人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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湯桶読みの「米麦」選手

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2016/03/22 09:57

今回のセンバツで珍しい読み方をする名字は?(photo by kakashi@/photoac)

今年も高校野球の選抜大会が始まった。

出場32校のメンバーをみていて気になったのが、古豪高松商の米麦主将。この選手の名字は「よねむぎ」ではなく、湯桶読みで「よねばく」と読む。
 ※湯桶(ゆとう)読み=「訓読み+音読み」の組み合わせによる読み方

『日本国語大辞典』(小学館)をみても「こめむぎ」「べいばく」「よねむぎ」は載っているが「よねばく」はない。しかし、どう読もうとも、意味としては「米と麦」のことで、広く穀物一般を指すこともある。

この名字は香川県東かがわ市の白鳥地区にごくわずかだけある。米麦選手ももちろん東かがわ市の出身だ。おそらく米だけではなく、麦なども作っていた農家が名乗った名字だろう。

珍しさでいえば、敦賀気比高の上中尾(かみなかお)選手と、八戸学院光星高の小日出(こひで)選手が双璧。「上中尾」は福井県の福井市と坂井市、「小日出」は大阪市生野区にごくわずかしかない。その他では、「杤谷」(とちたに、明石商)、「半情」(はんじょう、秀岳館高)あたりがかなり珍しい。

逆に意外と多いのは、「宝来」(ほうらい、小豆島)と、「宝木」(たからぎ、南陽工)。こうしたお目出たい言葉を使った名字は、各地に転々と分布しており、全国を合わせるとそれなりの数がある。

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