人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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甲府界隈(3)三条夫人の墓

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2014/11/17 11:22

武田神社の東方、甲府市岩窪町の円光院には武田信玄の正室三条夫人の墓がある。



三条夫人の墓


この寺は、もともとは信虎以前の武田氏が本拠があった笛吹市石和にあり、清光寺という名前だったが、信玄によって甲府に移され、三条夫人の院号が円光院だったことから、円光院に改称したという。



円光院


三条夫人は三条の方ともいい、信玄の正室(継室=後妻)。公家三条家の出であることから三条夫人と言われ、本名はわからない。三条家は公家の中でも清華家と呼ばれる摂関家に次ぐ高い家柄で、戦国大名の中でも甲斐源氏の嫡流である武田家の家格の高さを物語っているといえる。

武田信玄には他にも何人もの側室がいたが、一番有名なのが勝頼の実母である諏訪御料人だろう。新田次郎「武田信玄」では湖衣姫、井上靖「風林火山」では由布姫として登場するが、実際には諏訪頼重の娘であることから諏訪御料人と呼ばれるだけで、実名はわからない。

この他にも国人禰津家の出の禰津御料人、武田庶流の油川氏の出の油川夫人などがいるが、いずれも名はわからず実家の名字で呼ばれている。この時代、名門武田氏ですら、女性の実名がわかることはほとんどない。
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