人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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子(ね)のつく名字

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2007/12/25 10:33

今年もいよいよ年末を迎えた。そこで、恒例により、来年の干支の名字をみてみよう。

来年はネズミ年。漢字で書くと「子」になる。しかし、本来「子」という漢字には「ネズミ」という意味はない。もともとあった十二支に、あとから動物をあてはめた結果、「子」がネズミになった、というのが実情のようだ。

そのため、「子」で「ね」と読む名字も非常に少ない。ぱっと思いつくのは、鹿児島の「子島(ねじま)」、秋田県横手の「子野日(ねのひ)」、北海道札幌付近の「子出藤(ねでふじ)」ぐらいか。いずれも他の地域ではほとんどみられない稀少姓ばかりだ。

では「鼠」のつく名字は、というと、これはさらに少ない。「子」の場合は、十二支のネズミということで、あまり生々しさはなく、むしろ可愛いイメージがあるが、「鼠」という漢字からは、どうしても動物の「ネズミ」そのものを連想してしまうからだろう。

現在、実際に存在するものとしては、中国地方に「鼠尾(ねずお)」「鼠谷(ねずみたに)」、石川県に「鼠田(ねずみた)」「鼠淵(ねずみふち)」、神奈川に「鼠入(そいり)」という名字が、ごくわずかある程度だ。

なお、地名では富山県に「鼠谷」と書いて「よめだに」という読むところがある。これは、ネズミが「嫁」になったわけではなく、方言のようだ。もともとは、夜に活動するものを「ヨモノ」といったことから、ネズミのことを指すようになり、さらに「ヨメ」に変化したらしい。

※12月21日の日本テレビ「おもいっきりイイ!! テレビ」にて、このブログの一部が紹介されました。
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