人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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飯田線秘境駅探訪 その2

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2006/09/11 11:20

 大嵐駅を出ると、次がいよいよ目的の小和田(こわだ)駅だ。


 小和田駅は参遠信国境(愛知・静岡・長野県境)の山中の斜面に張りついており、牛山隆信著「秘境駅へ行こう!」でも、本州一と認定されている秘境駅中の秘境駅。ホームのすぐ下には、佐久間ダムによって川幅の広がった天竜川が流れている。


 ホームの端には小さな駅舎と改札口があるが、その外にはまともな道がない。登山道が一本あるだけで、車はおろか自転車も入ることはできないだろう。もちろん、近くには人家は全く見えない。なんでも20分ほど歩いた所に1軒だけ家があるそうだ。


 こんな小和田駅だが、かつて多くの人で賑わったことがある。それが、平成5年の皇太子ご成婚の時である。駅名が雅子さまの名字と同じ(読みが違うが)ことから、全国から多くの人がこの秘境駅を訪れた。ここで結婚式をあげたカップルもあるという。

 ところで、この小和田駅と、雅子さまの実家の小和田家は関係があるのだろうか。「小和田」という名字には「おわだ」「こわだ」「こわた」と3通りの読み方があり、北関東から静岡県にかけて多い。読み方は、関東では「こわだ」が多く、静岡県では「おわだ」が主流。トータルすると「こわだ」の方が多そうだ。


 雅子さまの実家の小和田家は越後村上藩士の出だが、その先祖ははっきりしない。しかし、藩主の村上家は村上に移る前は駿河田中藩主だったことから、小和田家も藩主とともに今の静岡県から移住してきたと考えられる。
 小和田駅は今では「こわだ」と読むが、静岡の「おわだ」姓とは関係がありそうだ。そして、村上藩士の小和田家のルーツもこのあたりである可能性が高い。
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