人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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サッカーU−22メンバー発表

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2007/05/28 09:10

24日、日本サッカー協会がU−22の代表メンバー候補22人を発表した。主力組がおらず、新顔が7人という新鮮なメンバーだったことが話題を呼んでいる。

さて、こに中に気になる名字の選手がいる。それは鹿島のMF興梠慎三選手だ。「興梠」という名字は、ほとんどの人が珍しいと感じるはずだ。読めない人も多いに違いない。確かに全国的にみれば稀少な部類だが、宮崎県では割と普通の名字で、県順位は60位前後。熊本県との県境に近い、高千穂や五ヶ瀬ではメジャーな名字で、県境を越えて、熊本県の阿蘇南部のあたりまで広く分布している。興梠選手は宮崎市出身のようだ。

この名字、読み方も難しい。一般的には「こうろぎ」だが、興梠選手は「こうろき」と濁らないらしい。また、ルビを振る場合、「こおろぎ」と、「う」でなく「お」を使う人もいる。かつて、ある書籍で「興梠」に「こうろぎ」とルビを振ったところ、「興梠」さんから苦情が来たことがある。いわく「虫じゃないんだから、読み方は“こおろぎ”にしろ」と。しかし、虫の方こそ“コオロギ”だと思うのだが。実際、難読名字のふりがなは難しい。最終的には、本人が主張すればそれが正しい、ということになる。

まあ、どう読もうともルーツは同じで、「梠」とは「軒」の意味。従って、「興梠」とは、「軒のあがった家」を指すといわれている。つまり、かなり立派な家に住んでいたことだけは間違いなさそうだ。
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