人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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境港の妖怪検定

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2006/10/10 10:09

 10月8日、鳥取県の境港市で「第1回境港妖怪検定」という催しが行われた。
 これは、境港市観光協会の発行した「水木しげるロードの妖怪たち II」をテキストとして、日本に伝わる妖怪たちの、名前・出身地・説明等に関して出題された問題の知識度を測り、“妖怪博士”の称号を与えるもの。最近各地で行われている、“ご当地検定”の一つだ。

 なぜ妖怪が境港のご当地か、というと、妖怪漫画の第一人者・水木しげるの出身地だからだ。水木しげる本人は大阪の生まれだが、実家は境港の回船問屋。母方の曽祖母は米子の町長をつとめたという、裕福な家の生まれである。

 境港市は鳥取県西部、弓浜半島の先端部に位置する、わずか28k?しかない小さな市で、市の標高は2メートル前後という、日本では珍しい砂浜上の市である。平成の大合併でも隣接する米子市に編入されることなく、単独で市制を続けている。
 この小さな境港が独立してやっている理由は、その名の通り、西日本を代表する漁港だからだ。しかし、平成元年には67万トンを超えていた漁獲高も、昨年はわずかに9万5000トン。とくに50万トン以上もの水揚げのあった鰯が、ここ数年間はわずかに1万トン強しかなく、漁業にたよる経済では苦しくなる一方。

 そこで、地元出身の水木しげるを全面に押し出した町づくりをしている。水木しげる記念館を建設し、JR境港駅から記念館のあいだは“水木しげるロード”として、数々の妖怪のオブジェを飾り、町全体を妖怪の町として売り出しているのだ。
 8日の妖怪検定には、北は北海道から南は沖縄まで421人もの人が受験、主催者の予想を大きく上まわる大盛況となり、まずは成功したといえる。

 ちなみに、「境港市」は「さかいみなとし」と読むが、港の名前である「境港」は「さかいこう」。JR境線の境港駅は「さかいみなとえき」である。妖怪博士となったみなさんは、ご存知だろうか。
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