実務よろず相談室

本コラムは日本実業出版社が発行、エヌ・ジェイ出版販売株式会社が販売する企業向け直販月刊誌「企業実務」内に掲載されているコラムを転載したものです。

「企業実務」本誌の購読・見本誌・お問い合わせ等をご希望の方は、下の「著者プロフィール」欄内のバナーよりエヌ・ジェイ出版販売株式会社までお問い合わせください。

著者プロフィール

月刊「企業実務」は、総務・経理・人事といったスタッフ部門が抱える日常業務についての諸問題をわかりやすく解説・アドバイスするビジネス実務誌です。

1962年の創刊以来理論より実践を重んじ、仕事をすすめるうえで必要な実務情報や具体的な処理の仕方を正確かつわかりやすく、タイムリーにお届けしている本誌は、経理・税務・庶務・労務の事務一切を凝縮した、“すぐに役立つ専門誌”として好評を博しています。

会社の実務相談 「義援金(義捐金)の経理処理/頼りにならない担当銀行員」

このエントリーをはてなブックマークに追加

2018/07/26 11:30

企業の経理・総務担当者が職場で直面する、規定集・法規集などに答えが見当たらない疑問、状況がレアケースすぎてそのまま規定を当てはめていいのかどうか迷う悩みに、プロの実務家・専門家が答えます!

※本コラムの内容について※
本コラムは、月刊「企業実務」内で連載されている同名の連載を再編集したものであり、関連法規・規定等については公開時点のものに準拠しています。

今回の実務相談

Q.被災した社員に支給する義援金の取扱いは?

従業員50名の電子機器販売業の総務課主任です。遠隔地の営業所の社員が大雨で被害を受けました。その被害に対して義援金を支給したいと考えています。会社からの支給だと給与扱いされるおそれはないでしょうか。

A.「常識の範囲内」なら非課税にできる(回答者:税理士 鈴木宏昌)

大雨などの災害により社員に義援金・見舞金を支給した場合、その金額が社会通念上相当と認められるものであれば、所得税は課税されません。ただし、義援金・見舞金が毎月支給される場合や、就業規則等で給与補てんの性質があるとみなされる場合、給与となる可能性があります。

「常識の範囲内」なら非課税にできる

会社から社員に支払われた義援金・見舞金は、原則は受け取った社員の給与所得と考えられます。しかし、一方で義援金・見舞金の支給は、社会的慣行として認められており、一種の儀礼的な行為です。こうした「禍福に際して支払われる金品」の受領についてまで課税するのは妥当でないとされ、社会通念上相当と認められるものであれば、所得税が課税されないことになっています。

ただし、義援金が社会通念上相当と認められる金額以上であると税務調査で指摘された場合、支給額から社会通念上相当と認められる金額を引いた残額に対してではなく、全額が所得税の課税対象となる可能性がありますので、注意してください。

「相当」の具体的な額は示されていませんので、世間一般の支給相場等をふまえつつ、社員が等しく対象となることを証明できるよう、災害が起こった場合の会社の対応について規程にしておくことをお勧めします。また、影響が長期にわたる被災でも、義援金は一括支給するのが望ましいでしょう。

(企業実務 16年8月号より転載)

回答者プロフィール:すずき・ひろまさ

鈴木宏昌税理士事務所代表。大手会計事務所を経て独立。顧問先の税務相談に対応するほか、経理業務におけるクラウドサービスなど最新のIT技術の活用にも詳しい。


銀行の新しい担当者が頼りにならない

創業40年の飲食店チェーンの経理部長です。長年メインバンクとして付き合ってきた銀行の担当者が変わったのですが、それ以来、何かと話が通じにくくなって困っています。

いつ何を伝えたか記録を残す(回答者:経営コンサルタント 赤沼慎太郎)

頼りにならない担当者もいずれは異動する

まず、企業にとって、銀行の担当者と相性のよい状態が永久に続くということはあり得ないと考えるべきです。「いまの担当者はわが社のことを理解してくれていてありがたい」と思っていても、たいてい3年くらいで異動してしまいます。

逆にいえば、新しい担当者とそりが合わないとか、頼りがいがないと感じていたとしても、いずれ別の担当者に変わるのです。「担当者が気に入らないのでほかの銀行を探したい」といっても、簡単に見つかるものではありませんし、そうした探しかたではそれこそ信頼関係が築けません。

もちろん、自社について理解してもらおうとする努力は大切ですが、しばらくはしかたないと割り切り、そうした担当者を介してでも、きちんと話が通じる状況をつくることを考えましょう。

いつ何を伝えたか記録を残す

すでに支店長など担当者の上司との信頼関係が築けているのであれば、そちらに相談するということも考えられます。ただし、その前の段階として、有効だと思われるのが「要望を出すときは文書にして記録を残す」ということです。

たとえば繁忙期を前に仕入資金として融資を依頼したいのであれば、「〇〇頃に〇〇円の融資を申請したいので、よろしくお願いします」と、主旨をまとめた手紙をつくって渡すのです。文書であればメモ程度のもので構いません。正式な融資依頼書といった体裁まで整える必要はないのです。

もちろん事業計画書などを添付できればベストではありますが、そこまでしなくとも、要点を文書にして社印を捺したものを渡すだけで、渡された側は無下に取り扱えなくなるものです。手紙を渡してその控をとっておけば、後になって言った言わないが問題になるような事態を防ぐことができます。

また、そうした記録があれば、再び担当者が変わるときの引継ぎの際にも有用な資料となります。銀行員のなかには、社長や経理部長とのちょっとした立ち話を覚えていて、適切なタイミングで「あの件はそろそろどうですか?」と提案してくるような優秀な担当者もいます。

幸いにしてそうした担当者がいる場合でも、常に文書をやりとりして記録を残す習慣をつけておくと、しっかりした会社だと印象づけることができるでしょう。(企業実務 16年12月号より転載)

回答者プロフィール:あかぬま・しんたろう

行政書士赤沼法務事務所代表。アパレル会社を経て行政書士・経営コンサルタントとして独立開業。事業再生支援と起業支援を中核に事業を展開し、資金繰り指導、資金調達サポートなどの中小企業支援を精力的に行なっている。

このエントリーをはてなブックマークに追加

ページのトップへ