人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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イエーテボリってどこ?

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2008/03/24 17:54

20日、フィギュアスケートの世界選手権で日本の浅田真央選手が前日の2位から逆転で金メダルを獲得した。

この大会が開催されたのは、スウェーデン西部の港湾都市、イエーテボリである。ところで、この地名には、いくつかの表記がある。今回、新聞では「イエーテボリ」という表記が採用されているが、私の手元にあった帝国書院の古い地図帳をみると「エーテボリ」。私も「エーテボリ」と記憶していた。Wikipediaの見出しでは「ヨーテボリ」で、Google Mapでは「ヨテボリ」と表示される。

ところが、Googleで検索すると、一番多くヒットするのはこのどれでもない。音引のない「イエテボリ」が21.1万件と圧倒的に多い。JTBの海外旅行のサイトではこの表記を採用している。続いて、「エ」が小さい「イェーテボリ」が5.7万件。格安航空券で知られるHISはこの表記。「ヨーテボリ」は3.9万件で、今回の報道で使用している「イエーテボリ」は、実は2.8万件と比較的少ないのだ。Google Mapの「ヨテボリ」は1,080件と少数派(2008年3月21日現在)。

スウェーデン語のつづりは、Göteborgで、英語表記だとGothenburgとなる。単純に字面から発音しようとすると、「ゴートブルク」や「ゴーセンブルク」になるのだろうが、日本では、原則として外国の地名は、現地の発音に近い表記を採用することになっている。そのため、北欧などの場合は、アルファベットとカタカナが結びつかないところも多い。

今回、各新聞が「イエーテボリ」と報じたことで、今後、Gothenburgのカタカナ表記に変化がみられるかもしれない。

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