①問う―目的

論文を書く時には、特定の課題を与えられている場合を除き、自分で問いを設定することが求められます。はじめに、問いをシンプルに一文で設定してみましょう。そのうえで、より具体的な問題となるように、内容を絞り込んでいきます。

②調べる―先行研究

先人の業績にささやかなオリジナリティを加えるのが論文の試みです。そのため、先行研究を適宜紹介し、引用していくことが必要になります。最近では、インターネットのおかげで先行研究の調査も容易になりました。

ただしその影響か、論文作成の際に絶対にやってはいけない剽窃(ひょうせつ)を何とはなしにやってしまう人が増えているようです。
 
先行研究をカギカッコをつけずに引用するコピー&ペーストなどの行為が発覚すると、場合によっては停学などの厳しい処分を受けるおそれもありますので、十分に注意しましょう。

③選ぶ―資料と方法

論文を書く際には調査してデータを収集しなければなりません。この調査には大きく分けて量的調査と質的調査があります。

量的調査は、実験やアンケート調査、質問があらかじめ決まっている構造化インタビューなどを通して、より多くのデータを集めて傾向を見るものです。それに対して質的調査は、フィールドワークなどの観察や文献調査、特定の質問を用意せずに回答者に自由に話してもらう非構造化インタビューなどによって行われ、重視されるのはデータの量ではなく質です。

両方の調査を実施するのが理想ですが、実際にはなかなか難しいでしょう。大切なのは、自分がどちらの手法で調査しているのかをはっきりと自覚して、それが自分が知りたいことを明らかにしてくれる手法なのかを、常に自問することです。

④確かめる―結果と分析

自分の立てた問いやそれに対する答えをまとめることができたのであれば、その正しさを証明するために、具体的なデータを使って分析し、結果を引き出すことが求められます。

この際、重要なのは段落の構成や図表を見やすくする工夫です。分析の結果をただ羅列するのではなく、分かりやすく整理・分類しておく、そのために図表にはそれぞれそれ個別にキャプション(タイトル)をつけておく、などといった工夫が求められます。

⑤裏づける―考察

上記の「結果と分析」で示されたデータについて、その意味を解釈し、理由を説明するのが「考察」の過程です。

研究の醍醐味が味わえる過程ですが、この段階で上記までの過程で得られたデータのみを頼って考察を行なうと、論文自体が根拠のないものになってしまうことにもなりかねません。

そのため、研究によって得られたデータとは別の、考察の手助けとなるデータの用意や、先行研究のデータとの比較の作業などが必要になることもあります。

⑥まとめる―結論

いままでに並べた「問う」「調べる」「選ぶ」「確かめる」「裏づける」の一覧の過程を要約したものが結論となります。結論だけでも十分に論文の主旨がわかるよう、独立したものとして書くように心がけましょう。



以上、論文・レポートの作成の際の6つの骨格のつくり方について、一通り見ていきました。本書では、そのほかにも、先行研究などの参照資料の調べ方、論文向けの文体、表記ミスや変換ミスを減らす方法など、論文・レポートを作成する際のポイントについて解説しています。

これから論文・レポートの作成作業に取り掛かろうとする学生はもちろん、「学び直し」したいビジネスマンの参考にもなる一冊です。