人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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上村愛子選手の名字

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2010/02/15 10:57

バンクーバー冬季五輪が、日本時間の13日朝に始まった。一部競技は開会式前から予選が行われており、14日朝には、上村愛子選手のメダルが期待された、女子モーグルの決勝があった。

あと2人という時点まで2位に入っていたが、カナダのハイル、米国のカーニーに連続して上回られて惜しくも4位。過去の五輪で7位→6位→5位と順位をあげてきたが、4回目の今回も惜しくもメダルには一歩届かなかった。

さて、「上村」という名字には「うえむら」と「かみむら」の2つの読み方がある。どちらが多いかわかるだろうか。正解は、ほぼ半々だが、若干「うえむら」が多い。

「上村」は新潟と熊本に多い。面白いのは、新潟では圧倒的に「かみむら」だが、熊本ではほとんど「うえむら」。そのため、東日本では「かみむら」が多く、西日本では「うえむら」が主流。

上村愛子は長野県の白馬村の出身。新潟県のとなりの長野県では当然「かみむら」が多いのだが、上村愛子の名字は「うえむら」と読む。実は、上村愛子の生まれは兵庫県の伊丹市なのだ。関西では7〜8割が「うえむら」なので、上村愛子が「うえむら」と読むのはごく当然なのだ。

ちなみに、「上村」の読み方にはさらに不思議なことがある。「かみむら」が多い東日本でも、東北北部や北海道では「うえむら」が多く、「うえむら」が主流の西日本でも宮崎や鹿児島では「かみむら」が多い。ともに、最先端では読み方が逆転するのだ。

残念ながら、なぜこういう不思議な分布になっているのかはわからない。まだまだ名字には謎が多い。
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