人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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高校野球シーズンが開幕

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2007/06/12 09:43

6月8日、全国のトップをきって沖縄県で高校野球沖縄大会の抽選があり、今年もいよいよ高校野球シーズンが開幕した。

裏金疑惑や、特待生問題で大きく揺れる高校球界だが、実際にプレーする選手達にとってはそんなことは関係ない。深紅の大優勝旗を目指すチーム、甲子園出場を目標とするチームだけではなく、県大会ベスト8が目標、あるいは予選の1勝が目標と、チームによって目指すものはさまざま。しかし、どのチームでも3年生にとっては、この夏の大会が最後の大会であることには変わりがない。敗れた時点でチームは解散することになる。

さて、沖縄大会では、4校がシードされた。大本命の中部商が第一シードで、続く第二シードは豊見城高。ところで、この高校の名前が正しく読めるだろうか。

ある程度以上の年齢で、野球に興味のある人だと、当然のように「とみしろ」と読む。昭和50年代のはじめ、豊見城高は甲子園の常連校として活躍、好投手・赤嶺投手や強打の石嶺捕手などを擁して、沖縄の高校野球を全国のトップクラスにまでおしあげた。

しかし、野球に興味がなく、沖縄の地名に詳しい人だと、なんの疑いもなく「とみぐすく」と読むに違いない。なぜなら、豊見城高のある豊見城市は「とみぐすく」と読むからだ。

本土の「城」にあたるものを沖縄では「ぐすく」といい、地名や名字でも本来は「城」と書いて「ぐすく」と読んだ。しかし、現在では、「しろ」と読むことが一般的で、「ぐすく」と読むことは少ない。特に名字では「ぐすく」と読むことはほとんどないのではないだろうか。豊見城高は、地名と高校の読み方が一致していない珍しい例なのだ。

こういった高校野球のトリビアを含め、12日よりasahi.comにて「高校野球マスター養成講座」を連載します。ぜひご覧ください。
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