人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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岩国高校の「二十八」選手

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2014/03/24 10:13

今年も21日から甲子園球場で春の選抜高校野球大会が始まった。

開幕試合で戦ったのは鹿児島県の神村学園高と山口県の岩国高。この岩国高の4番打者に「二十八」という名字の選手がいる。
大学野球や社会人野球に詳しい方だと、この「二十八」という名字には見覚えがあるかもしれない。中央大学で主将をつとめ、現在はNTT東日本で活躍している二十八貴大選手がいるが、選抜に出場している二十八智大選手はその弟である。

数字だけの名字にはいろいろあるが、「二十八」という名字は数も少なく読み方も難しい。なにしろ、「二十八」と書いて「つちや」と読むのだ。

古語で「十」のことを「つづ」といった。ここから「つづやはたち」(10や20)という言葉が生まれたが、やがてこの言葉の意味は「19か20」に変化し、従って「つづ」という言葉も「十」から「十九」に変わってしまった。そして、「つづ」はさらに「20」という意味に誤用されるようになったのだ。

つまり、「二十八」とは「つづや」で、そこから「つちや」となったと考えられる。おそくら、元は「土屋」か「土谷」で「つちや」という名字だったものが、漢字を「二十八」と変えたものだろう。

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