人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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嘉陽一門世系図

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2009/06/15 10:08

以前、沖縄・久米村の毛姓一族の門中誌を紹介したが、今度は嘉陽一族の門中誌が出た、というので取り寄せてみた。



「武姓 嘉陽一門世系圖」


この本は、「武姓 嘉陽一門世系圖」というもので、タイトル通り、門中誌というよりは、一門の系図集に近いが、巻末には系譜を理解するための用語解説もあって親切だ。

嘉陽一族は、琉球王家の尚氏の末裔と伝える。一般にはあまり知られていないが、尚王家には第一尚氏と第二尚氏があり、両家には血縁関係はない。第一尚氏を滅ぼした重臣の内間金丸が、中国(明)との冊封体制を維持するために、「尚」という名字を継いだものなのだ。

嘉陽一族は、第一尚氏の最後の王である、第7代尚徳王の弟にあたる尚武の末裔と伝え、首里をはじめ、沖縄市や名護市に広がった。名字のルーツは名護市にある地名。

名家の末裔ではあるが、第一尚氏を滅ぼして王家となった第二尚氏にとっては、嘉陽氏は旧主の一族にあたり、冷遇されたとも伝えられている。

また、同書によると、嘉陽一族の家譜は戦前には12冊あったが、戦争により現在では数冊しか確認できないという。そのため、この系図集の作成にも26年もの歳月がかかったそうだ。とはいえ、これだけの家譜を作成できる氏族は本土にはあまりない。沖縄での門中意識の高さが窺える1冊である。
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