人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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W杯代表選手の名字をみて

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2010/05/11 09:55

10日、サッカーの南アフリカW杯代表メンバーが発表された。選ばれたのは、4回目のW杯となる、川口・楢崎両選手をはじめ23人。うち15人が初出場とフレッシュなメンバーだ。

本ブログでは、この人選については言及するつもりはない。いつものように、メンバーの名字に注目してみよう。

一目見て言えるのは、きわめて普通の名字が多いこと。たとえば、名字ランキング第4位の「田中」や、第8位の「中村」(2人)をはじめ、ベスト250までの名字が14種類15人もおり、全体の65%を占めている。野球の日本代表を選ぶと、もっと珍しい名字が続出するような気がする。

さて、23人のうち全国順位が5000位以下の“珍しい名字”は、「駒野」と「岩政」の2人。「駒野」は5000位台で、「岩政」は9000位台だ。

一番珍しい「岩政」は、山口県の名字で周南市以東に集中している。柳井市新庄には古くから岩政氏がいたことが知られ、室町時代には幕府の医官をつとめていた。室町幕府の滅亡で帰郷し、江戸時代には地元新庄の庄屋だった。今でも「岩政」姓は柳井市に多く、この末裔と考えられる。

岩政選手の出身は柳井市の沖にある周防大島。やはり、柳井の岩政氏の一族だろう。
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