人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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甲子園出場選手

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2007/08/13 09:19

今年も8月8日から、甲子園球場で夏の高校野球大会が開催され、炎天下の中、連日熱戦が繰り広げられている。

さて、代表49校の紹介されている雑誌をもとに、各校の出場選手の名字を眺めてみた。
例年だと、鹿児島や宮崎に珍しい名字の選手が何人かいるが、今年は両県の代表はともに私立で、いわゆる“野球留学校”。選手の出身は関西が多く、ローカル色に乏しい。同じく、珍しい名字が多いはずの青森代表の選手も関西方面が多い。

今回出場の選手の中では、西東京代表・創価高校のエースの名字「勘米良(かんめら)」が珍しい。勘米良選手自身は東京の出身のようだが、この名字は熊本県南部の人吉市と錦町に集中している。実は、「かんめら」と読む名字は「上米良」と書く方が多く、こちらは、宮崎県西都市から熊本県球磨郡にかけて広く分布している。「上米良」「勘米良」ともに、元は「米良」であろう。

「米良」という名字は、宮崎と和歌山の名字で、ともにかなり古い家系。宮崎県の「米良」は、同県の地名がルーツ。今でも、宮崎県には児湯郡西米良村という村がある。

南北朝時代に南朝方として活躍した菊池一族の末裔に米良家があり、江戸時代には幕府の旗本となっていた。明治時代には、直系の子孫が「先祖が南朝で活躍した功」という、ものすごい理由で男爵を授けられている。

「勘米良」は、この宮崎の米良一族の支流が「上米良」と名乗り、さらに「勘米良」と変化したに違いない。
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