人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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東海道の真ん中に府県境

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2015/04/20 11:27

滋賀・湖西地区からの戻り、京阪電鉄京津線の追分駅で途中下車した。追分駅は、道路の真ん中に地下へ続く階段だけがあるという、一見駅には見えない不思議なつくり。

追分駅
追分駅

 

この駅を出て、道路を南側に渡り、さらに細い道を抜けると、旧東海道に出る。この付近は髭茶屋町という変わった地名だ。昔、髭を蓄えた老人の営む社店があったのが由来という。

髭茶屋町
髭茶屋町

 

この道は、中央を府県境が通っている。つまり、旧東海道の北半分が滋賀県で、南半分が京都府。かつては、北側が近江国で、南側が山城国だった。国境や県境は、山の尾根か川にあることが多い。現在は平地となっている場合も、かつてはそこを川が流れていた、ということのが普通だ。東海道のような大きな道が境となることは珍しく、東海道でもここだけである。

そもそもこの付近は滋賀県が尾根を超えて京都府に食い込んでいる場所で、google地図などと照らし合わせると、府県境が建物の中を通過しているところもあるようだ。

追分の看板
追分の看板

 

追分とは、街道の分岐点をさす言葉で、近くには東海道と奈良街道の分岐点がある。そこに建つ看板は、道路の中央に府県境があることを示している。しかし、中には写真のように、どう解釈していいのかよく分からない看板もあった。

解釈方法不明
解釈方法不明
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