人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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百のつく名字

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2007/10/29 10:08

このブログが今回でちょうど100回目を迎える。そこで、今回は「百」にちなんだ名字をみてみたい。

「百」という漢字を、文字とおり「ひゃく」と読むものは「百軒」「百町」「百松」「百束」などたくさんある。「百束」は「ひゃくそく」と読む。「束」とは稲を数える単位。一度に掴めるほどの稲束を「一把」といい、十把で1束となる。一把の分量は、地域や時代によっても違うのでなんともいえないが、百束は数石ぐらいに相当するのではないか。

名字的には「百」は「もも」と読む方が一般的。北九州に多い「百田」や「百崎」は特に珍しい名字ではない。今年の夏の甲子園で優勝した佐賀北高の監督も百崎敏克監督であった。「百地」は伊賀流忍術の頭だった百地三太夫が小説などで有名。香川県には、「百相(もあい)」という名字がある。これは、「ももあい」が詰まったものであろう。

「ひゃく」「もも」の両方の読み方をするものも多い。佐賀県に多い「百武」は通常は「ひゃくたけ」だが、「ももたけ」も多い。「百名」は逆に「ももな」が多いが、沖縄では「ひゃくな」と読む。

「百合」と書いて「ゆり」と読む。これは根が重なり合っていることに由来するといわれる。名字では、「百合草」「百合岡」「百合園」「百合野」「百合本」などたくさんあり、愛知県付近と、北九州〜山口地区に多く見られる。

珍しいものには「百足」がある。仙台市付近の名字で、文字どおり「むかで」と読む場合と、「ひゃくそく」「ももたり」と読む場合がある。

「百済(くだら,ももずみ)」姓のルーツは、古代朝鮮の百済国。同地から日本に渡ってきた渡来人の子孫であろう。

「百々」の読み方は難しい。川が音を立てて流れているのに由来するといわれ、「どど」と読むのが普通だが、「どうど」等とも読む。歴史的には近江国(滋賀県)の百々氏が著名で、現在は宮城県に多い。両方とも、それぞれの県にある地名がルーツである。

難読姓としては、「百鬼」がある。これで「なきり」と読む。「百目鬼(どうめき)」も難しいが、かつて高名な文芸評論家に「百目鬼恭三郎」がいたので、読める人も多い。
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