人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、本当?と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

著書は『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など多数。

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名古屋市営地下鉄の「いりなか」駅

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2017/04/03 09:51

前回紹介した、高校野球のセンバツ発祥の地のモニュメントがあるのは、住所でいうと名古屋市昭和区滝川町。ここを訪ねるために降りたのが、名古屋市営地下鉄鶴舞線の「いりなか」駅である。

名古屋市営地下鉄には、現在4路線で87の駅があるが、ひらがなの駅はこの「いりなか」だけである。その理由は駅を降りるとわかる。駅前にある市バスのバス停には、漢字で「杁中」とあり、「いりなか」とルビがふってある。この「杁」という漢字が難しくて読めないため、地下鉄の駅ではひらがなにしたようだ。

irinakabus
杁中のバス停

 

ところでこの「杁」という漢字、愛知県内では杁ケ池公園、二ツ杁など他にも使われているが、愛知県以外では岐阜県に少しある程度という、いわば愛知県独特の漢字である。

丘陵地の多い愛知県では、台地上に雨水をためた溜池をつくり、そこに水門を作って、必要に応じて水田や畑に水を供給していた。この水の取り入れ口のことを方言で「いり」といい、尾張地方では「杁」という漢字をあてたという。ちなみに、同じ愛知県でも三河地方では「圦」という漢字を使う。

名字でも、愛知県には「杁本」という名字があり、難読名字の一つなっている。

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