人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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日本の中央にある神社

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2011/08/09 09:57

海野宿のあとは上田から上田電鉄で塩田平に出た。長野県では盆地のことを「平」と呼ぶ。たとえば、長野市のあるあたりが善光寺平、安曇野あたりが安曇平といわれる。塩田平とは、上田市の南西に広がる盆地で、江戸時代には塩田三万石と呼ばれていた。

また、鎌倉時代に執権北条氏の一族がこの地に住んでいたことから、国宝・重文などの寺社が多く残り、戦後この地域は「信州の鎌倉」とも呼ばれるようになった。その中心にあるのが、生島足島神社である。このちょっと不思議な名前は、生国魂大神(生島)、足国魂大神(足島)の両方を祀っていることに由来する。



生島足島神社


東急電車の古い車両を走らせている上田電鉄を下之郷駅で降りると、目の前から参道が始まる。参道には「生島足島神社」と書かれた大きな石碑があるのだが、その上に小さく「日本中央」と書かれている。なんでも日本のちょうど中央に位置するらしい。



日本中央の石碑


それはともかく、この神社の由緒は古い。諏訪大社の建御名方富命(たけみなかたとみのみこと)が諏訪の地に下降した際、すでに塩田平には生島・足島両神がいたという。平安時代につくられた『延喜式』でも諏訪大社とともに「大社」とされており、古くから有力な神社であったことがわかる。

また、もう1つの特徴は、社殿が池の中に浮かんでいること。ちょうど城の周りに濠を巡らしているように社殿の回りに堀があり、神橋を渡って本殿に行くようになっている。
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