・よく知っていることを書く

たとえば、主張(核)が「インターネットの日を設けよう」なら、それを支える意見は、「インターネットは世界に大きく貢献したから」というようのものになるでしょう。この場合は、どう貢献したかを具体的にいろいろ書いて、意見を強力に支えることに注力すればいいのです。

「核を支えるもの」を書くときの注意点として、小野田さんは「よく知っていることを書く」ことを強調しています。確信が持てないことは、自信を持って述べられないからです。そして、自信の欠ける表現に説得力はありません。

「書き手の考えを示す」ためにやるべきこと

・「どっちつかず」は避ける

論ずる文章の「核」は、書き手の考えを示す「主張」でなければなりません。しかし、日本人は反論されることを避けるような表現をしてしまう傾向にあります。「主張」について、小野田さんは次のように記しています。

論文における主張とは

話題が、「AはBであるか否か」とすると、

「AはBである」、あるいは、
「AはBではない」

と述べるのが主張です。

「AはBか否か、わからない」では主張ではありません。
「AはBではないだろうか」(の質問)は主張ではありません。
「AはBか否か、検討が必要である」でも主張ではありません。
(76-77ページ)

例示されたような、肯定でも否定でもない「どっちつかず」な記述は日本人にとても多いので、無意識に使わないよう注意が必要です。

また、日本では「主張に自ら影を投げかける」ような書き方が広く使われています。それは「Aである。しかしBである」というような形ですが、よく以下のように使われます。

「たしかにAである。しかしBではないだろうか」
「なるほどAである。しかしBではないだろうか」
「いかにもAである。しかしBではないだろうか」

・「どうぞ反論してください」が基本姿勢

上記の例3つでは「Bである」という主張を弱めることによって、書き手は(無意識に)「Aである」という意見を持つ人からの反論を防ごうとしているのです。

「主張(である「核」)は全力で支えるべきで、支える力を弱くするのはまったくの間違いです」と小野田さん。

人の意見はそれぞれ異なります。したがって、あらゆる主張は反論を受けて当然なのです。反論を避けようとせず、むしろ「どうぞ反論してください」という基本姿勢でいると、反論を十分考慮したうえで理由(「核」を支える部分)を詳しく説明できるようになり、その結果意見に説得力が増します。

主張は自信を持って、堂々と書かなければならない。「伝えたいことが読み手に伝わるように書く」ためのとても重要なポイントです。