人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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大学野球選手権観戦記

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2007/06/18 09:28

12日から、神宮球場と東京ドームで大学野球選手権が開催され、早大が33年振りの日本一となった。高校野球の選手権大会と違い、昨年までは一部のファン以外にはあまり知られることもなく、ひっそりと行われてきたが、今年は早大の斎藤佑樹人気のため、テレビ中継までされるという人気振りだ。

とりあえず13日の神宮球場に行ったが、平日の上、早大が絡まないこともあって、球場は例年通りガラガラ。やはり、大学野球の人気が回復したわけではなく、「佑ちゃん」の個人的な人気のようだ。

さて、観戦の目当ては東洋大の大場と、奈良産大の桑原の2投手。いずれも、今年秋のプロ野球ドラフト会議で注目の選手で、特に大場投手は希望枠があれば争奪戦となったであろう投手(今年から希望枠は廃止)。

ここでは、選手の評価などはさておくとして、東洋大には気になった選手がいた。もちろんプレーぶりではなく名前で、5番指名打者の「十九浦」選手だ。場内アナウンスでは、「つくうら」と呼ばれていた。

この名字はたいへん珍しく、埼玉県の桶川市などにごくわずかしかない。十九浦選手は千葉県の八千代松陰高出だが、私立高校なので、出身は埼玉かもしれない。

この名字、一見しただけでは、「とくうら」から変化したように見えるが、おそらく「つづうら」が元だろう。というのも、古語で「十九」と書いて「つづ」と読んだことがあるからだ。実際、名字でも「十九百」で「つづお」と読む名字があったりする。しかし、「十九浦」で「つづうら」と読むのはあまりに難しい。そこで、「九」の漢字の影響で「つくうら」と変化したものではないか、と考えている。
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