人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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亥のつく名字

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2006/12/25 10:21

 2006年も、残すところあと僅か。1週間すれば、新年を迎えることになる。そこで、恒例により、来年の干支に因んで「亥」で始まる名字をみてみたい。

 とはいったものの「亥」で始まる名字は少ない。「亥角」(いすみ)と「亥野」(いの)が、兵庫県西宮市付近を中心に大阪から京都市付近にかけて点在しているくらいだ。世帯数はともに30世帯ほどで、かなり珍しい部類に入る。その他では、関東から東北南部に点在する「亥飼」(いかい)や、岩手県と青森県の県境付近の「亥ノ瀬」(いのせ)という名字もあるが、これはさらに少ない。
 「亥野」や「亥飼」「亥ノ瀬」は、おそらく「猪野」や「猪飼」「猪瀬」などの漢字が変化したもの。「亥角」は、「猪角」の方が少ないことから漢字の変化でなく、亥の方角(北北西)をルーツとする方位姓ではないだろうか。

 では、「猪」のつく名字で一番多いのは何か、というと、「猪狩」(いがり/いかり)が一番多く、次いで「猪野」(いの)と「猪瀬」(いのせ)。いずれも全国順位1500位前後の名字で、ポピュラーな名字の一つといえる。「猪狩」は福島県の名字で、いわき市に非常に多く、「猪野」は関東と四国、それに宮崎県に多い。「猪瀬」は栃木・茨城が本場だ。
 この3つに続いては、福岡県の「猪口」(いのぐち)や、名古屋市付近に集中している「猪飼」(いかい)、広島・岡山両県の県境付近の「猪原」(いのはら/いはら)が多く、ここまでが一般的な名字といえる。
 普通、「猪」のつく名字というと、真先にあがるであろう「猪木」は意外と少なく、岡山を中心に400世帯程、全国順位も6000位以下で、どちらかというと珍しい部類に入る。
 「猪」のつく名字は、東北から九州まで各地に分散しているが、日本海側には少ない。イノシシは足が短くて雪かきが苦手なため、本来日本海側には生息していなかったといわれており、これを名字の上からも知ることができるのだ。
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