビジネスを知らない人に知ってもらえる大きなチャンスです。ただし、いざ動画配信をやってみよう! と思ったときに悩むのは、「どんなテーマで発信したらいいのだろう?」という動画の配信コンテンツ(内容)です。
 
実際には、動画のコンテンツを決める前にアカウント全体のテーマを決めます。そして、テーマを決める際に思い出してほしいことは「SNSを活用する目的」です。
 
あなたは何のためにSNSを活用したいと思ったのでしょう? 目的が明確化されれば、その目的に合わせてアカウント全体のテーマが決まります。さらに、配信する動画のコンテンツも絞られてきます。そうすれば、「ネタがない」「投稿内容がブレる」といった問題も解決します。

もう一つ、ここが大事な点です。動画を見た視聴者が「役に立った」「楽しかった」「勉強になった」「共感できた」「見て良かった」と思っていただける、あなたがユーザーに貢献できることは何か? ということです。この2つを見失わず、あなたのビジネスに合った動画配信のテーマを決めてください。

そこに、ビジネスのニーズはありますか?

動画配信するのなら「より多くの人に見てもらいたい!」と欲が出るものです。再生数は視聴者に動画を見てもらえた(表示された)しるしなので、配信を継続するモチベーションになります。

しかし、再生数を意識しすぎると“バズる”を狙うようになり、「今、流行っているもの」や「ウケが良いもの」を追いかけてしまいがちになります。「今流行っているから、このテーマなら再生数が上がるだろう」と自分のビジネスに関係ないテーマにしてしまうと、結果として、動画を配信する目的からそれていきます。

例えば、TikTokを始めようという人が、TikTokで“今流行っているもの”をリサーチし、「ダンスを踊っている動画の再生数が多い!」と感じた場合、「ダンスを踊る動画をつくろう!」と考えるかもしれません。しかし、ただダンスを踊っている動画は、あなたのビジネスに関係ありません。

ダンスが流行っていたとしても、ダンスはあなたのビジネスに求められているもの(視聴者からのニーズ)でしょうか? 「今、流行っているもの」でも、視聴者から求められていない貢献(ニーズのない貢献)は自己満足に過ぎず、視聴者のニーズからズレています。SNSを活用する目的に合わせてアカウントのテーマを決め、それに合わせて動画のコンテンツを考えるようにしましょう。

また、こんなケースもアカウントが伸びない一例です。自分のビジネスの内容で視聴者に貢献するつもりで配信していても、専門的過ぎる、マニアック過ぎるテーマを選んでいるケースです。

例えば、大工をやっていて、クギが大好きな人がいます。自分がクギが好きだからといって、TikTokのアカウントのテーマを「クギ」にして、動画のコンテンツをクギの形や種類、特性、保存方法、歴史、魅力などにしたらどうでしょう? あまりにもニーズが少なくて、伸びづらいアカウントになってしまいます。

それならば、ニッチ過ぎるクギに絞るのではなく、DIY(日曜大工)などでクギを使い、そのなかでクギが好きなことを話したり、「クギを愛する○○です!」のように登場したりしたほうが、アカウントを伸ばすことができます。

このように、テーマがニッチ過ぎて興味をもつ人が少ない動画は、どんなに頑張って作成してもフォロワー数や再生数は伸びません。伸びない、見られないということは、そこに「ニーズがない」ということです。初めに視聴者の需要があるかどうかを調べ、しっかりとテーマを決定するようにしましょう。

トレンドを取り入れる工夫は重要!

先ほど、トレンドが「ダンスを踊っている動画」だったとしても、あなたのビジネスに関係ない、ただダンスを踊っているだけの動画はNGとお伝えしました。ただし、トレンドを取り入れることは再生数を伸ばす重要項目と言えます。

どういうことかというと、トレンドの「ダンスを踊る」を配信動画のテーマとするのではなく、視聴者を引き付けるパフォーマンスとして取り入れるなら良いということです。

例えば、流行りのダンスを踊りながら、あなたのビジネスの商品を紹介するなら、視聴者を引き付ける視覚的にインパクトが残る動画になり得ます。また、関連させられるなら、大人気になり始めたアニメのキャラクターの言葉を見出しに使うと、再生数を伸ばすことができるでしょう。

このように、「どのようにトレンドを取り入れたら、ビジネスにプラスの効果をもたらすのか?」を考え工夫して動画をつくり、再生数を伸ばしていきましょう。

絶対NG! 間違えやすいSNS動画活用法

投稿を見たユーザーが「役に立った」「楽しかった」「勉強になった」「共感できた」「見て良かった」と思えるものを投稿し、ユーザーに貢献する。そして、ユーザーとの信頼関係の構築をSNSという“コミュニケーションツール”を活用して行います。ですが、多くの人がSNSを間違えて活用しているケースがあります。ここでは、SNSの3つの間違いやすい活用法についてお伝えします。

1つ目は、SNSを「広告宣伝ツールだと思ってしまう」ことです。「SNS動画をビジネスで活用しましょう!」とお伝えすると、「何を宣伝すれば良いですか?」「商品をどのように紹介すれば効果的でしょう?」などと尋たずねられることがあります。これは動画を含めた全ての投稿においてです。

このような疑問をおもちの方は、SNSを自分のビジネスの宣伝の場として捉えています。しかし、SNSは宣伝の場ではありません。SNSは、コミュニケーションツールです。私たちは“コミュニケーションツール”をビジネスに活用しているので、あくまでも他のユーザーとのコミュニケーションを楽しめる投稿が基本です。

企業や個人事業主の宣伝ばかりのアカウントを見かけることがありますが、よっぽど有名な企業や著名人でなければ、「宣伝」を見たいユーザーは少ないです。また、自分ではそんなつもりはないと思って投稿している場合でも、「それは宣伝です!」というケースもあるので気を付けましょう。

2つ目は「SNSはフォロワーを増やせば良いと思ってしまう」ことです。確かに、フォロワー数が多いほうがビジネスに繋がりやすくなります。ただし、これは「質が同等ならば」という前提付きです。

数年前は、フォロワー数が多いだけで企業から広告案件の依頼が届くことがありました。ですが、企業も広告の効果測定を行って検証を続けてきているので、現在は「フォロワー数が多ければ広告案件を依頼する」という企業はほとんどありません。なぜなら、フォロワーの質を確認したり、投稿に付いている、いいね数やコメント数、その内容を見れば、そのアカウントがきちんと運用されているかわかるからです。

相互フォローを狙ってむやみやたらにフォローしたり、自動フォローツールを使ってフォロワーを増やしたり、フォロワーを購入したりする行為は、アカウントの評価を下げてしまうだけです。

特に、自動フォローツールは楽に感じるし、それ自体が有料サービスなのでお勧めしてくる人や業者がいますが、これから動画を活用してSNSやビジネスを伸ばしたい人は、絶対に使わないようにしましょう。

最後に3つ目は、「バズらないと意味がないと思って目的を見失う」ことです。バズるとは、再生数が通常よりも爆発的に多くなることを指します。

SNSのショート動画はバズらせるためだけに作成すれば、バズりやすい仕組みになっています。私もTikTokでバズれるかどうか、実験的にサブアカウント(メインでないアカウント)を作成して運用しています。その結果、サブアカウントでは1 ヵ月目で1つの動画が100万再生を超えました。

ただし、私のビジネスとは関係ない内容のため、仕事には繋がりません。私の仕事がWEBマーケティングを活用した講座やコンサルティングのため、こういった検証を実験的に行いますが、通常なら時間のムダです。

ショート動画の作成は簡単だとしても、多少は時間がかかります。単にバズることを目指すのではなく、目的に合わせて活用しましょう。


著者プロフィール

天野裕之(あまの・ひろゆき)

MUB株式会社及びソラコマ株式会社 代表取締役。埼玉県戸田市出身。1995年3月、慶応義塾大学法学部政治学科卒業。埼玉県の市役所に11年間勤務した後、2007年にWeb広告業で起業。現在、東京六本木にて「売れるをつくる仕掛け人」として、SNSマーケティング会社を15期経営(2022年11月現在)。これまでに、Web広告、物販、オウンドメディア、飲食店経営、ソフト開発販売、SNS集客、Webマーケティング、そして、コンサルティング業務を行う。

起業初期は好調だったものの、事業拡大のタイミングで、コンセプトづくりや集客、売上アップの仕組みをつくる効果的なマーケティングがわからず、徐々に売上が減少。「このままでは社員やクライアントに貢献できない」と危機を感じ、SNSやマーケティングなどのビジネス塾及びコンサルティングに70以上、トータル4,200万円以上の自己投資を行う。現在も学びながら実践し、独自のノウハウを生み出し続けている。特に、業界の垣根を超える再現性の高さに定評があり、価値を高めて安く売らない「高価値マーケティング」で、270以上の個人事業主や企業の年商1,200万円~1.8億円増加を実現している。

また、2022年1月、ソーシャルコマースの学校及び企業支援を行うソラコマ株式会社の代表取締役に就任。ミッションは自身のSNSでも公言している通り、「周りを幸せにできる仲間を増やすこと」。