人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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「とどろき」と「どうめき」

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2017/11/20 15:59

益子には「生田目」以外にもユニークな名字のルーツとなった地名がある。その一つが「百目鬼」だ。

川が急流となって音を立てて流れているところを「とどろき」といい、「轟」「轟木」「等々力」「動木」など様々な漢字を書く「とどろき」地名が各地にある。

名字でも漢字表記にはいくつかの種類があり、一番多いのが「轟」だ。全国ランキングは2000位あたりと、順位的にはごく普通の名字。長野県から関東にかけてと福岡県に集中しており、とくに長野市に集中している。同じ長野県でも、安曇野市や松本市ては「等々力」と書き、「等々力」地名のある東京都内にも広がっている。この他、九州では「轟木」と書く名字も多い。

また、古語で物の音が鳴り響くことを「どよむ」といったことから、こうした場所は「どよめき」「どうめき」ともいわれ、東日本には「百目木」「百目鬼」「道目木」などと書く「どうめき」地名が点在する。益子町の中心部を流れる小貝川の支流は「百目鬼川」という。今では小さな川にすぎないが、かつては、どうどうと音を立てて流れていたに違いない。

dodomekikawa
百目鬼川

栃木県から茨城県西部にかけては「百目鬼」さんが多い。

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