人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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愛称は茨城

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2007/01/22 09:18

17日の茨城県の新聞に、「愛称が茨城空港に決定」という記事があり、一瞬目を疑った。「では、本名は何?」。しかも、所在地が小美玉市とあり、これもどこだかよくわからない。

平成の大合併以前は、日本の市については、読み方や大まかな場所はすべて把握していた。合併が始まった当初はなんとか把握していたものの、さすがに途中でついていけなくなり、現在では、読み方や県名まではなんとか覚えているが、具体的な場所はよくわからない市が多い。

さて、小美玉市とは霞ヶ浦の北側にあり、「おみたま」と読む。小川町・美野里町・玉里村の3町村が合併したことから、それぞれの先頭の漢字をとって「小美玉」としたもの。そして、茨城空港とは官民共用に改造中の航空自衛隊百里基地の飛行場のことだった。

最近は、愛称のような本名が多い。栃木の「さくら市」や群馬の「みどり市」の他、茨城県には「つくばみらい市」という信じられない名前の市もある。公共施設でも、部外者には何の施設だかさっぱりわからない名前のものも多い。

愛称というからには、開港後も正式には百里飛行場のままなのだろう。もともと百里基地にある飛行場を一般にも開放するだけなので、正式名称は変えないはずだ。といって、百里空港ではどこにあるかわからない。近年地方空港の経営も厳しく、所在地のよくわからない空港では集客は難しい。

「茨城」を選んだ最大の理由は、利用者に誤解を与えないため。たとえば、ひらがなの「いばらき」だと大阪の「茨木」と間違えるかもしれないという理由で採用しなかった。

利用者のことを考えた結果の「愛称は茨城」。安易な横文字やひらがなを多用した今日の風潮に一石を投じるものだろう。
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