人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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大河ドラマ「江」

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2011/01/11 10:59

今年の大河ドラマの主人公は「江」。といっても、ほとんどの人はどういう人物なのかわからないのではないだろうか。

大河ドラマの主人公に、一般的に無名の人物を配することは珍しいが、2008年に放送されて高い視聴率を誇った「篤姫」も、ドラマが始まるまでは無名だったので、今後の展開次第では「江」も著名人の仲間入りするかもしれない。

さて、「江」の生涯はよくわからないことも多い。そもそも名前も、これまでは「小督」という名前で登場することも多かった。人名事典では法名の崇源院という名前で収録されていることが多い。

江の特徴は、その縁戚関係にある。なにしろ、伯父が織田信長、義兄(姉の夫)が豊臣秀吉、義父(夫の父)が徳川家康なのだ。戦国の三英雄をすべて身内にした人物はあまりいない。

しかも、それだけではない。徳川三代将軍家光は実子で、第109代明正天皇は孫にあたる。つまり、江戸初期において、将軍と天皇はともに江の血筋だったのだ。ただし、女性天皇であった明正天皇は結婚せず、現在の天皇家とはつながっていない。

結果的にみると栄華を極めた江だが、そこにたどり着くまでは数奇な運命をたどった。

生まれた直後に小谷城が落城、12歳で佐治一成に嫁いだ後、3度の結婚。実父は織田信長、再婚した実母は豊臣秀吉に敗れて落城で自刃し、自らは両親を滅ぼした相手に養育されるなど、波乱万丈の人生を送っている。

そもそも、徳川秀忠と結婚したときはまだ豊臣秀吉が健在で、秀忠が2代将軍となるとは考えられなかったはずだ。

第1回放送は急な展開で小谷城の落城までが語られた。次回からはいよいよ江が主役となる。
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