武田信玄のルーツ

著者プロフィール

森岡　浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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武田信玄のルーツ

2014/05/12 11:49

連休中、少し足を延ばして茨城県ひたちなか市を訪れた。上野駅から常磐線の特急スーパーひたちに乗って１時間ほどで勝田駅に到着する。ここはかつて勝田市だったが、平成の大合併に先駆けて隣接する那珂湊市と合併し、ひたちなか市となった。その後全国に続々と誕生する、ひらがな市名のはしりでもある。

勝田駅を降りて南に15分ほど歩いたところが、ひたちなか市武田である。ここが武田信玄のルーツの地だ。
武田氏は山梨県がルーツと思っている人が多い。確かに、武田氏は甲斐源氏の嫡流で、鎌倉時代から戦国時代まで400年近く甲斐国を支配していた。しかし、武田氏は新羅三郎といわれた源義光の子義清が、常陸国吉田郡武田郷に住んで武田冠者と称したのが祖である。その後、義清とその子清光が甲斐国巨摩郡市河荘(山梨県西八代郡市川三郷町)に流され、そのまま甲斐に土着して甲斐武田氏となったものだ。

ひたちなか市武田には武田氏館という施設がある。無料の施設にもかかわらず、周辺には多数の案内板があり、施設の入口には人が常駐しているという力の入れようだ。しかし、この建物は復元ではなく、ふるさと創生事業で当時の一般的な武士の館を参考に建てたものらしい。
それでも当時の武士の館の再現という意味では貴重なものといえる。

武田氏館

武田氏館の案内