介護福祉士が行う介護

介護福祉士が実践する介護には、科学的根拠に基づいた専門知識・技術が備わっています。つまり、提供される介護実践のすべてにおいて、その方法で支援をする理由があるのです。利用者の心身の状況は一人ひとり違いますから、行われる介護の方法も一人ひとり異なるのは当然のことです。

介護福祉士は、利用者個人の心身の状況に応じて、何をどこまで支援すべきかを判断したうえで介護を行なっています。

介護福祉士のやりがい

『これから目指す人・働く人のための 3福祉士の仕事がわかる本』
『これから目指す人・働く人のための 3福祉士の仕事がわかる本』

介護福祉士の仕事内容は、利用者への身体介護だけでなく、多岐にわたります。利用者の日常生活を支えるための直接的な身体介護ももちろん重要ですが、介護には精神面での支援も含まれます。

また、利用者の家族に介護の技術的な指導やアドバイスをしたり、相談にものります。

介護福祉士は、利用者の暮らしや人生に直接関わり、生活を支える役割があるため責任も大きいです。しかし、利用者一人ひとりの状況に応じた適切な支援を行ない、その人らしさを尊重することで利用者の笑顔や生きる意欲を引き出すことのできる、やりがいのある仕事です。

また、利用者との関わりを通じて、自分自身が日々成長できることも魅力の1つです。

精神保健福祉士の魅力

すべての人々が精神的に健康で暮らせる社会をつくる

厚生労働省は、精神疾患の代表的な疾患である統合失調症は、糖尿病などと同様の慢性疾患であると考えています。事実、2011年に同省は、国が重点的に取り組むべき疾患としてがん、脳卒中、心臓病、糖尿病に精神疾患を加えて5大疾病としました。これにより、2013年度から医療法に基づき都道府県が作成する医療計画には、精神保健福祉に関する内容が盛り込まれることになりました。

これを契機に、統合失調症は患者を中心とする社会的入院者の問題、職場でのうつ病の増加やうつ病と休職・自殺との関連性、また、ひきこもりや、高齢化にともなう認知症患者、発達障害の増加など、さまざまな精神保健福祉に関する課題が社会的にクローズアップされ、近年、メディアで取り上げられることが多くなりました。今、精神保健福祉への社会の関心度はとても高くなっています。

“精神的な健康なくして健康なし”といわれるように、すべての人々が精神的に健康で暮らすための社会のしくみづくりが求められています。そのキーパーソンとして、精神保健福祉士への期待は高まっています。

100年抱えてきた人道的問題を解決するキーパーソン

「我が国十何万の精神病者はこの病を受けたる不幸のほかに、この国に生まれた不幸を重ねるものべし。精神病者の救済と保護は実に人道的問題であり、我が国目下の急務と言える」。今から約100年前に、日本の精神医学の父・呉秀三医師が残した有名な言葉です。

わが国には現在、1,066か所の精神科病院があり、約30万人の患者が入院しています。そのうちの約7万人は、条件が整えば退院可能な社会的入院者です。社会的入院は、呉医師の言葉を借りれば、人道問題です。その解消は、わが国が取組みべき急務の課題なのです。

その課題を解決するキーパーソンは、精神保健福祉士であるといっても過言ではありません。国は2003年度から精神障害者の「退院促進」をはじめました。現在では障害者総合支援法の相談支援事業の1つ「地域相談支援」として、精神科病院からの地域への移行支援への取り組みである「地域定着支援」を行っています。

「地域相談支援」では、精神保健福祉士の活躍が期待されています。


 
『3福祉士の仕事がわかる本』は、それぞれの資格の取得方法から、職場ごと(高齢者福祉施設、地域活動支援センターなど)の仕事内容までを丁寧にまとめた、これから目指す人、働く人にピッタリの1冊です。