人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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渋谷の由来

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2013/03/25 10:21

先週、東急渋谷駅について書いたので、今週も渋谷について。

渋谷の街は、地下鉄銀座線の駅がビルの3階にあることでもわかるように、谷間の地形である。従って、「渋谷」という地名も納得できるのだが、もともとは渋谷という地名でなかった。実は、渋谷という地名は名字に由来しているのだ。

平安時代後期、渋谷は「谷盛」という地名であったとされている。その後、神奈川県大和市の渋谷(今の小田急線高座渋谷駅付近)に住み、その地名をとって「渋谷」を名乗っていた一族が新たに谷盛の地を領地としたために、その名字をからここが渋谷という地名になったいわれている。

一族には、源頼朝に仕えた渋谷金王丸という武将がおり、渋谷駅東側の金王坂や、その南側にある金王八幡宮は、渋谷金王丸に由来するものだ。



金王坂の碑



金王八幡宮


金王八幡宮は渋谷氏の祖渋谷重国の祖父に当たる河崎基家が建立したもの。境内にはある金王桜は源頼朝が渋谷金王丸のために鎌倉から移したといい、渋谷区の天然記念物に指定されている。

春分の日、渋谷駅のすぐそばとは思えない静かな境内では金王桜がソメイヨシノより一足早く満開になっており、途切れることなく参拝者が訪れていた。



金王桜
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