人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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佐藤さんは社長になりやすい?

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2011/08/29 10:32

25日、東京商工リサーチがユニークなデータを発表した。

同社の持つ全国約233万件の会社代表者データのうち、一番多い名字は「佐藤」で31,910社だったという。2位が「鈴木」、3位は「田中」。

これをみると、いかにも佐藤さんは出世する人が多そうだが、1位「佐藤」、2位「鈴木」というのは全国の名字ランキングと同じ。つまり、単純に人口が多いから社長さんも多い、というだけにすぎない。

しかも、社長に占める佐藤さんの割合は1.3%。全国の佐藤さんの比率は約1.5%なので、むしろ、佐藤さんの占める割合は低いともいえる。これにも理由がある。全国の会社の多くは関東や関西に集中している。一方、佐藤さんは圧倒的に東北に多い。つまり、母集合の偏りが反映されていると考えていいだろう。

この調査では一番多い同姓同名も発表している。それによると「鈴木茂」と「佐藤誠」が同数で1位。以下、「鈴木隆」「田中博」の順だという。電話帳では最多が「田中実」で、以下「鈴木茂」「鈴木実」「佐藤清」なので、こちらはかなり違っている。

この違いは、おそらく年代の違いだろう。名字と違い、名前は年齢によって多いものが違っている。「誠」という名前は年配者にはそれほど多くなく、おそらく社長さんの方が電話帳登録者よりも年代が若いのではないだろうか。
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