人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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カイザースラウテルンってどこ?

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2006/06/12 09:04

 いよいよW杯が始まった。今日12日の夜には初戦のオーストラリア戦がある。会場となるのは、ドイツ南西部の都市カイザースラウテルン。今回のW杯で会場となる都市はドイツ全土で12の都市。ハンブルグやミュンヘンなど大都市ばかりだが、その中で、全く一般になじみのないのが、このカイザースラウテルンである。
 カイザースラウテルンには、ブンデスリーガの著名なクラブがあるため、ヨーロッパのサッカーに詳しいファンの間では知っている人もいるが、サッカーファン以外で人口がわずか10万人にも満たないこの地方都市を知っている人は皆無に近いのではないだろうか。ネットで検索すると、「カイザースラウルテン」となっているサイトも引っかかる。
 カイザースラウテルンは、フランスとの国境に近いラインラント=プファルツ州の古都で、第一次対戦後には、一次フランスの行政下に置かれたこともある。
 カイザースラウテルンの地名のルーツは、このあたりを流れているラウテルン川で、この町も、もともとは単に「ラウテルン」と呼ばれていた。その後、12世紀に神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世(通称バルバロッサ)が城を築いたことから、皇帝(カイザー)にちなんで、「カイザースラウテルン」と呼ばれるようになった。従って、この長い地名を省略する時は、「カイザース」ではなく、「ラウテルン」というのが正しいはずだ。(若干意味合いが違うが、「大和郡山」を「大和」と略すのはおかしいですよね?)
 日本人になじみのない小都市だが、実は町には日本庭園があり、文京区と姉妹都市の縁組みをするなど、日本との関係も意外と深い。サッカーの試合は観客を味方に引き入れることも大きな要素。この古都の住民にとっては、オーストラリアよりも日本の方になじみがある可能性が高い。日本からはるばる出かけたサポーターには、市民を巻き込んだ応援を期待したい。
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