人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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海老の背に乗った空海

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2015/01/26 10:15

群馬・埼玉・茨城3県の交わる県境のうち、埼玉県側は加須市で、地名は「小野袋」という。この「袋」というのは、蛇行する川に囲まれた袋状の地形に使われる地名で、この付近には他にも「袋」のつく地名がある。

加須市といっても、平成の大合併の前は北川辺町で、湖岸にある道の駅も「北川辺」。ここの名物はなまずの天ぷらである。



なまずの天丼


白身の大ぶりな天ぷらで、川魚独特の癖も少なく、あっさりとした味。道の駅からさらに北に行くと栃木県に入る。この付近の地名は群馬県板倉町海老瀬である。

この海老瀬という地名には、由来にまつわる伝説がある。平安時代初期、弘法大師(空海)が二荒山参詣でこの地を訪れた際、渡良瀬川を超えるのに船がなくて困っていると、大きな海老が現れて空海を背に乗せて対岸まで運んだことから、「えびせ」という地名になったというのだ。



海老瀬川


もちろんこれは後付けの由来譚だろう。「海老」というのも、蛇行する川の流れを海老にたとえたもので、「袋」と同じ由来の地名と考えられる。

利根川を下った取手市付近には「海老原」「蛯原」という名字も多く、これらの名字も利根川の蛇行に由来するものだろう。
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