人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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飯能市史「地名・姓氏編」

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2008/05/26 11:22

先日、資料調査をしていて、埼玉県飯能市が出している「飯能市史」の資料編に、「地名・姓氏」という巻があることに気がついた。県史はすべてチェック済みだったが、さすがに膨大にある市町村史まで、各巻の詳細までは把握しきれていない。

「県史」レベルでは「地名編」は稀にあるが、「姓氏編」というのはない。まして、「市史」レベルで「姓氏」と題した巻があるのは驚きで、早速同市の教育委員会に連絡して1冊購入してみた。送られてきたのは、B5サイズで230頁、並製で函入りの「飯能市史 資料編? 地名・姓氏」という、市史としてはかなこぶりの振りの1冊だった。



内容の大部分を占めるのは地名編で、市内1558ヶ所の地名について、それぞれ解説が記されている。この数から見ると、おそらく小字にいたるまで、市内のすべての地名を網羅しているのではないだろうか。

一方、姓氏編の方は内容的には今一つ。というのもこの資料の刊行は1986年。実は、名字の研究はここ20年程の間に猛烈に進んだ感がある。しかし、当時の市内にあった名字1814種類をすべてあげてあるのは貴重な資料だ。近年は通勤圏の拡大によって人の移動が激しくなっている上に、電話帳に登録しない人も増えており、大都市近郊では、その土地本来の名字がわかりづらくなっているからだ。

こうした昭和後半のごく日常的な情報も、今となっては重要な資料といえる。
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