人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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韓国の「李」選手のこと

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2006/03/06 10:41

 3日から行われた、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。サッカーのW杯と同じように、プロを主体として“国別”の世界一を決めようという試みである。今までにも何度も検討されながら実現しなかったが、今回は米国大リーグ機構(MLB)の主導で開催にこぎつけた。時期がシーズン開幕直前ということもあって、各国で辞退する選手が続出しているものの、ともかくアジア地区で歴史的な第一歩を踏み出した。
 東京で行われたアジア地区の一次予選では、日本と韓国が圧倒的な強さで2次リーグ進出を決めた。最終戦では惜しくも韓国に逆転負けして2位となったものの、とりあえず来週からアナハイムのエンゼルス・スタジアムで始まる2次リーグには出場できる。
 さて、5日の試合をみた人は気がついたと思うが、韓国のメンバーにはやたら「李」選手が多かった。1番がLGで首位打者もとった李炳圭。2番が元中日の李鍾範で、3番は今オフに巨人に移籍した李承ヨプ。さらに5番がSKの李晋英で、6番がハンファの李机浩。実にチームの過半数が「李」選手で、ポジションでいえば、一三塁と外野がすべて「李」さん。
 アジア予選に参加している4ヶ国はすべて中国文化圏の国。いいかえれば漢字圏の国で、名字も漢字で書くことができる。しかし、中国チームでは王や張、台湾チームでは陳や張が目立つものの、それほどたくさんいるわけではない。日本代表では和田選手が2人いるだけだ。
 ちなみに、韓国では国が名字の調査を行っている。その結果によると、名字の種類はわずかに274種。一番多いのは「李」ではなく「金」で、実に人口の2割近くを占めている。「李」は「金」に続いて第2位の名字。実際、韓国代表でも一番多い名字は「金」なのだが、「李」選手が軒並み試合に出ているため、多く見えているのだ。
 ところで、最近「李」を「イ」と読むことが日本でも定着してきた。かつて、李承晩大統領(古い!)は「リ・ショウバン」と言っていたが、今では「イ・スンマン」とルビをふるのが普通。「李」という名字のアルファベット標記は通常「Lee」。これだと「リー」になるはずなのだが、韓国では頭音の「L」は発音しないため、「イ」となるのだ。同じように、「林」(Lim)という名字は「イム」と発音する。
 名字というのはその国固有の文化。こうした、ちょっとしたことを理解することが、相互理解の第一歩となるような気がする。
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