人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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別所温泉の「別所」

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2011/08/22 10:19

塩田平は別所温泉で有名だ。

別所温泉は塩田平の一番奥まったところにあり、上田電鉄の終着駅が別所温泉駅。駅前から山に向かって温泉郷が広がり、多くの温泉宿が軒を連ねている。

今回泊まった旅館花屋は老舗のひとつで、広い敷地に建物が点在しており、渡り廊下を渡って部屋に入るというぜいたくな造り。

温泉の名称にもなっている別所とは、実は一般名詞である。本来は大寺院が領主のいない地域などに造った施設のことで、比叡山延暦寺の黒谷別所や、高野山金剛峯寺の東別所が著名。別所温泉では常楽寺が塩田別所と呼ばれていた。

こうした施設はやがて末寺化して、「別所」という名称も廃れていくが、信濃の別所と、播磨の別所(兵庫県姫路市)は有名。

とくに播磨の別所には赤松氏の一族が割拠して別所氏を称し、戦国時代には播磨を代表する戦国大名となっていた。豊臣秀吉の中国攻めで嫡流は滅亡したが、一族は秀吉に仕えて残り、江戸時代初期には丹波綾部藩2万石の藩主であった(のち改易されて旗本となる)。

別所温泉は上田電鉄と協力して温泉と鉄道の維持につとめており、駅からは電車の到着に合わせて無料の温泉宿巡回バスも出る。東京駅から新幹線と鉄道で約1時間半、手頃な温泉宿だ。




安楽寺の北向観音



修理中の国宝安楽寺八角三重塔
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