人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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日本一暑い町

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2007/08/20 16:56

連日、各地で猛暑が続いている。

16日には埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で40.9℃を記録し、1933年に山形で記録された40.8℃の日本最高記録を74年振りに塗り替えた。特に、多治見では翌17日にも40.8℃を記録、猛暑日が10日以上連続するなど、異常な猛暑が続いている。
山形など、日本海側ではフェーン現象が発生すると突如として猛暑になることはよく知られている。

また、熊谷は以前から暑いことで有名だったが、「多治見」という名前は、あまり聞いたことのなかった人が多いのではないだろうか。

多治見市は岐阜県南東部の町で、人口は11万あまり。地方都市としては、かなり人口の多い方である。

「多治見」という地名が登場するのは南北朝時代頃で、それ以前は「只見」と書いて「たじみ」と読んだともされる。歴史に詳しい人にとっては、「太平記」に登場する多治見国長が有名だ。後醍醐天皇が鎌倉幕府に叛旗をひるがえそうとした時に参画したのが、岐阜県の名族土岐氏の一族である多治見国長。しかし、事は事前に幕府側にもれて京都で幕吏に急襲され、自害した。いわゆる正中の変である。

以後、「多治見」の名前は歴史の表舞台には登場しない。中世は名家・土岐氏の勢力圏の一部に組み込まれ、江戸時代は天領。多治見を中心とした政治圏や経済圏は誕生しなかった。

現在は、美濃焼の町として売り出しているようだ。日本一の盃の産地として知られる市之倉や、忠臣蔵で赤垣源蔵が使っていたことから源蔵徳利といわれるようになった、高田徳利の産地の高田なども市内にある。

しかし、今後は、“日本一暑い町”というキャッチフレーズも登場するかもしれない。
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