<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?><rss version="2.0"
	xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/"
	xmlns:wfw="http://wellformedweb.org/CommentAPI/"
	xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
	xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom"
	xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/"
	xmlns:slash="http://purl.org/rss/1.0/modules/slash/"
	>

<channel>
	<title>暮らしの「?」を解決 &#8211; 日本実業出版社</title>
	<atom:link href="https://www.njg.co.jp/category/life/question/feed/" rel="self" type="application/rss+xml" />
	<link>https://www.njg.co.jp</link>
	<description></description>
	<lastBuildDate>Tue, 10 Sep 2024 06:14:27 +0000</lastBuildDate>
	<language>ja</language>
	<sy:updatePeriod>
	hourly	</sy:updatePeriod>
	<sy:updateFrequency>
	1	</sy:updateFrequency>
	<generator>https://wordpress.org/?v=6.8.5</generator>
	<item>
		<title>児童精神科医が教える子育ての不安がなくなるコツ</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-40090/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[haradamaho]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 17 May 2024 03:00:52 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[子ども]]></category>
		<category><![CDATA[子育て]]></category>
		<category><![CDATA[親]]></category>
		<category><![CDATA[親子]]></category>
		<category><![CDATA[親子関係]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=40090</guid>

					<description><![CDATA[子育てに悩みは尽きません。子どもに対して、些細なことで怒ってしまったり、心配事が多く過干渉になってしまったり。良くないと思いながらもやってしまい反省することは誰にで…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>子育てに悩みは尽きません。子どもに対して、些細なことで怒ってしまったり、心配事が多く過干渉になってしまったり。良くないと思いながらもやってしまい反省することは誰にでもあります。そんなお母さんたちに向けて、精神科医のさわ先生が、診察で集めた子どもの本音をまとめた<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534060952/" data-wpel-link="internal">『児童精神科医が「子育てが不安なお母さん」に伝えたい 子どもが本当に思っていること』</a>を上梓しました。今回は、その中から「はじめに」を紹介します。</p>
<h2>子育ての悩みは十人十色</h2>
<p>子どもが失敗しないように、常に子どもの前を歩いてしまう過保護なお母さん。子育てに自信が持てず、子どもにどう接したらいいかわからずオドオドしてしまう心配性のお母さん。いつまでも子どもを信じることができずに、横から口を出してしまう過干渉なお母さん。不安だけど、だれにも相談することができずに、孤独に子育てをしているお母さん。子どもがかわいいと思えずに、どう接したらいいかわからないお母さん……。</p>
<p>私はふだん、5歳以上の子どもから大人までを対象とした児童精神科・心療内科のクリ ニックの院長をしています。クリニックに来られるすべてのお母さんに共通するのは、「子どものことを必死で考えているお母さん」であるということ。</p>
<p>あなたも、「子どものために」と必死にがんばってこられたと思います。 しかし、その関わり方がじつは親子関係を悪化させていたり、子どもの自信を失わせてしまったり、自立を遠ざけてしまっていることがあるのです。「子どものために」としていることで、知らず知らずのうちに親子関係が悪化していっているとしたら、そんな悲しいことはありません。 少しずつ積み重なった子どもへのまちがった関わり方によって、「生きている意味がない」「消えてしまいたい」とまで思う子どもたちが増加しています。</p>
<h2>子育ての不安は 「知って、気づく」ことでなくなる</h2>
<p>もしも今、あなたが子育てが大変、つらいと感じていながらも、子どもと幸せにすごしたいと願うのであれば、勇気を出して最後まで読んでほしいのです。</p>
<p>なぜなら、この本は「子どもの心の声がわかる本」だから。お母さんたちに、「子どもって、こんなふうに思っているんですよ」ということが伝わることで、子どもとの関わり方が変わっていって、結果的に安心して子育てができるようになっていけるのです。</p>
<p>こういうことを話すと、「育て方をまちがってしまった」「もう取り返しがつかない」と、自分を責めるお母さんたちもいます。 しかし、この本に書いてあることを「知って、気づく」ということがポイントなのです。 人は、知らないと不安になります。なんでも知って、気づくことで適切な対処法がわかるのです。</p>
<p>そして、もっと親が子どもに対して「どんなあなたでも大丈夫」という安心感を持てたら、「生きづらさ」を抱える子どもは減っていくと私は考えています。</p>
<h2>不登校児を育てる1人の母として感じたこと</h2>
<p>このようなことを書いていますが、じつは私も子育てに悩む母親の1人でもありまし た。</p>
<p>私は子どもの心をみる医師であると同時に、 10歳と8歳の子どもを1人で育てています。しかも、長女は「発達障害」で「不登校」です。 まだまだ未熟な母親でもあり、正直、こんな私に本を書く資格があるのか悩みました。 ただ、こんな私だからこそ、机上の話のような子育て論でないものが書けると思い筆をとりました。恥ずかしい話もたくさん書いています。</p>
<p>私は、自分自身の子育てを通して感じたことがあります。 それは、「子どものことで必要以上に不安になるのはやめよう。子どもは、親に心配してもらいたいんじゃない。お母さんには、笑顔で幸せでいてほしいものなんだ」ということです。</p>
<p>子どものことで悩んだときに、「どこまでが親であるあなたの問題で、どこからが子ど もの問題なのか？」という視点で考えてみてください。「私の問題だ」と気づくこともあるでしょう。まず、そこを見極めることがとても大切です。</p>
<p>どこまでがお母さんの不安で、どこからが子どもの悩みや問題なのか、もしくは問題ではないのか。そういうことを常に客観的な視点で親子に問い続け、必要であれば治療介入をしていく。それが、児童精神科医としての私の役目なのです。</p>
<p>完ぺきでなくていい。<br />
ときには不安になってもいい。</p>
<p>この本が、そうやって子どもも親も不完全さを受け入れて、親子がおだやかに生活する ことの助けになることを願っています。この本を読み終わったときに、あなたの心が少しでも軽くなりますように。</p>
<p>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<br />
精神科医さわ （せいしんかい　さわ） 児童精神科医。精神保健指定医、精神科専門医、公認心理師。 1984年三重県生まれ。開業医の家庭に生まれ、薬剤師の母親の英才教育のもと、医学部を目指す。偏差値のピークは小学4年生。中高時代は南山中学校高校女子部で落ちこぼれ、1浪の末に医学部へ。藤田医科大学医学部を卒業後、精神科の勤務医として、アルコール依存症をはじめ多くの患者と向き合う。母としては楽しみにしていた子育てだったが、発達特性のある子どもの育児に身も心も追いつめられ離婚し、シングルマザーとして２人の娘を育てる。長女が不登校となり、発達障害と診断されたことで「自分と同じような子どもの発達特性や不登校に悩む親御さんの支えになりたい」と勤務していた精神病院を辞め、名古屋市に「塩釜口こころクリニック」を開業。老若男女、さまざまな年代の患者さんが訪れる。クリニックを受診した患者さんのお母さんたちからは、「悩みが解決し、まず自分が安心すればいいんだと思いはじめてから、おだやかにすごせるようになった」「同じ母親である先生の言葉がとても心強く、日々のSNS発信にも救われている」と言われている。「先生に会うと安心する」「生きる勇気をもらえた」と診察室で涙を流す患者さんも。開業直後から予約が殺到し、現在も毎月約400人の親子の診察を行っている。これまで延べ3万人以上の診察に携わっている。2023年11月医療法人霜月之会理事長となる。 塩釜口こころクリニック　https://shiogamakokoro.com</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>16歳の当事者と専門家に聞く「感覚過敏とは何か？」</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-37665/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 10 Aug 2022 09:30:53 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[キャリア]]></category>
		<category><![CDATA[子ども]]></category>
		<category><![CDATA[感覚過敏]]></category>
		<category><![CDATA[発達障害]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=37665</guid>

					<description><![CDATA[「感覚過敏」という言葉を知っていますか？ 感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの諸感覚が過敏になっていて日常生活に困難さがある状態をいいます。感覚過敏は、…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「感覚過敏」という言葉を知っていますか？</p>
<p><strong>感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの諸感覚が過敏になっていて日常生活に困難さがある状態</strong>をいいます。感覚過敏は、病名ではなく症状です。そのため、診断名があるわけでもなく、治療方法があるわけでもありません。</p>
<p>感覚過敏の当事者であり、16歳の現役高校生の加藤路瑛さんは、この度<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534059376/" data-wpel-link="internal"><strong>『感覚過敏の僕が感じる世界』</strong></a>を上梓しました。加藤さんは、感覚過敏に関する悩みを解決するための会社やコミュニティを自ら運営しています。ここでは、感覚過敏に対する基本的な質問について、加藤さんと専門家の小川修史先生（兵庫教育大学准教授）にお答えいただきました。</p>
<p>※本稿は<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534059376/" data-wpel-link="internal">『感覚過敏の僕が感じる世界』</a>から一部を抜粋し、再編集しています</p>
<h2>Q.感覚過敏とは？</h2>
<p><strong>A.</strong>感覚過敏とは、多くの人が特に気にならない音、明るさ、ニオイ、肌触りなどを非常に苦痛なレベルで感じるため、円滑な社会生活を送ることが難しくなる状態のことを言います（※1）。</p>
<p>感覚過敏の症状は人によって違います。1つの感覚が過敏な方もいらっしゃれば、複数の感覚が過敏な方もいらっしゃいます。感覚器ごとに、視覚過敏、聴覚過敏、嗅覚過敏、味覚過敏、触覚過敏と表現する場合もあります。代表的な症状を当事者の声から紹介します。</p>
<h4>■視覚過敏の代表的な症状</h4>
<ul>
	<li>スマホやパソコンの画面の光が目に刺さる感じで痛い</li>
	<li>スマホの画面を一番暗くしてもまぶしい</li>
	<li>太陽の光で頭が痛くなる</li>
	<li>白い紙や画面がまぶしくてつらい</li>
	<li>人が多いところに行くと具合が悪くなる（視覚情報の多さに疲れる）</li>
</ul>
<h4>■聴覚過敏の代表的な症状</h4>
<ul>
	<li>冷蔵庫や空調、時計の秒針などの生活音、環境音が気になる</li>
	<li>目の前の人の声とまわりの声の音量が同じくらいに聞こえ、会話が聞き取りにくい</li>
	<li>大きな音に恐怖を感じる</li>
	<li>子どもの声や赤ちゃんの泣き声が苦手</li>
	<li>騒がしい場所にいると体調が悪くなる</li>
</ul>
<h4>■嗅覚過敏の代表的な症状</h4>
<ul>
	<li>化粧品やシャンプーなどニオイのあるものが使えない</li>
	<li>食べ物のニオイで頭痛や吐き気がする</li>
	<li>洗濯洗剤や柔軟剤の香りで気分が悪くなる</li>
	<li>車の排気ガスや飲食店のニオイなど、さまざまなニオイが混ざりあっている街中にいるのが苦痛</li>
</ul>
<h4>■味覚過敏の代表的な症状</h4>
<ul>
	<li>味に敏感で食べられるものが極端に少ない</li>
	<li>味や調味料の変化に敏感で、少しでも普段と違うと食べ物を受けつけなくなる場合がある</li>
	<li>食感にも苦手なものが多い</li>
</ul>
<h4>■触覚過敏の代表的な症状</h4>
<ul>
	<li>人に触れられることが苦手</li>
	<li>服のタグ、縫い目などに痛みや不快感を感じ、快適に着られる衣服が少ない</li>
	<li>口まわりが敏感な場合、マスクの着用が難しい</li>
	<li>化粧品やリップクリーム、ハンドクリームなど肌に塗るものが苦手</li>
	<li>雨や風が当たると不快感や痛みがある</li>
</ul>
<h4>■五感以外の感覚過敏</h4>
<ul>
	<li>熱さに敏感すぎて、風呂に入ることができない（温度感覚）</li>
	<li>冷たいプールに入れない（温度感覚）</li>
	<li>ブランコや遊園地の乗り物が苦手（平衡感覚）</li>
	<li>わずかな傾きで気持ち悪くなったり乗り物に酔いやすかったりする（平衡感覚）</li>
</ul>
<p>感覚過敏のくわしいメカニズムは残念ながらまだ解明されていませんが、原因は大きく分けて3つです。</p>
<h4>1）脳や神経の障害や病気によるもの</h4>
<p>生まれ持った脳の特性である発達障害、または交通事故などで脳にダメージを受けることによる高次脳機能障害や認知症、てんかんなど。</p>
<h4>2）感覚器によるもの</h4>
<p>目や耳などの感覚器の病気で、光をまぶしく感じたり、音がうるさく感じたりします。</p>
<h4>3）ストレスやメンタルによるもの</h4>
<p>自律神経失調症やうつ病、双極性障害、統合失調症などの精神疾患、PTSD や強いストレスによっても感覚の過敏さを感じることがあります。感覚過敏は病気ではなく、これらの病気や障害の症状として見られるものです。</p>
<h3>専門家の視点から</h3>
<p>感覚過敏は周囲から認識することが難しく、「なまけている」や「わがまま」ととらえられることも実際に多くあります。結果的に自己肯定感や自尊心が低くなり、不登校などにつながるケースがあります。</p>
<p>大切なのは感覚過敏のつらさを自分基準で考えずに、相手の立場に立って理解することです。そうすることで、サングラスやイヤーマフの着用といった工夫や、運動会でピストルを使用しないなど環境面で配慮することが可能になります。</p>
<h2>Q.感覚過敏がある人は発達障害なのですか？</h2>
<p><strong>A.</strong>感覚過敏の定義は曖昧です。発達障害の分野で使用されることが多い言葉ですが、精神科領域で使うこともありますし、麻酔科、緩和ケア、介護の分野で使われることもあります。</p>
<p>アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5では、自閉症スペクトラム（ASD）の診断基準の1つとして「感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性、あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心」という項目があげられています。ASDの96％に感覚の問題があるという研究もあります。</p>
<p>このように書くと、感覚過敏がある人は発達障害、特に自閉症スペクトラムのように受け取られる方もいらっしゃるかもしれませんが、発達障害のすべての方に感覚過敏があるわけではありません。</p>
<p>また、うつ病や自律神経失調症などによって感覚過敏の症状が出ることもありますし、トラウマや精神的に大きな影響があった出来事を機に感覚過敏になる場合もあります。</p>
<p>また、交通事故などで脳へダメージを受けた高次脳機能障害の人も、感覚の過敏さを訴える場合が少なくありません。</p>
<p>以上のように、すべての発達障害の方に感覚過敏の症状があるわけではなく、また、感覚過敏の症状が見られる病気や疾患はさまざまですので、感覚過敏だからといって必ずしも発達障害だとは言えません。</p>
<h3>専門家の視点から</h3>
<p>大切なのは周囲が「感覚過敏」や「発達障害」といったラベリングをすることではなく、本人の「困り」を適切にとらえることです。これらの名称は「困り」を適切にとらえるためのあくまでもヒントです。</p>
<p>また、一概に感覚過敏といっても症状は実に多様です。また環境によっても過敏性の出現の仕方は異なりますので、本人の「困り」を聞き取ること、そして信頼関係を構築して「困り」を表出しやすい環境を整えることが重要といえるでしょう。</p>
<h2>Q.感覚過敏は治らないの？</h2>
<p><strong>A.</strong>ときどき「感覚過敏が治った」「おとなになったら気にならなくなった」という体験を語ってくださる人がいます。僕自身が今、16歳なので、もしあと何年かして感覚過敏によるつらさがなくなったらどんなにいいことかと期待してしまいます。</p>
<p>しかし、逆に「おとなになるにつれ、過敏が強くなっている」と語る人もいます。どちらが正しいのでしょう？</p>
<p>多分、どちらも正しいのでしょう。発達障害の治療薬や、うつ病などの治療薬を飲んで、感覚過敏がなくなる（やわらぐ）ことはあるようです。脳神経の興奮を抑える薬を飲んで過敏さが減ったと話してくれる体験者の人もいます。</p>
<p>また、成長とともに感覚過敏とうまくつきあえるようになったことで、感覚過敏はなくなっていなくても、なくなったように感じる人もいます。</p>
<p>たとえば僕の場合も成長するにつれ、「自分はこのシーンでは聴覚過敏で体調が悪くなるからイヤホンをつけておこう」とか、「このレストランのニオイは苦手だから行かないでおこう」と、自分で行動を調整できるようになりました。</p>
<p>この、原因となるものをあらかじめ避ける行動は、「感覚回避」と呼ばれることもあります。このような感覚回避行動によって、過敏になる状況が減ってしまうから、「治った」と感じる場合もあるのでしょう。</p>
<p>僕は子どもの感覚過敏でつらいのは、自分で選べる選択肢が少ないことだと思っています。学校や家族のルールがあり、子どもはそれに従わなければならない。</p>
<p>一方、おとなになると、自分で選べることが増えます。本意ではないかもしれませんが、感覚過敏がつらくて通勤して働くのは無理だからフリーランスとして働こうとか、この素材の服は苦手だからやめておこうとか、自分の状態や過去の経験から自分の道を選ぶことができます。</p>
<p>その選択肢のある状態が「感覚過敏が治った」という言葉につながるのかなと思います。もちろん、本当に過敏さがなくなった人もいるようです。慣れや折りあい、「あきらめ」も含めて、過敏さがおだやかになることがあればいいのになと思います。</p>
<p>それとは逆に、「どんどん感覚過敏がひどくなっている」とおっしゃる人もいます。感覚過敏も発達障害の症状の1つとして先天的にある場合もあれば、うつ病やPTSD などの精神疾患などで後天的になる場合もあります。おとなになってから感覚過敏になった場合は、どんどんひどくなっていくと感じることもあるのではないかと思います。</p>
<p>もう1 つは、逆に感覚過敏を認知して、より感覚が研ぎ澄まされて過敏になっていく場合もあります。僕もその傾向があることは否定できません。</p>
<p>感覚過敏という言葉に出会って、心が軽くなったのは事実ですが、もし、感覚過敏という言葉を知らなかったら、「気のせい」「気にしすぎ」で処理できたこともあったかもしれません。</p>
<p>感覚過敏が治るか治らないかについては、「わからない」というのが現実です。でも、過敏さを緩和できる方法は遠くない日に実現できると思っています。その方法を発明する人間はやっぱり僕であったらいいなと思っています。</p>
<h3>専門家の視点から</h3>
<p>「感覚過敏」は病気ではなく、あくまで特性ですので、治る／治らないの軸で議論することはできません。ただ、環境を整備することで感覚の過敏性は緩和できます。</p>
<p>たとえば、ニオイに過敏性があっても、ニオイのしない空間では困りは発生しません。このように、工夫や配慮で環境にアプローチすることが重要となります。そのためには、感覚過敏の当事者だけでなく、社会全体が「感覚過敏について知ること」が何より大切なのではないでしょうか？</p>
<p>※1）岩永竜一郎『自閉症スペクトラムの子どもの感覚・運動の問題への対処法』東京書籍／2014</p>
<p>&nbsp;</p>
<h4>加藤路瑛（かとう・じえい）</h4>
<p><img fetchpriority="high" decoding="async" class="alignleft wp-image-37766 size-medium" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/08/7212269d3641cf7e497d65e07d6f51eb-1-250x270.jpg" alt="" width="250" height="270" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/08/7212269d3641cf7e497d65e07d6f51eb-1-250x270.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/08/7212269d3641cf7e497d65e07d6f51eb-1-570x615.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/08/7212269d3641cf7e497d65e07d6f51eb-1-768x829.jpg 768w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/08/7212269d3641cf7e497d65e07d6f51eb-1-110x119.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/08/7212269d3641cf7e497d65e07d6f51eb-1-180x194.jpg 180w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/08/7212269d3641cf7e497d65e07d6f51eb-1.jpg 1050w" sizes="(max-width: 250px) 100vw, 250px" /><br />
2006年生まれ。株式会社クリスタルロード代表取締役社長。感覚過敏研究所所長。聴覚・嗅覚・味覚・触覚の感覚過敏があり、小学生時代は給食で食べられるものがなく、中学生になると教室の騒がしさに悩まされ中学2年生から不登校。その後、通信制高校へ進学。子どもが挑戦しやすい社会を目指して12歳で親子起業。子どもの起業支援事業を経て13歳で「感覚過敏研究所」を設立。感覚過敏の啓発、対策商品の企画・生産・販売、感覚過敏の研究に力を注ぐ。<br />
<br />
<a target="_blank" href="https://kabin.life/" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer" class="wpel-icon-right"><strong>■感覚過敏研究所</strong><span class="wpel-icon wpel-image wpel-icon-4"></span></a><br />
<strong><a target="_blank" href="https://kabin.life/kabinnomori" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer" class="wpel-icon-right">■感覚過敏コミュニティー かびんの森<span class="wpel-icon wpel-image wpel-icon-4"></span></a></strong></p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>「文系・理系」を死語にする、変わる数学教育</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-37355/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 May 2022 02:30:19 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[入試]]></category>
		<category><![CDATA[共通テスト]]></category>
		<category><![CDATA[大学受験]]></category>
		<category><![CDATA[教育]]></category>
		<category><![CDATA[数学]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=37355</guid>

					<description><![CDATA[いま、中高の数学教育が激変しています。たとえば幾何の立体を学ぶ単元では3Dプリンタを用いたり、生徒同士のディスカッションや探求を深める「教えない数学の授業」を取り入…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>いま、中高の数学教育が激変しています。たとえば幾何の立体を学ぶ単元では3Dプリンタを用いたり、生徒同士のディスカッションや探求を深める「教えない数学の授業」を取り入れている学校もあります。</p>
<p>それと時を同じくして、早稲田大学の看板でもある政経学部など、文系でも数学を必須とする私立大学が増えはじめたことにより、「私文(私立文系)なら数学を捨てられる」といった受験戦略が崩壊しました。</p>
<p>ここでは、激変する数学教育の今を追った宮本さおり氏のルポ『<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534059246/" data-wpel-link="internal">データサイエンスが求める「新しい数学力」</a>』より、大学受験にまつわる箇所をピックアップしてご紹介します。</p>
<h2>大学入試改革ショック</h2>
<p>ロボットなどの技術革新とグローバル化を迎えた社会を背景に、大学入試にも大きな変化が起こっています。特に顕著になっているのが首都圏の難関大学における変化です。</p>
<p>各大学が行う入試をどのように変更するかは、それぞれの大学に委ねられており、これまでも小さな変化は起こっていました。しかし、2021年度の共通テスト導入など、全体的にインパクトを与える動きが最近いろいろと出てきたのです。</p>
<p>難関私立大学が合格者数を減らしてくるなど、いくつかの要因が重なり、ここ数年の大学入試は“入試改革ショック”と言えるような状況が続いてきました。いったいどういうことが起きていたのか、少し詳しく見てみましょう。</p>
<p>最近の大学受験において苦渋を飲んだのが2018年度と2019年度の入試に挑んだ生徒たちです。文科省が大学定員厳格化を促した通達を発端に、難関私立大学では合格者数を大幅に減らす動きがありました。また、2020年度入試まででセンター試験の廃止が決まっており、学生や保護者の中には大きな不安が生まれていました。浪人すれば新しい形式の入試に挑まなければならないことになるからです。</p>
<p>「基礎学力が安定していれば、問題形式が変わっても解けるはず」という声ももちろんわかります。しかし、基礎学力があったとしても、問題形式が変わるとなれば、それなりの訓練が必要です。バレーボールの練習をしてきたのに、試合の直前に出場競技がいきなりバスケットボールになりましたと言われたら、同じ球技とは言え、いくら運動神経の良い子でもパフォーマンスに差が出るのは当然でしょう。</p>
<p>同じくらいの状況が今回の入試改革だったと思います。スポーツで言えば、使う筋肉が違ったり、使い方が違ったりするのです。教育について、国が掲げる「育成を目指す資質・能力」というものがありますが、その柱の1つとして、「思考力、判断力、表現力」ということがより強く言われるようになりました。そして、センター試験と比べて共通テストはこれらの力がより求められる問題に変わったのです。</p>
<h2>読解力が求められる数学のテスト</h2>
<p>初めての共通テストとなった2021年度(令和3年度)入試の問題を見ると、数学の問題では、中高一貫校の適性検査型入試でおなじみの太郎さん花子さん問題が出されていました。</p>
<p>問われる内容はこれまでのセンター試験とさほど変わらないのですが、国語のように文中にある穴を埋める形式になっているため、読解力が求められました。もちろん、数学的知見がなければ答えを導き出すことはできませんが、読解力も求められたのです。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone wp-image-37361 size-full" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu1.jpg" alt="" width="570" height="839" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu1.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu1-250x368.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu1-149x220.jpg 149w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /> <img decoding="async" class="alignnone wp-image-37362 size-full" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu2.jpg" alt="" width="570" height="839" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu2.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu2-250x368.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu2-149x220.jpg 149w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /> <img decoding="async" class="alignnone wp-image-37359 size-full" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu3.jpg" alt="" width="570" height="839" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu3.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu3-250x368.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu3-149x220.jpg 149w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /> <img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-37360" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu4.jpg" alt="" width="570" height="839" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu4.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu4-250x368.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2022/05/kyotu4-149x220.jpg 149w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>そして、各大学で実施する入試についても変化が見られます。共通テストの実施に合わせたかのように、入試科目を変更する大学もありました。また、早稲田大学の看板学部、政治経済学部が共通テストの数学の受験を必須にしたのは大きな話題となりました。これにより“私立文系は数学ができなくても合格できる”という神話が崩れることになりました。</p>
<p>早稲田大学総長の田中愛治氏は、2020年に行われた「週刊東洋経済」の取材に対し、全学に数学入試を導入することは2〜3年前から議論していたと回答しています。そして、政経の入試で数学を必須にしたのは、入学後の勉強に必要な基礎学力として、数学が必要だからだと述べています。</p>
<p>実際、政治学の分野でもデータ科学的な研究が行われるようになっています。元々数学的素養が求められることの多かった経済学部に加え、すべての学部でデータを使った研究が進められています。もはや数学は大学生である以上、知っていて当然、活用できて当然の必要不可欠な科目となりつつあるのです。</p>
<hr />
<p><strong>宮本さおり(みやもと・さおり)</strong><br />
教育・子育て分野を中心に執筆するジャーナリスト。同志社女子大学卒業後、地方紙記者として文化・教育紙面を担当。2004年、夫の留学に伴い渡米し、シカゴにて第一子の子育てに専念。2008年から教育、子育て、ワークライフバランス分野を中心に取材活動を再開。2015年より老舗中学受験雑誌『私立中高進学通信』で外部記者として学校取材を担当。</p>
<p>近年は「AERA」や「東洋経済オンライン」などで執筆。「東洋経済オンライン」のルポ連載「中学受験のリアル」は毎回人気記事ランキングにランクインする人気連載に成長。2019年、親子のための中等教育研究所を設立。「東洋経済オンラインアワード2020ソーシャルインパクト賞」受賞。プライベートでは大学生と小学生の子を持つ母。</p>
<p><strong>中村力(なかむら・ちから)</strong><br />
北海道大学大学院理学研究科修了。公益財団法人 日本数学検定協会 学習数学研究所 研究員。日本数学検定協会において、「ビジネス数学検定」と「データサイエンス数学ストラテジスト」資格試験の立ち上げに全面的に関わった。著書に『完全ガイド! 数学検定1級 出題パターン徹底研究』(森北出版)、『ビジネスで使いこなす「定量・定性分析」大全』(日本実業出版社)などがある。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>「障害のある人にとって申請は簡単じゃない」生活保護をあきらめたホームレス男性の実情</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-35903/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 13 Sep 2021 03:00:50 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[ノンフィクション]]></category>
		<category><![CDATA[分断]]></category>
		<category><![CDATA[格差]]></category>
		<category><![CDATA[社会問題]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=35903</guid>

					<description><![CDATA[「今、直視してもらいたいことがある。――君が生きていく日本社会は、格差という地雷に埋め尽くされている」 ノンフィクション作家である石井光太さんは、貧困や児童虐待など…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「今、直視してもらいたいことがある。――君が生きていく日本社会は、格差という地雷に埋め尽くされている」</p>
<p>ノンフィクション作家である石井光太さんは、貧困や児童虐待など、さまざまな社会問題の現場に足を運んできました。最前線で取材を重ねる石井さんは「大半の人たちは自分が生きてきた世界、あるいはそれに近い世界しか知らず、それ以外は想像さえできないのだと、つくづく感じる」と語ります。</p>
<p>いまの日本社会では、人々の尊厳が損なわれている様子を「自己責任」という言葉で切り捨ててしまうことが多々あります。しかし、本人が選べなかった環境や格差構造などの要因により苦しい境遇で生きる人たちを、安易な自己責任論で切り捨てることは、「無理解」の溝を深めることにほかなりません。</p>
<p>日本社会がどのような問題を抱え、それに対してどう向き合うべきなのか――<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058706/" data-wpel-link="internal">『格差と分断の社会地図　16歳からの〈日本のリアル〉』（石井光太：著）</a>は、その道筋を考える一冊です。</p>
<p>今回は「ホームレスと障害の深い関係性と福祉格差」について、石井さんが出会ったホームレス男性Iとの話をお伝えします。</p>
<p>※本稿は<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058706/" data-wpel-link="internal">『格差と分断の社会地図　16歳からの〈日本のリアル〉』</a>の一部を抜粋し、再編集したものです。</p>
<h2>なんでホームレスになるの？</h2>
<h4><span style="text-decoration: underline;">ホームレスの人々と障害の深い関係性</span></h4>
<p>真冬の街の片隅で、汚れた布団にくるまりながら眠っているホームレスの姿を一度は目にしたことはないだろうか？　小さな子供がそんな光景を前にすると、親の手をひっぱって、こう尋ねる。</p>
<p>「ねえ、なんで、あの人は道端で寝ているの？」</p>
<p>こう言えるのは、幸せな家庭で生まれ育ったからだ。往々にして、親はこうした子供の疑問には冷ややかだ。眉間にシワを寄せて「そんなこと言っちゃダメ」とか「見るのは失礼よ」と回答を濁して立ち去るか、「お勉強しないと、ああなるのよ」と言い捨てるかする。</p>
<p>残念ながら、親のホームレスに対するこうした説明は正確とはいえない。厚生労働省の調べでは、日本には現在約4000人のホームレスがいるとされている。</p>
<p>これは調査をする人が目で見て数えた統計であって、日中は仕事をしている人、一時的にネットカフェや簡易宿泊所にいる人、車上生活をしている人などは含まれないため、実態はもっと多いと推測される。</p>
<p>実は、ホームレスと障害者の関係は深い。全日本民医連の精神医療委員会が、114人のホームレスが障害や病気を抱える割合を調査したことがある。それによれば、ホームレスの34パーセントに知的障害があり、62パーセントに何かしらの障害があることが明らかになった。</p>
<p>また、ホームレスが時折寝泊まりしたり、元ホームレスが暮らしたりしている施設に「無料低額宿泊所」がある。厚生労働省がこの施設に寝泊まりしている人を調べたところ、45.2パーセントに知的障害の可能性があることが判明した。ホームレスの半分ぐらいは知的障害や精神疾患を抱えているということだ。</p>
<p>ここまで高い割合を占めているのは、刑務所のケース（※）と同様に、一部の障害者が福祉のレールからこぼれ落ちているからだ。そんな例を1つ見てみたい。</p>
<h2>ホームレスIのケース</h2>
<h4><span style="text-decoration: underline;">障害のある人が支援をはずされるとき</span></h4>
<p>宮城県の小さな町で、Iは長男として生まれた。年子の姉が1人いる、母子家庭だったそうだ。実家で祖父母と同居していたが、母親は病弱で部屋に閉じこもってほとんど出てこなかった。Iは、母親と会話をした記憶がないという。</p>
<p>その母親が死去したのは、小学生のときだった。</p>
<p>姉はそのまま実家の祖父母に育てられることになったが、知的障害のあったIは、別の親戚の家をたらい回しにされた。1年おきに家が変わるような状態で、途中からは学校にも行かなくなった。</p>
<p>10代の半ばから、Iは道路工事にかかわる肉体労働をするようになった。九州から北海道まで全国の工事現場を渡り歩いたが、その日稼いだお金はその日のうちにすべてお酒につかった。将来を見据えてお金をきちんと貯めることを誰からも教えてもらわなかったし、障害ゆえに自分でも考えつかなかったのだろう。</p>
<p>そんな生活の中で、Iは50代のときには重度のアルコール依存症になり、心身に異常が現れるようになった。手足が震えたり、幻覚が見えたりするようになったのだ。</p>
<p>知的障害に加えて、こうした症状が現れれば、仕事をつづけることはできなくなる。気がついたときには仕事を失い、ホームレスになっていた。</p>
<p>ホームレスをはじめてしばらくして、支援団体の炊き出しに行った。このとき、支援団体のスタッフから生活保護を受けないかと提案された。自分たちが手続きの協力をしてあげる、と。Iはお金をもらえるならと思って、役所へ出向いた。受給条件はおおよそ満たしていたが、職員からこう言われた。</p>
<p><strong>「生活保護を受けるには、ご家族があなたに対する支援をしないという意思表示が必要になります。お姉様や、そのほかのご親族に連絡し、それを確認してもよろしいでしょうか」</strong></p>
<p>それを聞いて、Iは生活保護をもらうのをあきらめた。いまさら自分を捨てた親族に支援を求めたくなかったし、長らく会っていない姉に迷惑をかけたくなかったのだ。それで彼はホームレスとして生きていくことになった。</p>
<h4><span style="text-decoration: underline;">「生活保護を受けることで、国のお荷物になりたくない」</span></h4>
<p>軽度の知的障害であれば、社会でそれなりに働くことはできるが、人生設計を立ててお金を計画的につかうとか、人間関係を築いて管理職にステップアップしていくといったことが難しい。いつまでも厳しい現場仕事をしながら、その日暮らしをしていくことになりがちだ。そんな中で体調を壊すと、Iのように一気にホームレスへ転落しかねない。 </p>
<p>有名な社会活動家のひとりに、湯浅誠さんという人がいる。湯浅さんは、人が貧困状態に至る要因として<strong>「五重の排除」</strong>があるとしている。</p>
<div class="notable-area"><strong>1.教育過程からの排除　</strong>学校で教育を受けられずに社会的地位を得られない。   <br />
<strong>2.企業福祉からの排除</strong>　企業に勤めて安定した収入を得られない。   <br />
<strong>3.家族福祉からの排除</strong>　家族からの支援を受けられない。   <br />
<strong>4.公的福祉からの排除</strong>　生活保護等の公的福祉を受けられない。<br />
<strong>5.自分自身からの排除</strong>　社会復帰への希望を失う。</div>
<p>Iのケースを見てみると、障害があるがゆえに教育や家族のセーフティーネットが失われていく過程がわかるはずだ。それは最後の砦であるはずの生活保護のような公的支援も同様だ。生活保護を受給するには、自分自身に障害や病気など何かしらの問題あって働くことができず、かつ親族からの支援を受けられないことを証明しなければならないのが実態だ。</p>
<p>だが、知的障害のある人が、その手続きを行なうのは簡単なことじゃない。</p>
<p>まず、彼ら自身が公的福祉の存在を知らなかったり、説明を受けても理解できなかったりすることがある。支援者が現れても、これまでいろんな形でだまされてきた経験があれば、素直に耳を傾けようとしない。</p>
<p>人によっては、役所が家族に連絡を取るのを嫌がることもある。親に虐待を受けてきた人、トラブルがあって絶縁されている人、恨みを買って追われている人などは、自分の現状をつたえられたくない。そのために、Iのように自ら手続きを拒絶してしまう。</p>
<p>意外に多いのが、<strong>国の負担になりたくない</strong>と考えて公的支援を拒むケースだ。</p>
<p>彼らの中には、それまで社会の足手まといのように扱われてきた経験を持つ人も少なくない。そうしたことから、<strong>「生活保護を受けることで、これ以上国のお荷物になりたくない」</strong>と考え、ホームレスとして生きることを選ぶ。</p>
<p>こうして見ていくと、障害のある人たちがホームレスになるプロセスが見えてくるんじゃないだろうか。本当に支援が必要な人にほど、支援が届きにくいという現実があるといえるんだ。</p>
<p>（※）本書「講義6：格差と分断の受け皿　刑務所という名の福祉施設」（P244-256）参照</p>
<p>***</p>
<p>石井さんは、本書の「おわりに」で以下のように語ります。</p>
<blockquote>
<p>僕が格差に目を向けることの重要性をくり返し述べてきたのは、一人ひとりが起きていることに問題意識を持って溝を埋める努力をすることでしか、負のスパイラルを止めることはできないと考えるからだ。</p>
</blockquote>
<p>格差が広がる社会を改善していくために、まず重要になるのは「“自分の中にも差別はある”という認識を受け入れる」ことではないでしょうか？</p>
<p>自分の内側にある意識を振り返るとき、そして理解できない他者と共生すべく歩み寄るとき、〈日本のリアル〉を伝える1冊としてこの本がお役にたてれば幸いです。</p>
<p><strong>石井光太（いしい・こうた）</strong></p>
<p>1977(昭和52)年、東京生まれ。国内外の貧困、児童問題、事件、歴史などをテーマに取材、執筆活動を行なっている。ノンフィクション作品に『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『近親殺人』（新潮社）、『物乞う仏陀』『本当の貧困の話をしよう』（文藝春秋社）、『ぼくたちはなぜ、学校に行くのか』（ポプラ社）、『人生の歩きかた図鑑』（日本実業出版社）など多数。また、小説や児童書も手掛けている。『こどもホスピスの奇跡　短い人生の「最期」をつくる』で第20回「新潮ドキュメント賞」を受賞。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>「相続登記の義務化」知っておきたいポイントをまとめました</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-35834/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[WH]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 25 Aug 2021 02:45:58 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[不動産登記法改正]]></category>
		<category><![CDATA[相続]]></category>
		<category><![CDATA[相続登記義務化]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=35834</guid>

					<description><![CDATA[2021年4月、民法と不動産登記法が改正されました。今回の改正の目玉といわれるのが「相続登記の義務化」です。法改正にいたった背景とポイントをまとめました。 ※本稿は…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">2021年4月、民法と不動産登記法が改正されました。今回の改正の目玉といわれるのが「相続登記の義務化」です。法改正にいたった背景とポイントをまとめました。<br />
<span style="font-size: 14px;"><strong>※本稿は岡信太郎<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058652/" rel="noopener" data-wpel-link="internal">『図解でわかる改正民法・不動産登記法の基本』</a>の一部を抜粋・再編集したものです</strong></span></div>
<h2>改正の背景──増加し続ける所有者不明土地</h2>
<p><strong>所有者不明土地</strong>の増加が空き家と並んで大きな社会問題となっています。特に2011（平成23）年に起きた東日本大震災の復興において、所有者不明土地がその大きな妨げとなっている事実が次々と報告されました。</p>
<p>私たちが土地や建物の不動産を所有することは、憲法により私有財産制として保障されています。その一方で、<strong>国土の保全</strong>という国家の在り方を考えたときに、国がまったく対策を取らず、このまま所有者不明土地を放置することは、次世代に大きな負担を強いることを意味します。</p>
<p>ましてや、日本はすでに超高齢社会に突入し、人口減少社会、さらには<strong>大相続時代</strong>を迎えようとしています。</p>
<p>このような社会情勢の中、政府は所有者不明土地問題の解決を喫緊の課題として対策を本格化させました。そして2021（令和3）年4月の国会で<strong>民法及び不動産登記法が改正</strong>されたのです。</p>
<p>そして、今回の不動産登記法の改正の中で、最も私たちに影響が大きいものの1つが<strong>「相続登記の義務化」</strong>です。所有者不明土地の発生を予防するための有効な手段として考えられています。</p>

<figure id="attachment_35837" aria-describedby="caption-attachment-35837" style="width: 570px" class="wp-caption alignnone"><img decoding="async" class="size-full wp-image-35837" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/1bf0936ab027e578b9381f1d53820228.jpg" alt="" width="570" height="459" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/1bf0936ab027e578b9381f1d53820228.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/1bf0936ab027e578b9381f1d53820228-250x201.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/1bf0936ab027e578b9381f1d53820228-110x89.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/1bf0936ab027e578b9381f1d53820228-180x145.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /><figcaption id="caption-attachment-35837" class="wp-caption-text">『図解でわかる改正民法・不動産登記法の基本』p9より</figcaption></figure>

<h2>「相続登記の義務化」は改正の目玉</h2>
<p><strong>改正不動産登記法では、これまで任意とされてきた、相続を原因とした所有権移転登記が義務化されます（2024年度までに施行）。</strong></p>
<p>これまでは私的自治の観点から、登記をするかしないかは当事者の任意とされてきました。極端な話、お金を出して不動産を買ったとしても、登記をしなくてもそれはそれで当事者の自由な判断となります。</p>
<p>もっとも、土地を買って登記をしておらず、第三者が先に登記した場合には、その第三者に対抗できないという民法上の決まり（登記の対抗力）があります。そのため、売買により不動産を取得した場合には、お金を払っているので登記をして自分の権利を守ろうとするインセンティブが大きく働くことになります。</p>
<p>一方、相続においては、相続した不動産の売却の予定がなければ相続登記の必要性が感じられないと一部でささやかれてきました。そもそも自己の法定相続分については登記をしなくても対抗力が認められるため、早急に相続登記を行う動機がないという側面があります。手間と費用をかけて相続登記を行う動機付けが、<strong>登記を促進</strong>するにあたりネックとなっていました。</p>
<h2>改正法施行後は公法上の義務が発生</h2>
<p>しかし、土地の登記名義人に相続が発生した場合、改正法施行後は、期限内に次の名義人となる人を決めて申請する必要があります。改正により、相続登記が義務となるからです。つまり、“いつまでに相続登記をしないといけないという決まりはない”という従来の主張は通用しなくなるのです。</p>
<p>登記に現状を反映させるための公法上の義務が私たち国民に課されたわけで、これからは、<strong>土地所有権の在り方</strong>そのものが変わると考えたほうがよいでしょう。</p>
<h2>いつまで？──期限は相続開始後3年以内</h2>
<p>改正不動産登記法の条文では、不動産の所有権の登記名義人が亡くなった場合について、次のような規定が設けられました。</p>
<p>第76条の2「相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない」</p>
<p>ここでまず重要なことは、相続登記義務を履行すべき期間が<strong>3年</strong>以内と明確に規定されたことです。</p>
<h2>誰が？──不動産名義人の相続人に申請義務</h2>
<p>では、誰が相続開始から3年以内に申請義務を負うのでしょうか。</p>
<p>今回の改正では、不動産登記における<strong>相続登記が義務化</strong>となっています。したがって、売買や贈与により不動産を取得した方は対象外であり、亡くなった不動産名義人の相続人が基本的に申請義務を負うことになるのです。</p>
<p>では、亡くなった方が相続人以外の第三者などに遺言で不動産を渡すとした場合（遺贈）には、どうなるのでしょうか。この場合には、相続人には申請義務は課されません。というのも、第三者への遺贈だと、不動産の権利は第三者に引き継がれ、登記名義も相続人ではなく第三者名義になるからです。</p>
<h2>いつから？──既発生の相続についても対象に</h2>
<p>今回の改正法が施行される前に発生した相続についての取り扱いについて、法務省の説明では、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、所有権を取得したことを知った日、または、改正法の施行日のいずれか遅い日から3年以内に、所有権の移転の登記をしなければならない、とされています。</p>
<p>つまり、抜本的な所有者不明土地問題を解決するため<strong>すでに発生した相続</strong>についても対象となるとされたのです。</p>
<p>したがって、改正法施行前は義務ではなかったため、相続登記をしていなかった方も、施行後3年以内に手続きをする必要があります。</p>

<figure id="attachment_35838" aria-describedby="caption-attachment-35838" style="width: 570px" class="wp-caption alignnone"><img decoding="async" class="size-full wp-image-35838" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/8955e73c1740fa4944719732903db2b4.jpg" alt="" width="570" height="346" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/8955e73c1740fa4944719732903db2b4.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/8955e73c1740fa4944719732903db2b4-250x152.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/8955e73c1740fa4944719732903db2b4-110x67.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/8955e73c1740fa4944719732903db2b4-180x109.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /><figcaption id="caption-attachment-35838" class="wp-caption-text">『図解でわかる改正民法・不動産登記法の基本』p41より</figcaption></figure>

<h2>罰則はあり？──10万円以下の過料も</h2>
<p>改正法施行後、相続登記義務を履行しないとどうなるのか、気になるところです。</p>
<p>この点に関しても、改正不動産登記法の第164条において「申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処する」と定められました。</p>
<p>つまり、改正法施行後に相続登記を行わない場合は、<strong>過料の対象</strong>となることが新たに規定されたのです。</p>
<p>この条文だけ見ると、相続開始後３年以内に相続登記をしていない場合にすぐに過料に処されるのではと思われる方もいるかもしれません。</p>
<p>しかし、条文にもあるように<strong>“正当な理由”</strong>がある場合は、過料の対象外となります。“正当な理由”については、改正法の施行に合わせ今後、具体的に法務省から示されていくものと思われます。</p>
<p>また、過料というのは<strong>裁判所</strong>から発せられます。不動産登記を執り行う法務局からどのように過料の対象を裁判所に通知するかについても、今後法務省令等に所要の規定を設けるとされています。したがって、過料の通知については、その基準や手続きを明確にした上で適切に運用されることが今後求められます。</p>
<hr />
<h4>著者プロフィール</h4>
<h4>岡　信太郎（おか　しんたろう）</h4>
<p>1983年生まれ。北九州市出身。司法書士、合気道家、坂本龍馬研究家。関西学院大学法学部卒業後、司法書士のぞみ総合事務所を開設。政令指定都市の中で最も高齢化が進む北九州市で、不動産登<br />
記・遺産相続・後見業務を多数扱う。介護施設などの顧問を務め、連日幅広い層から法的サポートに関する相談を受けている。合気道（公益財団法人合気会四段位）の調和と護身の精神を取り入れた執務姿勢で、依頼者の厚い信頼を得る。『新版 身内が亡くなったあとの「手続」と「相続」』（監修、三笠書房）、『坂本龍馬 志の貫き方』（カンゼン）、『子どもなくても老後安心読本』（朝日新聞出版）、『済ませておきたい死後の手続き』（KADOKAWA）など著書多数。</p>
<p>&nbsp;</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>脳科学的に正しい「悪い子」のすすめ</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-35653/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 15 Jul 2021 02:32:29 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[学童期]]></category>
		<category><![CDATA[幼児期]]></category>
		<category><![CDATA[発達期]]></category>
		<category><![CDATA[育児]]></category>
		<category><![CDATA[脳科学]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=35653</guid>

					<description><![CDATA[子どもの脳の成長は、学力向上のためだけではなく精神面の安定からも大切です。脳の成長段階にあった子育てを『小児科医が教える　子どもの脳の成長段階で「そのとき、いちばん…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>子どもの脳の成長は、学力向上のためだけではなく精神面の安定からも大切です。脳の成長段階にあった子育てを<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058614/" data-wpel-link="internal">『小児科医が教える　子どもの脳の成長段階で「そのとき、いちばん大切なこと」』</a>(奥山力著、以下本書)より見てみましょう。</p>

※本記事は、本書の一部を編集のうえ抜粋したものです。</div>
<h2>子どもの脳の成長にとっては、なぜ「悪い子」がいいのでしょうか？</h2>
<p>「悪い子のすすめ」なんていうと、「どうして自分の大切な子どもを悪い子に育てなければいけないのか？」と疑問を持たれるかもしれません。「悪い子に育てることになんの意味があるのか？」と考えてしまうのも当然です。しかし「悪い子」というのは、子どもの脳の成長にとって非常に重要な視点なのです。</p>
<p>「未熟脳と成熟脳のちがい」として、脳のネットワークは1対1ではなく、多くのネットワークが同時に多角的につながるところからスタートします。それ以外にも脳のネットワークには、機能的な特徴があります。</p>
<p>基本的な脳のネットワークの構造は、そのネットワークを「促進するネットワーク」と「抑制するネットワーク」から成り立っており、お互いに制御するようにでき<br />
ています(下図参照)。</p>

<figure id="attachment_35655" aria-describedby="caption-attachment-35655" style="width: 570px" class="wp-caption alignnone"><img decoding="async" class="size-full wp-image-35655" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/07/zuhan_0506.jpg" alt="" width="570" height="400" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/07/zuhan_0506.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/07/zuhan_0506-250x175.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/07/zuhan_0506-110x77.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/07/zuhan_0506-180x126.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /><figcaption id="caption-attachment-35655" class="wp-caption-text">本書P.31より</figcaption></figure>

<p>しかし「成熟脳」では本来抑制系に働くネットワークが、幼児期の「未熟脳」では促進系に働くのです(GABA回路)。そのため、専門的にいえば、現時点では制御できなくなっている脳のネットワークを残しておくことが、「成熟脳」に成長したときに抑制系がしっかりと機能するようになるということがわかっています。</p>
<p>つまり、幼時期の子どもが「ギャー!」となるのは、多角的なネットワークの広がりでできている成長の証でもあるのです。子どもが「ギャー!」となるのを認めてあげることで、より理性的な人間に成長するチャンスが与えられるということなのです。</p>
<h2>厳しい対応は、脳のネットワークの成長を弱めてしまう</h2>
<p>逆に、「未熟脳」の子どもに対して、虐待をふくむ厳しすぎる不適切な対応をしてしまうと、ネットワークのつながりが粗雑になってしまいます。結果的に、感情のコントロールなどの抑制系のネットワークが成長しにくくなってしまいます。つまり、感情を自分で抑えたりすることが難しくなるのです。</p>
<p>虐待をふくむ厳しすぎる不適切な対応をして、子どもを従わせるような関わりをつづけて、一時的に一見すると「よい子」をつくり上げてしまっても、脳の抑制系のネットワークの発達が弱くなっていきます。さらには、脳のネットワーク自体の広がりさえ粗雑になってしまう、という大きな問題を抱えてしまうことになるのです。</p>
<p>そうすると、前頭機能が発達して自我の芽生えが高まる思春期になると、感情や行動の制御が難しくなり、まだ身体の小さな幼児期とは比べものにならないほどの激しい混乱の時期を迎える可能性が高くなってしまうのです。</p>
<p>思春期は、本来は脳の成長の時期なので、私は「反抗期」ではなく脳の「第二成長期」だと考えています。これまで「自分の視点」を尊重されながらすごす体験を繰り返していた子どもは、それほど激しい反抗はなく、プチ反抗くらいですごせます。</p>
<p>けれども、幼児期から思春期まで「よい子」ですごしていた子どもの混乱は、並大抵のものではありません。養育者に向けての激しい言動や攻撃、そして自分に向けての自傷行為などと激しく表出されることもあります。</p>
<p>だからこそ、子どもの成長は、ある一時期の「点〈結果〉」でみるのではなく、「線〈過程〉」で、さらにいえば「立体的〈変化〉」にみてほしいのです。</p>
<h2>「未熟な段階」を認めることが、のちのちの成長につながる</h2>
<p>「悪い子のすすめ」とは、子どものわがままのなかに、おだやかに育つ大きなカギが隠されているということです。現時点では、いうことが聞けない子どもの未熟な段階を認めながら、しっかりと成長を見守る視点が、のちのちのおだやかな自己コントロールのしやすい脳の形成に非常に重要であることを示しているのです。</p>
<p>そうはいっても、人前で「ギャー!」となってしまう子どもを前に、何もしないで無視しているような態度をとりつづけることは、親にとって非常に難しいことです。そのためには「環境は制限しても行動は制限しない」(本書4章参照)。つまり、公共の場などで子どもが騒いだら黙って撤退あるのみです。</p>
<p>子どもにとっては「できない場面」で責められるより、今はまだその場所に行かないほうが脳のネットワークの成長にもつながります。「子どもの視点」に合った対応が大切です。</p>
<hr />
<h4>著者プロフィール</h4>
<h4>奥山力(おくやま・ちから)</h4>
<p>1962年生まれ。秋田大学医学部卒業。東北大学医学部小児科学教室入局。国立病院機構仙台医療センター小児科勤務。東北大学加齢医学研究所発達病態学研究分野大学院にて小児血液疾患・免疫疾患・EBVAHSの研究。東北大学病態病理学講座免疫学教室にてX-SCIDの遺伝子治療の研究。土屋小児病院(埼玉県久喜市)にて小児心身症・発達障害・愛着障害の臨床。現在、埼玉県白岡市にて奥山こどもクリニック開業。埼玉県立総合教育センター・教育相談スーパーバイザー、子ども支援ラプシー研究会主催、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本スポーツ精神医学会メンタルヘルス運動指導士、日本医師会認定健康スポーツ医、日本小児精神神経学会認定医、日本小児心身医学会認定医。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>オードリー・タンの母が創った「子どもが主体的に学ぶ学園」のユニークさ</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-35209/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[WH]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 30 Apr 2021 02:30:58 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[オードリー・タン]]></category>
		<category><![CDATA[オルタナティブ教育]]></category>
		<category><![CDATA[種子学園]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=35209</guid>

					<description><![CDATA[“台湾の天才IT相”オードリー・タン氏は、その稀有な知性ゆえか幼少期は学校になじめず、転校と不登校を繰り返した末に、自宅で学習することを決めました。周囲が猛反対する…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">“<span style="font-family: メイリオ, 'ＭＳ Ｐゴシック', 'ヒラギノ角ゴ Pro W3'; font-size: 15px; font-style: normal; font-variant-ligatures: normal; font-variant-caps: normal; font-weight: 400;">台湾の天才IT相</span>”オードリー・タン氏は、その稀有な知性ゆえか幼少期は学校になじめず、転校と不登校を繰り返した末に、自宅で学習することを決めました。周囲が猛反対するなか、母の李雅卿だけはオードリーの決断を尊重し受け入れます。<br />
<br />
オードリーの苦しみを理解し成長を支えた彼女は、既存の教育に疑問を持ち、自らまったく新しい学園を創ることを決意します。<br />
<br />
<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058485/" rel="noopener" data-wpel-link="internal">『子どもの才能を引き出す　天才IT相オードリー・タンを育てた母の教育メソッド』</a>(李雅卿著)には、理想の学びを求めた李と教師、親、そして子どもたちの奮闘がいきいきと描かれています。本書のポイントを紹介します。</div>
<p>文：日本実業出版社WEB編集部</p>
<h2>「神童の母」は自ら学校を創った</h2>
<p>台湾のデジタル担当大臣を務めるオードリー・タン氏は、いま最も著名な台湾人のひとりだろう。2016年、台湾史上、最年少の35歳で入閣し、新型コロナウイルスのパンデミックに際しては、素早く的確な対策を打って、その活躍ぶりが広く世界に知られるようになった。また、世界的にもめずらしいトランスジェンダーの閣僚としても知られている。</p>
<p>もっとも、台湾やIT業界では早くから有名な「神童」だった。8歳ごろからプログラミングに関心をもちはじめ、15歳で起業し、オープンソースのプログラミング言語「Perl(パール)」の発展に貢献した。やがて、米アップル社や台湾のIT企業から顧問として迎えられるなど、その才能が高く評価されてきた。明晰な頭脳はIQ180以上といわれる。</p>
<p>だが、天才の多くがそうであるように、オードリーも学校にはなじめなかった。中学生のころ、画一的な教育の現場からこぼれ落ちて不登校になり、中退して自宅での独習に切り替えたい、と周囲に訴えた。</p>
<p>当然のように、大人たちは猛烈に反対したが、母の李雅卿だけはその考えに理解を示し、尊重したという。そして、本人の希望どおりに中退を許すと、李は既存の学校を頼らずに済む教育について、懸命に研究しはじめた。新聞記者や編集者としてジャーナリズムに携わっていた彼女は、教育の専門家ではなかったが、社会の枠組みからはみ出してしまったわが子をサポートするため、子どもの才能を最大限に引き出す教育のあり方を独学で模索したのである。</p>
<p>そうした経験から、彼女は既存の学校に代わる新たな選択肢の必要性を痛感し、現実に「種子学園(種籽親子実験小学)」という学校を創設した。そして、自身が初代校長を務め、じつにユニークな教育を実践する。</p>
<p>結果として、台湾におけるオルタナティブ教育の草分けとなった同学園では、具体的にどのような教育が行なわれてきたのか。彼女の著書<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058485/" rel="noopener" data-wpel-link="internal">『子どもの才能を引き出す　天才IT相オードリー・タンを育てた母の教育メソッド』</a>には、その様子が克明に描かれている。</p>

<figure id="attachment_35262" aria-describedby="caption-attachment-35262" style="width: 570px" class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" class="size-full wp-image-35262" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/c7d5c523be9abe0c9605900a6dd37129.jpg" alt="" width="570" height="378" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/c7d5c523be9abe0c9605900a6dd37129.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/c7d5c523be9abe0c9605900a6dd37129-250x166.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/c7d5c523be9abe0c9605900a6dd37129-110x73.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/c7d5c523be9abe0c9605900a6dd37129-180x119.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /><figcaption id="caption-attachment-35262" class="wp-caption-text">文化の日の行事の様子</figcaption></figure>

<h2>教育方針は「いかなる権威的なものも導入しない」</h2>
<p>実際、種子学園には次のような興味深い特徴がある。</p>
<ul>
	<li><strong>学年分けをしない</strong></li>
	<li><strong>科目は子どもが自由に選択する</strong></li>
	<li><strong>学校のルールは子どもが討論して決める</strong></li>
</ul>
<p>そのほか、問題があれば学園内の「法廷」で解決をはかる、子どもが担当教師を選択する、定員は60名を上限として、子ども7名に対し1名の割合で教師が配置される、といった点も、既存の学校にはあまり見られない工夫だろう。いずれも、子どもが主体的に学習する環境を整えるために考えられたものである。</p>
<blockquote>
<p>「私たちが望むのはすべての子どもが生まれながらに備えている善への志向性や向上心をそのまま保ちながら、生活の本質を感じ取り、生命の変化の本質を理解できるようになること、物事を追求し探索する勇気を持つようになることだ」（あとがき）</p>
</blockquote>
<p>とはいえ、理想と現実は違う。本当に、子どもの自主性を信用してもいいのか。教育とは、本来、ある種の強要や強制をともなうものではないのか。</p>
<p>李が掲げる「いかなる権威的なものも導入しない」という教育方針は多くの支持を得たものの、創設当初は教師や保護者の一部から不安の声も上がった。受講科目を選択制にするという思い切った学習システムについての懸念は、その典型だろう。教育上の配慮から、国語と数学だけは必修科目とされたが、それ以外の科目は何を選んでもかまわない、というのである。</p>
<p>もし、子どもが単に好き嫌いだけで「偏食」したら、どうするのか。その将来を思うほど、大人が危惧するのは当然かもしれない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h2>教育とは、自ら伸びようとする子どもを応援すること</h2>
<p>だが、そうした心配はまったくの杞憂だった。偏食どころか、受けたい科目の時間割が重なってしまうため、ほとんどの子どもが時間割の調整を希望してきたのである。しかも、実際に授業が始まると、授業中、周囲の迷惑となるような不真面目な子どもがいた場合、その子どもを追い出すよう教師に要求する声さえ上がるようになったという。不真面目な子どもは、その他の子どもが授業を受ける権利を侵害しているから、というのが、その理由である。</p>
<blockquote>
<p>「私たちは、学習の時期、学習速度、そしてどういった方法で学ぶか、それらに対する子どもたち自身の判断と選択を尊重しているだけなのだ」（39ページ）</p>
</blockquote>
<p>受講科目を選択制にしたねらいについて、李はそう語る。そして、</p>
<blockquote>
<p>「大人の手助けが適切、かつ学校の提供するカリキュラムも合理的なら、子どもたちは学習を望むばかりか、往々にして大人からの学習提供にも協力的」（48ページ）</p>
</blockquote>
<p>になることを、子どもたちとともに過ごすなかで悟った、と吐露している。</p>
<p>しかし、彼女は種子学園を創設する前から、そう確信していたに違いない。大人の適切な手助けも、合理的なカリキュラムも望めない環境が、いかに子どもの学習意欲を削いでしまうか、わが子を通じて実感していたからである。環境さえ変われば、という切実さからか、オードリーはじつに7つの学校を渡り歩いた。</p>
<p>同書に描かれた種子学園をめぐる彼女の奮闘ぶりは、幼い才能の芽を摘むことなく、自ら伸びようとする子どもを応援する大人のあるべき姿を示唆している。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-35263 aligncenter" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/4fa61d5e4d672c7be78b136ada60ce4c.jpg" alt="" width="570" height="341" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/4fa61d5e4d672c7be78b136ada60ce4c.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/4fa61d5e4d672c7be78b136ada60ce4c-250x150.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/4fa61d5e4d672c7be78b136ada60ce4c-110x66.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/4fa61d5e4d672c7be78b136ada60ce4c-180x108.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>（写真提供：Seedling Experimental School）</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>相続トラブルを防ぐ！ 正しい「遺言」の活用法</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-34488/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Ｙ]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 01 Feb 2021 01:00:27 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[民法]]></category>
		<category><![CDATA[相続]]></category>
		<category><![CDATA[落語]]></category>
		<category><![CDATA[遺産分割]]></category>
		<category><![CDATA[遺言]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=34488</guid>

					<description><![CDATA[自分らしい人生の最期を迎えるための準備＝終活（しゅうかつ）。身辺整理をするなかで、家族への遺産分割に頭を悩ませるのは、いつの時代も同じようで……。江戸の商人・赤螺屋…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div>
<div>
<p>自分らしい人生の最期を迎えるための準備＝終活（しゅうかつ）。身辺整理をするなかで、家族への遺産分割に頭を悩ませるのは、いつの時代も同じようで……。江戸の商人・赤螺屋吝兵衛（あかにしやけちべえ）も、３人の息子のうち、だれに家督を譲るか決めかねていました。はたして、迷った末の結論は……。古典落語『片棒』を題材に、「相続する人・される人」が知っておきたい「遺言」制度についてお話ししましょう。<br />
<span style="font-size: 12px;"><strong>※本稿は<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058256/" data-wpel-link="internal"><strong style="font-size: 12px;"><span style="color: #ff6600;">『落語でわかる「民法」入門</span></strong><strong style="font-size: 12px;"><span style="color: #ff6600;">』（弁護士：森 章太・著）</span></strong></a>をもとに一部抜粋・再編集しています。</strong></span></p>
<div class="notable-area">
<h6 style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: 16px;"><span style="font-size: 14px;">あらすじ：</span><span style="font-size: 20px;">『片棒』</span></span></strong><br />
<span style="font-size: 12px;">〈麻生芳伸 編『落語特選 下』（筑摩書房、平成12年）341〜352頁 参照〉 </span></h6>
<p>赤螺屋吝兵衛は、食うものも食わず貯め込んで、一代で金持ちになった商人である。<span style="text-decoration: underline;">3人の息子のうち、だれに家督を譲るか決める</span>ため、自分が死んだらどのような葬式を出すかをそれぞれに尋ねた。</p>
<p>長男の松太郎は「料理代と車代だけで1人当たり30円（勤め人の1か月分の給金相当額）かけ、3000人が出席する豪勢な葬式を行う」という。吝兵衛は「貯めた金が葬式のためになくなってしまう」と嘆く。</p>
<p>次男の竹次郎は「山車（だし）の上に算盤（そろばん）を弾く吝兵衛の人形を設置するなど、祭りのような葬式を行う」と答え、吝兵衛は呆れる。</p>
<p>三男の梅三郎は「葬式を立派に行う必要はない、棺桶（かんおけ）を買うとお金がかかるので、物置にある菜漬の樽で間に合わせる」と答える。しかし、「樽を人足（にんそく※）に担がせると日当を払わなければならないので、自分が片棒を担ぐつもりだが、もう1人の担ぎ手がいない……」という。すると、吝兵衛がいう。</p>
<p>「なあに心配するな、片棒はおれが担ぐ」</p>
<h6><span style="font-size: 12px;">※人足……力仕事をする労働者</span></h6>
</div>
</div>
</div>
<h2>特定の人に遺産を譲る「遺言」制度</h2>
<p>吝兵衛であれば、経費節約のため、いかにも自分の死体が入った樽を担ぐのではないかと思えるところが、落語『片棒』の面白さです。子どもたちが遺産分割で争うようなことがあれば、吝兵衛が黄泉の国から現れて差配するかもしれませんが、現代日本では、特定の人に遺産を譲る方法として<strong>「遺言（いごん）」</strong>という制度があります。</p>
<p>遺言は、自分の死後に一定の効果を発生させる個人の意思表示で、遺言者（被相続人）が亡くなってはじめて効力が生じます。15歳以上であれば遺言することができますが、基準年齢を超えているからといって、必ずしも効力が認められるわけではありません。高齢者などで意思能力がなく、遺言が無効と判断されることもあります。</p>
<p>他方で、一定の相続人に最低限保証される、遺言によって侵害されない持分的利益＝<strong>「遺留分（いりゅうぶん）」</strong>があります。被相続人が贈与（ぞうよ）および遺贈（いぞう）などによって自分の財産を自由に処分することに対して制限を加えるものです。</p>
<p>もし、吝兵衛が三男に財産をすべて譲るなら、遺言書を作成するのも1つの手段ですが、その場合、長男と次男は遺留分を侵害されることになります。では、どうすればよいのでしょうか。ここでは、わかりやすくするため、吝兵衛の（推定）相続人は「子3人のみ」であることを前提に話を進めていきましょう。</p>
<h6><span style="font-size: 12px;">※明治31年に施行された民法には、家督相続（戸主の地位の相続）と遺産相続がありましたが、昭和23年に施行された改正民法において家督相続は廃止されました。</span></h6>
<h2>自筆証書遺言の作成ルールは厳格</h2>
<p>遺言の方式のうち、よく利用されているのは<strong>「自筆証書遺言」</strong>と<strong>「公正証書遺言」</strong>です。</p>
<p>自筆証書遺言とは、<span style="text-decoration: underline;">遺言者が<strong>「遺言書の全文」「日付（作成年月日）」</strong>および<strong>「氏名」</strong>を自分で書き、<strong>「押印」</strong>して作成する方式</span>です。遺言の効力が生じるときには遺言者が生存しておらず、遺言者の真意を確認できないため、遺言の作成ルールは厳格になっています。 　</p>
<p>遺言者は、本人が作成したことがわかるよう、<strong><span style="text-decoration: underline;">全文を自分で書かなければなりません</span></strong>（財産目録についてはワープロ打ちでもよい）。日付が必要とされる理由は、 遺言能力の存否や複数ある場合における遺言書作成の「先後」を判断するためです。</p>
<p>自筆証書遺言の押印は、実印である必要はなく、認印や指印でもかまいません。また、遺言内容の変更や加除を行うときは、遺言者が変更・加除した旨を付記して署名し、その変更場所にも押印が必要です（単なる誤記の訂正には不要）。近年は書類の電子化が進み、日本のハンコ文化も変容しつつありますが、重要な文書については作成者が署名後に押印することで文書の作成を完結させる慣行が根強く残っています。 　</p>
<p>自筆証書遺言の長所は、作成費用があまりかからないこと。いかにも『片棒』の吝兵衛が重視しそうな点です。一方、短所は、作成ルールが守られていないために遺言が無効とされたり、遺言書が隠匿などされるおそれがあるということ。さらには、遺言者の死亡後に家庭裁判所による<strong>「検認（けんにん＝偽造・変造を防ぐために原状保全する手続き）」</strong>が必要であり、遺言能力をめぐって争いになりやすい面もあります。</p>
<h2>自筆証書遺言の「検認」は遅滞なく…</h2>
<p>遺言書の保管者は、相続開始を知った後、<strong><span style="text-decoration: underline;">遅滞なく</span></strong>、検認の請求をしなければなりません。また、封印のある遺言書は、<strong><span style="text-decoration: underline;">家庭裁判所で開封</span></strong>しなければならず、検認を経ないで遺言を執行したり、裁判所外で開封したりした場合は、5万円以下の過料になります。もっとも、家庭裁判所外で開封したからといって、遺言が無効になるわけではありません。 　</p>
<p>検認の請求がされると、家庭裁判所は、検認期日を定め、相続人に呼出状を送ります。検認期日では、出席した相続人などの立会いのもと、裁判官が（封印のある遺言書の場合は）開封したうえで遺言書を検認します。検認後、検認済みの証印を付した遺言書は、申立人（保管者）に返還されます。検認期日に欠席しても、後日、家庭裁判所で検認調書と遺言書写しを謄写することができます。 　</p>
<p>この検認によって、遺言書の形状、加除訂正の状態など検認の日現在における遺言書の内容を明確にできますが、<span style="text-decoration: underline;">検認を受けたからといって、その遺言が有効であると裁判所が認めたことにはなりません。</span> 　</p>
<p>なお、2020(令和2)年7月から、<strong>法務局（遺言書保管所）に自筆の遺言書の保管を任せることができる</strong>ようになりました。保管申請費用は1件につき3900円。法務局で保管されている遺言書は<span style="text-decoration: underline;">検認が不要</span>です。</p>
<h2>公証人が作成する公正証書遺言</h2>
<p>一方、公正証書遺言は、<span style="text-decoration: underline;">遺言者から遺言の趣旨を伝えられた<strong>公証人が筆記</strong>して公正証書によって作成する方式</span>です。公証人というのは、実務経験を有する法律実務家の中から法務大臣が任命する公務員で、公証役場で執務しています。 　</p>
<p>公正証書遺言の作成方式は民法に定められていますが、実際には、遺言者（またはその代理人）から遺言の内容を事前に聴取した公証人があらかじめ証書を作成し、これを遺言者に読み聞かせ、遺言者がこれを承認するかたちで <strong>「口授（こうじゅ）」</strong>を行ったこととし、署名および実印による捺印をして完成させることも多いようです。 　</p>
<p>作成場所は、原則として公証役場です。ただし、遺言者が病気や高齢などのために公証役場に赴くことができない場合には、病院や自宅などで作成することもできます。</p>
<p>公正証書遺言の長所としては、公証人が関与し、公証役場に原本が保管されるので（正本・謄本は遺言者等が保管）、形式不備から遺言が無効となったり、偽造などのおそれが小さいことが挙げられます。自筆証書遺言に欠かせない検認も不要です。</p>
<p>一方、短所は、公証人手数料の支払いと2人以上の証人が必要になること。また、公正証書遺言であっても、遺言者に遺言能力がなかったことにより、遺言が無効になることがあります。もし『片棒』の吝兵衛が公正証書遺言を作成するなら、「自分が証人にもなる」といいそうですが、遺言者本人は証人になれません。また、推定相続人も利害関係者なので証人にはなれないため、吝兵衛の子も証人にはなれません。</p>
<h2>財産を無償で譲る「遺贈」</h2>
<p>遺言者が遺言によって財産を与える<strong>「遺贈（いぞう）」</strong>は、相続人以外の第三者に対して行うこともできます。<strong>「特定遺贈」</strong>と<strong>「包括遺贈」</strong>があり、特定遺贈とは、特定の財産を与える遺贈のことで、権利のみが与えられます。包括遺贈とは、遺産の全部または一定割合を与える遺贈で、権利のみではなく、義務（負債）も承継されます。</p>
<p>相続人に対して遺贈することもできますが、<span style="text-decoration: underline;">特定の相続人に遺産の全部を相続させる</span>という内容の遺言は包括遺贈ではなく、（相続分の指定を含む）<strong>遺産分割方法の指定</strong>です。</p>
<p>また、<span style="text-decoration: underline;">特定の相続人に特定の遺産を相続させる</span>という内容の遺言（特定財産承継遺言）は特定遺贈ではなく、（相続分の指定を含む）<strong>遺産分割方法の指定</strong>であり、遺産分割手続きを要することなく、被相続人の死亡時に直ちに相続により承継されます。</p>
<p>遺言により指定された財産の取得を望まない場合、特定遺贈であれば、遺贈を放棄したうえで他の遺産を相続することができます。しかし、 特定財産承継遺言のときは、相続なので指定された財産のみを放棄することはできず、相続放棄をしない限りは指定された財産を取得することになります。</p>
<h6><span style="background-color: #ccffff;"><strong>【もし、受遺者および承継者が亡くなったら…】</strong></span></h6>
<p><span style="text-decoration: underline;">遺言者が死亡する以前に遺贈を受ける者（受遺者）が死亡</span>したときは、<span style="text-decoration: underline;">遺贈は</span><strong><span style="text-decoration: underline;">無効</span></strong>になります。また、<strong><span style="text-decoration: underline;">特定財産承継遺言</span></strong>の場合も、遺言者が死亡する以前に承継者が死亡したときは、<span style="text-decoration: underline;">原則として<strong>無効</strong></span>となります。代襲して受遺者などの子が遺贈などを受けることができるわけではありません。</p>
<p>なお、被相続人が死亡する以前に相続人となるべき者が死亡していたときは、その者の子（被相続人の直系卑属に限る）が代襲して相続人になります。 　</p>
<p>もし、『片棒』の吝兵衛が三男に対して遺贈するまたは相続させる旨の遺言を作成した場合、吝兵衛の死亡以前に三男が死亡したときは、遺贈などは無効になります。三男の代わりに三男の子（吝兵衛の孫）が代襲して相続人にはなりますが、遺贈などを受けられるわけではありません。三男が死亡した場合には三男の子に取得させる考えがあるならば、その旨を遺言書に明記などすることが必要です。</p>
<h2>「遺留分」を請求する権利</h2>
<p>冒頭でもふれたとおり、被相続人の財産の中で、一定の相続人に留保されている持分的利益を<strong>「遺留分」</strong>といいます。被相続人が贈与および遺贈などによって自分の財産を自由に処分することに対して制限を加えるものです。</p>
<p>遺留分権利者となるのは、<strong>相続人（兄弟姉妹を除く）</strong>です。遺留分の割合は、<span style="text-decoration: underline;">直系尊属のみが相続人</span>である場合は<strong>「3分の1×法定相続分」</strong>、<span style="text-decoration: underline;">それ以外</span>の場合は<strong>「2分の1×法定相続分」</strong>。遺留分が侵害された場合、遺留分権利者は、受遺者または贈与を受けた者に対して金銭債権を取得し、侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。</p>
<p>たとえば、『片棒』の場合、長男の松太郎、次男の竹次郎、三男の梅三郎の遺留分はそれぞれ6分の1（＝3分の1×2分の1）。もし、吝兵衛が三男に財産をすべて譲るという遺言をしたなら、長男と次男はそれぞれ、三男に対して、財産の価額の6分の1に相当する金銭の支払いを求めることができるわけです。 </p>
<p>なお、侵害額を請求するかどうかは、遺留分権利者の自由ですが、遺留分侵害請求権は、<span style="text-decoration: underline;">相続の開始および遺留分の侵害を知ったときから<strong>「1年間」行使しない</strong></span>と、<strong>時効</strong>によって消滅します。また、<strong>相続開始時から「10年」</strong>を経過したときも消滅します。　</p>
<h2>「遺言」は変更・撤回できる</h2>
<p>遺言を作成したものの、後で状況が変わったり、内容を見直したいこともあるでしょう。遺言には契約のような拘束力はないので、遺言者は遺言をいつでも変更・撤回することができます。</p>
<p>撤回する場合、遺言書にその旨を明記する必要はなく、前の遺言書と抵触する内容の遺言書を作成すれば、 撤回したことになります。また、撤回は同一の方式である必要はなく、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することも可能です。</p>
<p>たとえば、『片棒』の吝兵衛が、仮に次男と三男に2分の1ずつ譲るという内容に変更したいのであれば、その旨を記載した遺言書を作成すればよく、「前の遺言を撤回する」とあえて記載する必要はありません。</p>
<p>このほか、後のトラブルを避けるため、遺言書は遺留分を考慮した内容にしたり、遺言事項（法定された遺言でなしうる行為）ではないものの、付言事項として遺言書の内容とする理由を記載することも多いようです。</p>
<h6><span style="font-size: 12px;">＊本記事の内容は、2020年10月現在の法律に基づいています。</span></h6>
<hr />
<h4>著者プロフィール：森 章太（もり しょうた）</h4>
<p>弁護士。1981年生まれ。横浜市立大学商学部経済学科卒業。税理士法人勤務、税理士試験合格。慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。司法試験合格後、弁護士登録。東京中央総合法律事務所所属。横浜市立大学での市民向け講座の講師並びに税理士団体及び企業での研修講師を務めている。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>家賃滞納者に「立ち退き」を強制できる？　</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-34483/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Ｙ]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 21 Jan 2021 08:00:10 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[不動産]]></category>
		<category><![CDATA[強制執行]]></category>
		<category><![CDATA[民法]]></category>
		<category><![CDATA[落語]]></category>
		<category><![CDATA[賃貸借]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=34483</guid>

					<description><![CDATA[コロナ（COVID-19）が長期化するなか、減収を理由とする家賃の滞納に頭を悩ます家主（貸主）が増えています。国や自治体による賃料補助や減税などの救済措置があっても…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div>
<p>コロナ（COVID-19）が長期化するなか、減収を理由とする家賃の滞納に頭を悩ます家主（貸主）が増えています。国や自治体による賃料補助や減税などの救済措置があっても、契約解除が必要なケースもあるでしょう。しかし、店子（借主）にしてみれば、強制退去などたまったものではありません。では、どうすればよいのでしょうか。江戸時代も人々は知恵をめぐらせます。古典落語『長屋の花見』（『貧乏花見』）を題材に、「建物の貸主・借主」が知っておきたい法律についてお話ししましょう。<br />
<span style="font-size: 12px;"><strong>※本稿は<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058256/" data-wpel-link="internal"><strong style="font-size: 12px;"><span style="color: #ff6600;">『落語でわかる「民法」入門</span></strong><strong style="font-size: 12px;"><span style="color: #ff6600;">』（弁護士：森 章太・著）</span></strong></a>をもとに一部抜粋・再編集しています。</strong></span></p>
</div>
<div class="notable-area">
<div>
<h6 style="text-align: center;"><span style="font-size: 20px;"><strong><span style="font-size: 14px;">あらすじ：</span>『長屋の花見』<span style="font-size: 14px;">（『貧乏花見』）</span></strong></span><br />
<span style="font-size: 12px;">〈麻生芳伸 編『落語百選 春』（筑摩書房、平成11年）76〜95頁 参照〉</span></h6>
</div>
<div>
<div>
<p>長屋の住人たちは、春のある日の朝、家主から呼び出される。家賃の催促だと思い、お互いがどのくらい滞納しているかを確認しあう。</p>
<p><span style="text-decoration: underline;">入居時に支払った後18年間滞納している者、父の代に支払ったきり滞納している者、汚い長屋だから家賃が発生しないと思っている者、家賃のことを知らず家主から貰えるものだと思っている者</span>など、誰一人として家賃を満足に支払っていない。住人たちは退去を求められることも覚悟する。</p>
<p>家主の家に行くと、家賃の話ではなく、向島に花見に行くという。家主は、世間から貧乏長屋といわれていて景気が悪いので、貧乏神を追い払うために計画したのであった。家主が「酒と肴を用意した」というので、住人たちは盛り上がるが、実は、酒ではなく番茶を薄めたもの、かまぼこではなく月型に切った大根、玉子焼きではなく沢庵だった。</p>
<p>向島への道中、「花見に行く格好ではなく、猫の死骸を捨てに行くようである」などと住人たちが暗い話ばかりするので、家主が「もっと明るい話をしろ」と注意する。</p>
<p>すると、「昨晩寝ていると、天井がいやに明るいと思って見てみたら、きれいなお月さまだった……」と住人の１人が話し始めた。「寝たまま、月が見えるのか？」と尋ねられ、「<span style="text-decoration: underline;">ご飯を炊くために雨戸と天井板を剥がして燃やしてしまった</span>ので、月見ができる」と答える。</p>
<p>向島に着くと、家主は酒を飲んでいるかのように盛り上がることを住人たちに求めた。すると、誰かが、こんなことを言い出した。</p>
<p>「家主さん、近々長屋に縁起のいいことがありますぜ」<br />
「湯飲みのなかに、酒柱（さかばしら）が立ってますから」</p>
</div>
</div>
</div>
<h2>未収家賃の多くは「５年」で時効</h2>
<p>説明をわかりやすくするため、この『長屋の花見』（以下『長屋』）の家主は、ただの管理者ではなく、「所有者」であることを前提としましょう。</p>
<p>賃貸借契約を締結した場合、賃借人はいくつかの義務を負います。まず、賃料を支払わなければなりません（<strong>賃料支払義務</strong>）。賃料は特段の定めがなければ月末後払いですが、不動産賃貸借の場合は、契約により前月末に前払いとされていることが多いようです。</p>
<p>また、賃借人は、契約などによって定められた用法に従い、賃借物を使用収益しなければなりません（<strong>用法遵守義務</strong>）。さらに、賃借人は善良な管理者の注意をもって賃借物を保存しなければなりません（<strong>善管注意義務</strong>）。</p>
<p>なお、賃料債権は支払期限から「５年」を経過すると時効によって消滅します。この『長屋』の場合も、未収家賃の多くが時効によって消滅すると思われます。</p>
<h2>借主の義務違反でも契約解除できないことが…</h2>
<p><strong>(１)債務不履行解除</strong><br />
賃借人が義務違反をしたときは、賃貸人は<strong>債務不履行</strong>を理由として賃貸借契約を<strong>解除</strong>することができます。しかし、建物の賃貸借契約の場合、解除されると賃借人は生活や事業の場を失うことになります。</p>
<p>そこで、義務違反（債務不履行）があったときでも、いまだ信頼関係を破壊するに至らなければ、賃貸人が解除権を行使することは信義則（しんぎそく）上認められません（<strong>信頼関係破壊の法理</strong>＝次項）。</p>
<p>信義則とは、<strong>信義誠実の原則</strong>のことで、権利の行使や義務を履行するにあたり、相互の相手方の信頼を裏切らないよう誠意をもって行動すべき、という法律の原則です。信頼関係を破壊するに至らない場合は、債務不履行が軽微であり、解除は認められないとも考えられます。</p>
<p>なお、債務不履行がなくても、信頼関係が破壊されれば、契約の解除が認められることがあります。その場合、解除による効果は契約締結時に遡るのではなく、将来に向かってのみ生じます。したがって、解除時までの賃料を返還する必要はありません。</p>
<p><strong>(２)信頼関係破壊の法理</strong><br />
では、どのような場合に、信頼関係が破壊したといえるのでしょうか。賃貸人に<strong>重大な経済的損失を与える場合</strong>（例：賃料を３〜４か月分以上不払い、著しく不相当な使用方法による賃借物の損傷）は、<strong>信頼関係破壊に該当</strong>します。</p>
<p>一方、賃貸人の<strong>主観的・感情的な信頼を害するにすぎない場合</strong>（例：挨拶の仕方が悪い）は、<strong>信頼関係破壊に該当しません</strong>。たとえば、別の落語『二十四孝（にじゅうしこう）』では、隠居が親不孝の熊に対して建物の明渡しを請求しますが、親不孝を理由として信頼関係が破壊したとすることは困難です。</p>
<p>問題となるのは、<strong>用法違反事例</strong>（例：禁止されたペットの飼育）や<strong>近隣迷惑事例</strong>の場合です。信頼関係破壊に該当するかは個別具体的に判断されることになります。</p>
<p>『長屋』の住人の場合、（長期間の）滞納は賃料債務の不履行であり、借家の雨戸と天井板を剥がして燃やしたことは善管注意義務違反です。いずれも家主に重大な経済的損失を与えているので、信頼関係の破壊に該当します。したがって、家主は賃貸借契約を解除して、明渡しを請求することができます。</p>
<h2>明渡しの強制執行は段階的に</h2>
<p>『長屋』の家主が住人に建物の明渡しを請求しても、居座る可能性があります。その場合、家主自身が実力行使で住人を建物から引きずり出すことはできません（<strong>自力救済の禁止</strong>）。しかし、民事執行法の<strong>直接強制</strong>によれば、強制的に建物を明け渡させることができます。前提として、債務名義（確定した判決など）が必要です。</p>
<p>義務違反による解除の主張をしたらすぐに直接強制ができるわけではなく、まずは、建物明渡請求訴訟で勝訴判決を得るなどしなければいけません。そのうえで、民事執行手続により執行官（国家公務員）が債務者の不動産に対する占有を解いて、債権者に占有させます。</p>
<p>具体的には、第１段階として、１か月後を引渡期限と定め、<strong>明渡しの催告</strong>をします。引渡期限などを記載した公示書を物件内の冷蔵庫などに貼り付けます。</p>
<p>そして、第２段階として<strong>現実の執行（断行）</strong>をします。執行官は、戸が施錠されていても解錠業者に開けさせることができますし、債務者などが抵抗するときは、警察に援助を求めることができます。鍵を取り替え、新しい鍵を債権者に渡して執行完了になります。</p>
<h2>同居家族は賃借権も相続できる</h2>
<p>では、賃借人（契約者）が亡くなった場合はどうでしょう。『長屋』では、父の代から住む住人がいます。同居していた子は、引き続き居住できるのでしょうか。</p>
<p><strong>「賃貸借契約」</strong>の場合は、<strong>建物賃借権の相続が認められ</strong>ますが、無償で使用収益する<strong>「使用貸借契約」</strong>の場合は、賃借人の死亡によって<strong>契約が終了</strong>します。貸主は借主を信頼して無償としているので、使用借権は相続になじまないことが理由です。</p>
<p>『長屋』の場合も賃貸借契約なので、父が亡くなっても、相続人である子は建物賃借権を相続し、引き続き居住することができます。汚い長屋だから家賃が発生しないと思っている住人については、仮に使用貸借契約とするなら、賃借人の死亡によって契約が終了します。</p>
<p>なお、亡くなった賃借人に相続人がいない場合、原則として賃貸借契約は終了しますが、同居人がいるときは、その同居人を保護する判例と借地借家法の規定（民法の特別法）があります。</p>
<h2>法定の更新ルールと立退料</h2>
<p>建物の賃借人は、借地借家法により保護されています。建物賃貸借の期間満了の１年前から６か月前までの間に更新をしない旨の通知をしなかったときは、契約更新とみなされます。</p>
<p>また、賃貸人が更新拒絶の通知をするには、賃貸人が建物の使用を必要とする事情など正当事由が必要です。賃借人に立退料を支払うことは、正当事由を補完する役割を果たします。</p>
<p>つまり、「賃貸借期間が満了するので退去してほしい」と家主からいわれたら、必ず退去しなければならないのではなく、家主に正当事由がなければ更新拒絶は認められません。仮に、更新拒絶が認められる場合であっても、立退料を受け取れることが多いようです。</p>
<h6><span style="font-size: 12px;">＊本記事の内容は、2020年10月現在の法律に基づいています。</span></h6>
<hr />
<h4>著者プロフィール：森 章太（もり しょうた）</h4>
<p>弁護士。1981年生まれ。横浜市立大学商学部経済学科卒業。税理士法人勤務、税理士試験合格。慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。司法試験合格後、弁護士登録。東京中央総合法律事務所所属。横浜市立大学での市民向け講座の講師並びに税理士団体及び企業での研修講師を務めている。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>【確定申告】どうする?　領収書がない場合の対処法</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-34120/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Ｙ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 04 Dec 2020 01:00:25 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[お金のことがわかる]]></category>
		<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[フリーランス]]></category>
		<category><![CDATA[確定申告]]></category>
		<category><![CDATA[記帳]]></category>
		<category><![CDATA[領収書]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=34120</guid>

					<description><![CDATA[フリーランス(個人事業主)が1年間の事業を総括する「確定申告」。初めての人はもちろん、何度もやっている人でさえ、なかなか要領を得ないもの。帳簿を見ながら経費をまとめ…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div>
<div class="notable-area">フリーランス(個人事業主)が1年間の事業を総括する「確定申告」。初めての人はもちろん、何度もやっている人でさえ、なかなか要領を得ないもの。帳簿を見ながら経費をまとめようとしたら、あるはずのレシートや領収書がないことも……。累計15万部超のロングセラー『フリーランスを代表して  申告と節税について教わってきました。』(きたみりゅうじ・著)の令和改訂版では、税金や保険にまつわる素朴なギモンから、困ったときの対処法まで、ぶっちゃけトークで解き明かします!<br />
<span style="font-size: 12px;"><strong>※本稿は<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058126/" data-wpel-link="internal"><strong style="font-size: 12px;"><span style="color: #ff6600;">『令和改訂版  フリーランスを代表して  申告と節税について教わってきました。</span></strong></a><a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058034" data-wpel-link="internal"><strong style="font-size: 12px;"><span style="color: #ff6600;">』</span></strong></a>をもとに一部抜粋・再編集しています。</strong></span></div>
<div>
<h2>なぜ、領収書が必要なのか？</h2>
<p>日常的に現金がとびかう現金商売の個人商店ならともかく、私らイラストレーターやライター、カメラマンなど個人事業主にとっては「記帳＝日々の経費を記録すること」がメインとなってくるでしょう。</p>
<p>入金は銀行口座にポンと振り込まれるのが常なだけに、月1回それを書き写しちゃえば、それですんじゃいますからね。だから、フリーランスが記帳だなんだいっても、結局それは「領収書を管理する」に尽きるんですよ、ほとんどの場合はね。それで、この記帳が最終的には所得を求めるために必要になってきます。</p>
<p>所得は「売上ー経費」で出てきます。売上は銀行口座にあった入金を集計すればいいから、そんなに記帳的には手間じゃない。……とすると、所得を求めるためには「経費」が集計できればよいとなる。そこで、領収書の出番となるわけです。</p>
<h2>領収書は額面15％の金券なのだ</h2>
<p>この「経費」ってやつは、キチンと「何を何のために購入した」って証明できなきゃいけないので、必然的に領収書をかき集めることで積み上げていくようになる。そ、領収書というのは経費のもと。それをせっせかためこんで、「売上ー経費」の式で「経費」部分をふくらませれば、必然的に所得が低くなってめでたく税金も安くなる……と。</p>
<p>そう考えるとですね、領収書ってのは政府からキャッシュバックしてもらえる金券みたいなものなんですよ。たとえば、課税所得が190万円の人なら、1万円分経費を上乗せできると課税所得は189万円。これって、課税対象額が1万円下がるということを意味します。</p>
<p>この場合、所得税と住民税とを合算した税率は15％になりますから、28万5000円だった税金は28万3500円になり、その差額の1500円は「払わなくてすんだ、ラッキー」ということになります。</p>
<p>同様に、2万円分の経費を乗せれば税金は3000円浮き、10万円なら1万5000円も浮くことになる。もちろん、それに応じて国保の掛け金なんかも低くなるので、実質はもっと還元されます。つまり領収書ってのは、最低でも額面の15％が還元してもらえるありがたい金券ってことになるのです。</p>
</div>
</div>
<h2>領収書はどうやって保管する？</h2>
<p>領収書の管理法というのは、ぶっちゃけ特に決まりはありません。基本的には、帳簿から逆引きできるようになっていればよしなので、まぁ「月単位で封筒にごそっと放り込んでおく」とか、「日付順でノートに貼り付けていく」とか、そのあたりはご自由に。</p>
<p>細やかな整理を得意技にしてる人なんかだと、「用途別＆月別で分類」したりなんかするとスペシャルパーフェクト……かもしれません。</p>
<p>ちなみに私の場合だと、そんなに細やかなことをする神経は持ち合わせていませんので、月別でベタベタとA4コピー用紙に糊付けしていくようにしています。んで、二つ穴空けパンチでコピー用紙に穴を開けて、キングファイルにファイリング。これだと領収書がどんだけ増えようが、コピー用紙を増量すればそれですむ話なので、とにかくペタペタ貼っていけば整理できちゃうところがお気に入りです。</p>
<h2>税理士センセイに聞いてみた！</h2>
<p>ただね、たかが領収書とはいえ、いざ税務署へ申告となると迷うことも出てきます。それで、税理士センセイにあれこれ聞いてみました。</p>
<p><strong>Ｑ(きたみ、以下同)　領収書によくある「上様」って宛名書きはまずいんですか？　あ、あと、品名も。これもどこまで厳密に書いとかないとまずいものなんでしょ？　たとえば、本ならきっちり書籍の名称まで書くべき？　それとも書籍代ってくくっちゃっていいもの？</strong></p>
<p style="padding-left: 40px;"><span style="background-color: initial;">「よそからもらってきただろうとか詮索されたりしますから、本来は『上様』は避けたいところですね。ただ、結局は程度問題ですよ。やたらと高額な経費を積んだりしてなきゃ、まぁ問題にはならんでしょう。品名も程度問題。百科事典みたいによほど高価な品でもない限りは、書籍代とか本代でくくっちゃって問題ありません」</span></p>
<p><strong>Ｑ　じゃあセンセー、領収書がない場合はどうすりゃいいんでしょうか？</strong></p>
<p style="padding-left: 40px;">「ああ、基本的には伝票処理ですね。伝票処理というのは、いついつ、いくらいくらを、どこで、なんのために払いましたよ〜という出金伝票をきっておくことです」</p>
<p><strong>Ｑ　出金伝票自体は100円ショップとかに行けば、それ用のがわんさと売ってますけど、それってつまりは好き勝手に書けちゃうってことですよね？　そんなんで信用できるんですか？</strong></p>
<p style="padding-left: 40px;">「信用できなきゃ、税務署の人が相手の店へ確認しに行くだけですよ。ウラはとろうと思えばとれるもんです。もちろん、伝票処理すればいいといっても、それはあくまでも例外処理的なもの。領収書の類(たぐい)が一切なくても全部伝票処理すればよいわけじゃないので、お間違えなきように。まぁ、『領収書なけりゃ全部ダメ!　認めらんない!』と言うほど、血も涙もないわけじゃないってことですね。ただ、100円や200円の消しゴムとかならともかく、ウン万円する万年筆とか、そんなものはやっぱり領収書がないとキビシイですからね」</p>
<p><strong>Ｑ　「領収書のないもの」といえば、「もらい忘れた」とか「なくしました」だけじゃなくて、そもそも「領収書なんか有り得ない」ものがありますよね。交通費とか。これも出金伝票ってことになるんですか？</strong></p>
<p style="padding-left: 40px;">「交通費だと、たとえば、毎回の履歴は一覧表形式で残しておいて、伝票処理自体は月単位で合計額を処理するとかするとよいでしょうね」</p>
<p><strong>Ｑ　り、履歴!  </strong><strong>めんどくさい……。JR東日本のSuicaでチャージしたときの領収書とか、あとは、バスにせよ地下鉄にせよプリペイドカードを1枚購入して、その購入費で管理するようにしてるんですけど、それじゃダメですか？</strong></p>
<p style="text-align: left; padding-left: 40px;">「そういうのはね、どことどこの間で使った電車代とかわかんないでしょ?　それだとその交通費が仕事用か否かがはっきりしないんで本当はダメなんですよ。でも、金額は年にどれくらい？　1万とか2万？ ……う〜ん、それくらいなら、まぁ問題にはならないかなぁ。でも、今ドキのクラウド会計サービスとかは、モバイルSuicaの履歴を拾ってきて月ごとにまとめた交通費精算伝票を出してくれたりするみたいだから、そういうのを活用したほうがいいでしょうね」</p>
<p style="text-align: left;"><strong>Ｑ　あっ、領収書がないといえば、冠婚葬祭時のご祝儀とかお香典もありますね。ちょっと想像しただけでも「領収書くれ」なんて有り得ないことはわかりますけど……</strong></p>
<p style="text-align: left; padding-left: 40px;">「それも忘れないうちに伝票処理をしておくのです。できれば、招待状とか、何か行ったことが証明できるようなものをとっておくとパーフェクトですね」</p>
<p style="text-align: left;"><strong>Ｑ　わかりました！　引出物とかとっとけばいいんですね！」</strong></p>
<h6 style="text-align: left; padding-left: 40px;">「いや、それはかさばりすぎるから」</h6>

<figure id="attachment_34214" aria-describedby="caption-attachment-34214" style="width: 421px" class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" class="wp-image-34214 " src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/187b12439e362f274df22d79f0ceb53f.png" alt="" width="421" height="1212" /><figcaption id="caption-attachment-34214" class="wp-caption-text"><strong><span style="font-size: 12px;">▲『令和改訂版  フリーランスを代表して  申告と節税について教わってきました。』は、フリーランスの誰もが知りたい申告と節税のポイントについて、4コマ漫画を交えてわかりやすく解説しています。</span></strong></figcaption></figure>

<hr />
<h4>著者プロフィール：きたみりゅうじ</h4>
<p>もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマー。あまりになんでもありでほとほと疲れ果てたので、他社に転職。その会社も半年であっさりつぶれ、移籍先でウィンドウズのパッケージソフト開発に従事するという流浪生活を送る。本業のかたわら自身のサイト上で連載していた4コマ漫画をきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター＆イラストレーターとして活動中。著書に『令和改訂版  フリーランスを代表して  申告と節税について教わってきました。』(日本実業出版社)、『フリーランスはじめてみましたが…』(技術評論社)、『新卒はツラいよ!』(幻冬舎)など多数。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>【確定申告】知らないとソンする税金の「なぜ?」</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-34066/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Ｙ]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 30 Nov 2020 08:30:44 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[お金のことがわかる]]></category>
		<category><![CDATA[暮らしに役立つ]]></category>
		<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[フリーランス]]></category>
		<category><![CDATA[所得]]></category>
		<category><![CDATA[確定申告]]></category>
		<category><![CDATA[税金]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=34066</guid>

					<description><![CDATA[フリーランス(個人事業主)が1年間の事業を総括する「確定申告」。でも、税金の法律はしょっちゅう変わるし、もうチンプンカンプン……そんな悩める人のお助けバイブル『フリ…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div>
<div class="notable-area">フリーランス(個人事業主)が1年間の事業を総括する「確定申告」。でも、税金の法律はしょっちゅう変わるし、もうチンプンカンプン……そんな悩める人のお助けバイブル『フリーランスを代表して  申告と節税について教わってきました。』(きたみりゅうじ・著)が大刷新。「そもそも税金ってナニ?」「青色申告は本当にトク?」「減価償却はどうやるの?」「消費税の処理は?」……フリーランスの著者と謎の税理士センセイが繰り広げる目からウロコの税金講座。令和の時代も、ぶっちゃけトークしちゃいます!<br />
<span style="font-size: 12px;"><strong>※本稿は<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058126/" data-wpel-link="internal"><strong style="font-size: 12px;"><span style="color: #ff6600;">『令和改訂版  フリーランスを代表して  申告と節税について教わってきました。</span></strong></a><a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058034" data-wpel-link="internal"><strong style="font-size: 12px;"><span style="color: #ff6600;">』</span></strong></a>をもとに一部抜粋・再編集しています。</strong></span></div>
<div>
<h2>そもそも税金ってなんぞや？</h2>
<p>いきなりですけど、税金って「安くすめばそれでいいことずくめ……」ってわけじゃないんですよ。みなさん、知ってました？　</p>
<p>払うもんが少なくすむわけだから、安きゃ安いほどいいはず。ノータックスヘブン万歳アイラブマネーベリマッチアイシンクソー。少なくとも、ボクはそんなふうに思っていました。ある税理士センセイと出会うまでは。</p>
<p>しがないフリーランスとしては「そもそも税金ってなんぞや？」と、アタマの中は疑問符だらけ。だけど、したり顔の税理士センセイの話を聞くうち、目からウロコがぽろぽろと。少〜しだけ税金のことがわかってくると、マジメに向き合おうという気持ちにもなるもの。苦手な確定申告や節税のことなんかにも、がぜん興味がわいてきました。</p>
</div>
</div>
<h2>もしも、事故にあったなら……？</h2>
<p>ただね、しょっぱなからガツンとやられましたよ。思い返しても冷や汗ものなんですが、その税理士センセイの話をちょっとだけお聞かせしましょう。</p>
<blockquote>
<p>あるところに、キタミというフリーランスのだらけた若者がおりました。キタミくんはでたらめな仕事で１千万円を荒稼ぎして、さらに経費もガンガン水増しして、毎年所得が０円になるよう申告していました。</p>
<p>所得が０円なので当然税金も０円です。奇跡的に税務署の調査が入るようなこともなく、浮いた税金分を使って彼は毎晩ビールを……それも発泡酒ではなくエビスビールを飲んで、幸せにすごしていたのでした。</p>
<p>そんなある日のこと、彼は事故をやってしまいます。もっとも悪いのは100％相手のほうなので、キタミくんは一方的に補償を受けるだけの話です。ただ、けっこうなケガをしてしまったので、彼はしばらく入院しなきゃいけないことになりました。　</p>
<p>病院暮らしは退屈です。ですが、考えようによっては休息するいい機会かとポジティブシンキング全開にして、休業補償でももらいながらのんびり病院暮らしを満喫してればいいや、と考えておりました。……ところが。</p>
</blockquote>
<h2>フリーランスが抱える未来のリスク</h2>
<p>ボクの無知を見透かすみたいに、税理士センセイの話はこんなふうに続きます。</p>
<blockquote>
<p class="p1">いくら売上が１千万円あろうとも、所得は０円なわけだからアナタの稼ぎも０円なわけ。つまり休業したって損失出ないんだから、補償すべきお金もありません……。そういやローンも組めませんねぇ。収入のない人は普通に考えりゃ返すアテもない人なんだから、そりゃ貸してくれるわけがないですよね。即金で買えばいい話なんだけど、なかなか住宅とかだとそうもいかないでしょう。</p>
</blockquote>
<p class="p1">え……？　ええええええええええ!!　ほんとに？　イヤあああああああ……。</p>
<blockquote>
<p class="p1">つまりはそういうことなんですよ。税金ってのは所得があるから払うもの。逆の見方をすれば、税金を払ってるってことは、それだけの所得がある証明だってことにもなるんです。</p>
</blockquote>
<p class="p1">さらに、会社という後ろ盾のないフリーランスには、そうした「税金を払ったことによる証明」というのが、信用をつちかうために残された数少ない手段のひとつである……と、税理士センセイはおっしゃいました。</p>
<blockquote>
<p class="p1">確定申告書って、フリーランスの人にとってはサラリーマンの源泉徴収票みたいなものなんですよ。所得を証明するためには欠かせない書類で、その証明のために所得なりの税金を納めている必要があるんです。</p>
</blockquote>
<p>なるほど。だから税金は「安けりゃいいって話じゃない」となるわけか。ボクはフリーランスで生きていながら、つくづく青いと思い知らされたのでした。</p>

<figure id="attachment_34087" aria-describedby="caption-attachment-34087" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" class="wp-image-34087 size-full" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/96bbbced5112439f835c80f2f5961fde.jpg" alt="" width="410" height="1133" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/96bbbced5112439f835c80f2f5961fde.jpg 410w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/96bbbced5112439f835c80f2f5961fde-250x691.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/96bbbced5112439f835c80f2f5961fde-58x160.jpg 58w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/96bbbced5112439f835c80f2f5961fde-80x220.jpg 80w" sizes="(max-width: 410px) 100vw, 410px" /><figcaption id="caption-attachment-34087" class="wp-caption-text"><strong><span style="font-size: 12px;">▲『令和改訂版  フリーランスを代表して  申告と節税について教わってきました。』は、フリーランスの誰もが知りたい申告と節税のポイントについて、4コマ漫画を交えてわかりやすく解説しています。</span></strong></figcaption></figure>

<hr />
<h4>著者プロフィール：きたみりゅうじ</h4>
<p>もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマー。あまりになんでもありでほとほと疲れ果てたので、他社に転職。その会社も半年であっさりつぶれ、移籍先でウィンドウズのパッケージソフト開発に従事するという流浪生活を送る。本業のかたわら自身のサイト上で連載していた4コマ漫画をきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター＆イラストレーターとして活動中。著書に『令和改訂版  フリーランスを代表して  申告と節税について教わってきました。』(日本実業出版社)、『フリーランスはじめてみましたが…』(技術評論社)、『新卒はツラいよ!』(幻冬舎)など多数。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>節税対策② 「贈与」と「相続」はどちらがトクか!?</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-33978/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Ｙ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 23 Oct 2020 10:00:18 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[お金のことがわかる]]></category>
		<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[相続]]></category>
		<category><![CDATA[相続時精算課税]]></category>
		<category><![CDATA[節税]]></category>
		<category><![CDATA[贈与]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=33978</guid>

					<description><![CDATA[現金・預金、土地・家屋などの不動産、有価証券、ゴルフ会員権……一定額以上の財産の相続または贈与にかかってくる「相続税」と「贈与税」。いずれも財産を受け取った人が納め…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div>
<div class="notable-area">現金・預金、土地・家屋などの不動産、有価証券、ゴルフ会員権……一定額以上の財産の相続または贈与にかかってくる「相続税」と「贈与税」。いずれも財産を受け取った人が納める義務のある税金ですが、どんな違いがあるのでしょうか。累計30万部を超えるロングセラーの最新リニューアル版<span style="color: #ff0000;"><a target="_blank" style="color: #ff0000;" href="http://njg.co.jp/book/9784534058089/" data-wpel-link="internal">『相続・贈与 かしこい節税の教科書』（小池正明・著）</a></span>から、知っておくと役立つ節税のヒントを紹介します。</div>
</div>
<h2>基礎控除や税率に大きな差が…</h2>
<p>いきなりですが、質問です。もし、成人した子が親から1000万円の財産をもらうとしたら、「相続」と「贈与」でどちらがトクになると思いますか？　</p>
<p>結論を先にいえば、1000万円に対する税額を単純に計算した場合、相続税は100万円、贈与税は177万円となるので、相続のほうがトクといえます。</p>
<p><span style="color: #333333;"><strong>　・相続税……1000万円×税率10％－０円＝100万円<br />
</strong><span style="font-size: 12px;">　　＊<span style="color: #333333; font-size: 12px;">控除額０円（国税庁：相続税の速算表）、被相続人の財産総額が3000万円以下なら無税</span></span><strong><br />
</strong></span><span style="color: #333333;"><strong>　・</strong><strong>贈与税……（1000万円－110万円）×税率30％－90万円＝177万円<br />
</strong><span style="font-size: 12px;">　　＊基礎控除額110万円、控除額90万円（国税庁：贈与税の速算表）</span><br />
<span style="font-size: 12px;">　　　親子間の贈与は軽減税率（特例税率）を適用</span></span></p>
<p>相続税と贈与税は、どちらも財産の移転にかかる税金で、互いに密接な関係にあるため、相続税法という１つの法律の中に定められていますが、控除額（課税価格から差し引ける額）や税率など、まさに天と地ほどの差があるのです。また、相続税は、財産の総額や家族構成などによっても大きく変わってきます。</p>
<p>たとえば、基礎控除額を比べると、相続税の場合、相続人１人なら3600万円で、相続人が１人増えるごとに600万円が加算されます。一方、贈与税の基礎控除額は、財産の価額に関係なく、年間１人110万円までと決まっています。贈与は毎年できるとはいえ、わずか110万円が上限で、これを超える財産は課税対象となります。</p>
<p><span style="color: #333333;"><strong>　・相続税の基礎控除額……3000万円+600万円×相続人数</strong></span><br />
<span style="color: #333333;">　・<strong>贈与税の基礎控除額……年間110万円</strong></span></p>
<p>上記のように、暦年（１月~12月の１年間）に受けた贈与財産をもとに贈与税を計算することを<strong>「暦年課税<span style="color: #333333;"><span style="font-size: 12px;">（※１）」</span></span></strong>といいますが、贈与税には<strong>「相続時精算課税<span style="color: #333333;"><span style="font-size: 12px;">（※</span></span><span style="color: #333333;"><span style="font-size: 12px;">２）」</span></span></strong>という特例もあり、これが適用される場合は2500万円までの贈与が非課税（特別控除）となります。</p>
<p>いずれの場合も、<span style="color: #333333;">複数の人から財産をもらった場合はその総額で計算しますが、不動産など財産評価が難しいものや、生活費や学費など課税されないものもあります。判断に迷ったときは、税務署や税理士など専門家に確認なさってください。</span></p>
<p style="padding-left: 40px;"><span style="font-size: 14px;"><strong>※１ 暦年課税</strong>……１年間に受けた贈与財産の合計から基礎控除額110万円を差し引いた残額に税率をかけて贈与税を計算する。その際、贈与があった年の1月１日時点で20歳以上の人が直系尊属（父母や</span><span style="font-size: 14px;">祖父母など）から受けた贈与は「特例贈与財産」として、それ以外の「一般贈与財産」より低い税率（軽減税率）になる。</span><br />
<span style="font-size: 14px;"><strong>※２ 相続時精算課税</strong>……原則として、60歳以上の父母（または祖父母）から20歳以上の子（または孫）に対して財産を贈与した場合に2500万円以内は非課税となり、これを超えた分は一律20％で課税される。ただし、相続開始前3年以内の贈与財産は相続税の対象財産に加算されるほか、この制度を利用すると「贈与税の暦年課税へ変更できない」「相続税の小規模宅地等の特例が受けられない」といった</span><span style="font-size: 14px;">デメリットもあるので、じっくり検討</span><span style="font-size: 14px;">したほうがよい。</span></p>
<h2>税率の区分もまったく違う</h2>
<p>次は、税率について見てみましょう。相続税も贈与税もどちらも<strong>「超過累進税率」</strong>といって、課税される財産が大きくなるほど高い税率が適用されます。この場合の税率は最低10％から最高55％までで、どちらも同じです。</p>
<p>しかし、途中の税率の区分はまったく違います。贈与税の税率は、親子間などでの贈与に適用される<strong>「軽減税率（特例税率）」</strong>と、その他の場合の<strong>「一般税率」</strong>の２通りがあり、この軽減税率と相続税の税率を比較したのが、次のグラフです。<img decoding="async" class="aligncenter wp-image-33987 " src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2020/10/d4483b6c382dd9196f68d78eef5179c5.jpg" alt="" width="498" height="666" /></p>
<p>これを見ると、課税対象となる財産の価額が同じでも、贈与税の税率のほうがかなり高く、累進度合もきつくなっていることがおわかりいただけるでしょう。このため、税額に置き換えると大きな差になるのです。</p>
<p>ではなぜ、このような差があるのでしょうか。それは、相続税と贈与税の関係性によるものです。贈与税には「相続税の徴収もれを防ぐために課税する」という大義名分があるため、仮に相続税の税率より低いとすれば、その役目が果たせません。生前に贈与して贈与税を払うほうが、あとで相続税を払うよりトクになってしまうからです。</p>
<h2>相続税は「点」、贈与税は「線」</h2>
<p>結局、どちらがトクかといえば、相続税のほうに軍配が上がりそうです。しかし、相続税と贈与税では、課税のしくみがまったく異なるため、同額の財産に対する税額だけを比較しても、あまり意味がありません。財産状況や家族構成などが違えば、必ずしも、相続税が有利とはいえなくなります。</p>
<p>たとえば、財産が何十億円もあるという高額資産家の場合、相続税では６億円を超える分には55％もの高い税率が適用されます。しかし、毎年600万円ずつ贈与すると、これに対する税率は20％ですから、この場合は、贈与のほうがトクになります。</p>
<p>また、相続税が「相続時点の遺産額」に課税されるのに対して、贈与税は「年間の贈与額」に課税しますから、税額をにらみながら贈与額を決められる、というメリットもあります。つまり、相続税は死亡という「点」の財産に課税、一方の贈与税は毎年の贈与という「線」の財産に課税するという違いがあるのです。</p>
<p>したがって、相続と贈与のどちらがトクかという単純な話ではなく、課税のしくみをよく理解したうえで、<strong>「相続と贈与をうまく組み合わせて全体として節税する」</strong>ということが、もっとも大切といえるでしょう。</p>
<p><span style="font-size: 12px;">＊本記事は、2020年9月１日現在の法令等に基づいています。</span></p>
<hr />
<h4>著者プロフィール：小池 正明（こいけ まさあき）</h4>
<p><span style="font-size: 14px;">⻑野県⽣まれ。中央⼤学卒業後、1978（昭和53）年税理⼠試験合格、1983（昭和58）年税理⼠事務所開設。税理⼠として企業の税務、経営を指導するとともに、講習会・セミナーなどの講師も担当。現在、⽇本税理⼠会連合会税制審議会専⾨委員⻑、早稲⽥⼤学⼤学院法務研究科講師。主な著書に<span style="color: #ff0000;"><a target="_blank" style="color: #ff0000;" href="http://njg.co.jp/book/9784534058089/" data-wpel-link="internal">『相続・贈与 かしこい節税の教科書』</a></span><span style="color: #0000ff;"><a target="_blank" style="color: #0000ff;" href="http://njg.co.jp/book/9784534057259/" data-wpel-link="internal">『最新 図解 消費税のしくみと実務がわかる本』</a></span>『法⼈税・消費税の実務処理マニュアル』（以上、⽇本実業出版社）、『⺠法･税法による遺産分割の⼿続と相続税実務』（税務研究会）などがある。</span></p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>節税対策① 大切な財産を守るための「3つの原則」</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-33966/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Ｙ]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 21 Oct 2020 09:00:58 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[お金のことがわかる]]></category>
		<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[相続]]></category>
		<category><![CDATA[節税]]></category>
		<category><![CDATA[贈与]]></category>
		<category><![CDATA[配偶者控除]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=33966</guid>

					<description><![CDATA[祖先から受け継いだ土地、苦労して得たマイホームや貯蓄……家族から一定額以上の財産を相続または贈与された場合にかかってくるのが「相続税」「贈与税」です。「自分には関係…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div>
<div class="notable-area">祖先から受け継いだ土地、苦労して得たマイホームや貯蓄……家族から一定額以上の財産を相続または贈与された場合にかかってくるのが「相続税」「贈与税」です。「自分には関係ない」「法律どおりに課税されるだけでしょ？」と、何も手を打たないと財産が目減りすることも……。累計30万部を超えるロングセラーの最新リニューアル版<span style="color: #ff0000;"><a target="_blank" style="color: #ff0000;" href="http://njg.co.jp/book/9784534058089/" data-wpel-link="internal">『相続・贈与 かしこい節税の教科書』（小池正明・著）</a></span>から、大切な財産を守るための「３つの原則」を紹介します。<br />
<br />
<span style="font-size: 12px;"><strong>※本稿は</strong><span style="color: #000000;">『相続・贈与 かしこい節税の教科書』（小池正明・著）</span><strong>をもとに再編集しています。</strong></span></div>
</div>
<h2>えっ、こんなに税金が違ってくるの？</h2>
<p>相続対策を「した人」と「しない人」として、よく比較される２人の実業家がいます。</p>
<p>ひとりは、特別な相続対策をしなかった松下幸之助氏（松下電器〔現パナソニック〕創業者・相談役、平成元年４月逝去）。遺産総額は2449億円で、国内史上最高額を記録。相続税は854億円にもなったそうです。</p>
<p>一方、生前贈与など徹底した相続対策を実行したのが山崎種二氏（山種証券〔現ＳＭＢＣ日興證券〕創業者・会長、昭和58年８月逝去）。生涯に1000億円の財産を築いたといわれながら、遺産額は38億円、相続税はわずか８億円でした。</p>
<p>一般人からすれば、財産も税金も桁違いですが、こうした富裕層に限らず、一定額以上の財産がある人なら、相続対策をするかしないかで納税額が大きく変わってくることは間違いありません。では、いったいどうすればよいのでしょうか。</p>
<h2>「そのとき」を考えて準備しておく</h2>
<p>相続対策は、個々の財産状況や家族構成などによって最適な方法は異なります。まず大前提として、次の「３つの原則」を押さえておきましょう。</p>
<p><strong><span style="color: #ff0000;">原則①</span> 節税対策</strong><br />
相続対策とはいうまでもなく、相続税の負担をできるかぎり少なくすること、これが第一です。いわゆる「節税対策」です。具体的な方法は後述しますが、どんなものに税金がかかるのか、税額はどうやって計算するのか、申告手続きの方法は……といった、基本的なことを理解しておく必要があります。</p>
<p><strong><span style="color: #ff0000;">原則②</span> 納税資金の調達</strong><br />
一定額以上の財産がある場合は、いかに節税対策を実行しても、相続税をゼロにすることは不可能です。そこで、節税対策を講じながら、同時に「納税資金の調達」も手当てしていくことが必要です。実際に相続が発生しても、不動産などの財産処分をせずに納税ができるよう準備しておくのです。</p>
<p><strong><span style="color: #ff0000;">原則③</span> 円満な相続＝相続をめぐるトラブル回避</strong><br />
現在の相続制度は「均分相続」で、長子だろうと末っ子だろうと、兄弟姉妹すべてに同等の権利が認められています。このため、互いに権利を主張し合う相続争いは、枚挙にいとまがありません。また、被相続人に子がない場合の配偶者と兄弟姉妹、先妻の子と後妻の子など、相続をめぐるトラブルもよく見かけるところです。したがって、「そのとき＝相続」を想定し、いかにスムーズな遺産分けをできるようにしておくか、を考えることは、もっとも大切な相続対策といえるでしょう。</p>
<h2>節税にもいろいろな考え方がある</h2>
<p>「３つの原則」のうち、みなさんの関心が高いのは節税対策でしょうか。ただ「相続税を少なくする」といっても、いろいろな方法があります。ここでは、基本的な考え方をお話ししておきましょう。</p>
<p><strong><span style="color: #ff0000;">節税①</span> 生前贈与を確実に実行する</strong><br />
節税対策のもっとも基本的な考え方は、課税対象となる相続財産の絶対量を減らしてしまうことです。つまり、生前贈与を確実に実行していくわけですが、それに伴う贈与税の負担を考えると、単純な贈与の繰り返しにはおのずから限界があります。そこで、<strong>「贈与税の配偶者控除の特例<span style="font-size: 12px;">（※１）</span>」</strong>や<strong>「住宅取得等資金贈与の特例<span style="font-size: 12px;">（※２）</span>」</strong>など税制のしくみを活用して、贈与方法に工夫をこらす必要が出てきます。ただし、相続税にも別の特例があるため、贈与税の特例で必ずトクするとは限りません。また、特例を適用する場合は、決められた期日までに申告が必要です。</p>
<p style="padding-left: 40px; text-align: left;"><span style="font-size: 14px;"><strong>※１ 贈与税の配偶者控除の特例</strong>……婚姻期間20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または住宅取得資金を贈与した場合、基礎控除110万円のほかに最大2000万円までは課税されない。ただし、適用は１回限り。贈与後も住み続けることが条件。</span><br />
<span style="font-size: 14px;"><strong>※２ 住宅取得等資金贈与の特例</strong>……直系の子（または孫、養子を含む）が住宅を取得・新築・増改築するときに親（または祖父母）が資金援助（贈与）した場合、一定要件を満たせば、暦年の基礎控除110万円に加えて最大1500万円までは課税されない。ただし、非課税限度額は、住宅の種類や契約締結日によって異なる。</span></p>
<p><strong><span style="color: #ff0000;">節税②</span> 財産は不動産で持つ</strong><br />
相続財産の評価額に着目するものです。「財産は現金で持つより不動産に換えるほうがトク」といわれるのは、不動産の<strong>「評価額」と「時価」との違い<span style="font-size: 12px;">（※３）</span></strong>があるからで、こうした見方は、当然、節税対策の中に取り込まなければなりません。</p>
<p style="padding-left: 40px;"><span style="font-size: 14px;"><strong>※３ 「評価額」と「時価」との違い</strong>……たとえば、土地の評価額は、時価（売買価格、実勢価格）のほか、公示価格（標準価格）、相続税評価額（路線価＝毎年、国税庁公表）、固定資産税評価額がある。相続税や贈与税を計算するときの評価額は、時価よりも低く見積もられるのが一般的（例外地域もあり）。</span></p>
<p><strong><span style="color: #ff0000;">節税③</span> 債務控除を利用する</strong><br />
「債務は時価で控除される」という債務控除の活用です。亡くなった人に負債があった場合、その負債を相続財産から差し引くことができるため、節税対策として、借入金でアパートを建築するというのが、まさにそれです。ただし、相続税が少なくなっても、借入金の返済に苦しむのでは意味がありません。この方法を実行するには、周到な準備と計画性が必要です。</p>
<p>このように、相続対策はいろいろな角度から検討し、それぞれの実態に応じた対策を打つことが大切です。ただし、財産評価や特例の適用など判断が難しいものもありますので、場合によっては、税理士など専門家に相談なさるとよいでしょう。</p>
<hr />
<h4>著者プロフィール：小池 正明（こいけ まさあき）</h4>
<p><span style="font-size: 14px;">⻑野県⽣まれ。中央⼤学卒業後、1978（昭和53）年税理⼠試験合格、1983（昭和58）年税理⼠事務所開設。税理⼠として企業の税務、経営を指導するとともに、講習会・セミナーなどの講師も担当。現在、⽇本税理⼠会連合会税制審議会専⾨委員⻑、早稲⽥⼤学⼤学院法務研究科講師。主な著書に<span style="color: #ff0000;"><a target="_blank" style="color: #ff0000;" href="http://njg.co.jp/book/9784534058089/" data-wpel-link="internal">『相続・贈与 かしこい節税の教科書』</a></span><span style="color: #0000ff;"><a target="_blank" style="color: #0000ff;" href="http://njg.co.jp/book/9784534057259/" data-wpel-link="internal">『最新 図解 消費税のしくみと実務がわかる本』</a></span>『法⼈税・消費税の実務処理マニュアル』（以上、⽇本実業出版社）、『⺠法･税法による遺産分割の⼿続と相続税実務』（税務研究会）などがある。</span></p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>なぜ、情報発信で稼ぐならnoteではなくブログを使うべきなのか？</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-33885/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 19 Oct 2020 07:30:37 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[note]]></category>
		<category><![CDATA[Wordpress]]></category>
		<category><![CDATA[ブログ]]></category>
		<category><![CDATA[ヨス]]></category>
		<category><![CDATA[副業]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=33885</guid>

					<description><![CDATA[最近は、SNSと異なる「ブログのようにある程度まとまった情報を発信するプラットフォーム」が多数あります。そのなかでも頭一つ抜けて利用者が多いのがnote株式会社が運…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>最近は、SNSと異なる「ブログのようにある程度まとまった情報を発信するプラットフォーム」が多数あります。そのなかでも頭一つ抜けて利用者が多いのがnote株式会社が運営する「note」でしょう。同プラットフォームは「有料記事の作成」などマネタイズも容易であり、アカウント登録してしまえばブログのような初期設定もほぼ不要なので、副業として手軽に始められる特徴があります。</p>
<p>ですが、<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058058/" data-wpel-link="internal">『読まれる・稼げる　ブログ術大全』</a>の著者であるプロブロガーのヨスさんは、「副業として情報発信をするならばやはりブログだ」と言います。なぜnoteではなくてブログがいいのか。その理由を語っていただきました。</p>
</div>
<p>こんにちは。ブログ「ヨッセンス」を運営するプロブロガーのヨスと申します。</p>
<p>最近では、2014年からサービスを開始した「note」に勢いがあり、使っている人も増えてきました。でも、わたしは依然として「ブログ」をオススメしております(※ここでの「ブログ」は「無料ブログ」を含まず、レンタルサーバーと契約し自分で独自ドメインを取得して運営するWordPressブログを指しています)。</p>
<h2>noteはWEBサービスである</h2>
<p>「インターネット上で情報を発信する」という観点からは、ブログもnoteも同じに見えますが、いくつかの点で違いがあります。</p>
<p>まず一番大きな特徴として、noteはnote株式会社という企業が運営する「WEBサービス」である点です。「アメーバブログ」や「はてなブログ」のような無料ブログと同じだと考えて差し支えありません。そのうえで、WordPressブログと比較すると次のような特徴があります。</p>
<ul>
	<li>無料で使えるためスタートするときのハードルが低い</li>
	<li>「フォロー」や「いいね」などのSNS的な要素がある</li>
	<li>独自のポータルがある</li>
	<li>自分の記事を売れる</li>
</ul>
<p>このうち、「独自のポータルがある」についてもう少し説明すると、同じnoteを使っている人の記事がピックアップされる「オススメ」があったり、同じハッシュタグを使って記事を書いている人をnote側が抽出してくれるため、ほかの人の目に触れやすいということです。</p>
<p>読者はポータルからあなたの記事へ、「なにかを検索する」という動機ではなく、「なにかおもしろい記事はないかな?」という動機でたどり着くこともあるため、思わぬ経路からファンになってもらえることもあるでしょう。</p>
<p>逆にWordPressブログではそういう「ポータル」がないため、TwitterなどのSNSを使わなければ、検索以外から読者が来ることはほぼありません。</p>
<p>そして、ほかの無料ブログにはない、note独自の機能が「有料記事」です。自分が書いた記事を記事単位、もしくは「マガジン(カテゴリーのようなもの)」単位で販売ができます。書籍を出版することは簡単にできませんが、noteで記事を販売するのは今日noteをはじめた人でもできてしまいます(もちろん、売れるかどうかはその人の影響力や運の要素が必要で、簡単ではないのですが)。</p>
<h2>WEBサービスであるがための不自由さも</h2>
<p>ただし、noteはWEBサービスであるがゆえに、大きくわけると3種類の「不自由さ」があります。</p>
<p><strong>1つ目が「表現の不自由さ」です</strong>。たとえば、デザインを凝って自分らしいデザインにしたいと思っても、ほかの無料ブログよりもさらに自由度がなく、何一つ変えられません。デザインだけでなく「書くこと」にも不自由さがあります。書く内容によっては「規約違反」になってしまい、削除される可能性も……。記事どころか、アカウント自体を停止されてしまうこともありえるのです。</p>
<p>つまり、note上で何百という記事を蓄積していても、規約違反によって、すべてが削除され「水の泡」になる可能性もあります。</p>
<p><strong>そして2つ目が「収益化の不自由さ」です。</strong></p>
<p>noteだと、収益化の主流である「Googleアドセンス(クリック型課金広告)」は使えませんし、ASPを使ったアフィリエイトも自由にできません。「有料記事として価値のある記事(作品)を販売できる」という点ではnoteは非常に魅力的ですが、広告やアフィリエイトを使った収益化は難しいと言えます。</p>
<p><strong>3つ目が「存続の不自由さ」です。</strong></p>
<p>WordPressだと「もうブログは閉鎖しよう」と思わない限り、ブログはなくなりません。ところがnoteの場合「サービスが終了となってしまったら、あなたの記事も一緒に消えてしまう」というリスクがあります。可能性は低くとも、無料サービスである以上「こちらの意思とは無関係に閉鎖される可能性がある」ということは常に覚えておきましょう。</p>
<h2>ブログは「自分の城」である</h2>
<p>いろいろなSNSやWEBサービス、無料ブログがあるなかで、わたしが今でも自分の「独自のブログ」を持つことをオススメしているのには、理由があります。</p>
<p>それは、ブログは「自分の城」になることです。</p>
<p>先述しましたが、WEBサービスというのは、ある企業が作ったサービスを「使わせてもらっている」という状態です。規約を破ると使えなくなるし、サービスが終了すると築き上げてきた「財産」を失ってしまいます。そう考えると、WEBサービスを「自分の城」にするにはリスクがありすぎると思いませんか？</p>
<p>だからこそ、noteのようなWEBサービスや無料ブログではなく、WordPressを使った独自のブログを持つことをオススメしているのです。レンタルサーバーに支払うお金がないとか、よほどのこと(ブログを犯罪に使っているなど)がないかぎり、WordPressブログが消滅の危機にさらされることはありません。</p>
<h2>ブログとnoteはまったく異なる媒体</h2>
<p>ブログとnoteがまったく違う媒体であるということをお話ししてきました。人によってはWordPressブログとnoteの「使い分け」が効果的だと言えます。</p>
<p>たとえば、文章を書くことがはじめての人や、パソコンすら触る習慣のない人の場合は、無料で使えるnoteはとっつきやすいです。気軽にスタートして、数行の日記でもいいので、「リハビリ」だと思って毎日noteに記事を投稿していきましょう。そして、3か月ほど、毎日noteに投稿できるほど「継続」が習慣化されたら、WordPressブログを開始し、本当の情報発信をするといいでしょう。</p>
<p>また、すでにブログを運営している人でもnoteを活用できる場合があります。</p>
<p>自分の運営するブログがなにかのテーマに特化している場合、テーマと無関係である内容についてはブログのなかで書きにくいです。たとえば、受験勉強対策について特化したブログに「近所のレストラン〇〇がおいしい」という記事はふさわしくないですよね？　そこでnoteを「思ったことを自由に書く場所」という使い方をするのです。数行の日記でもかまいません。</p>
<p>「検索されて読者がたどり着く」ということを考え、1つ1つの記事のクオリティを高くし、サイト全体の質を保つことが「読まれるブログ」を運営する上では大切です。でも、そんなことばかり考えていると、「クリエイティブな欲求」が阻害されてしまい、「書きたいのに書けない」というジレンマに陥ってしまいます。そこで、noteを併用すれば、「検索されて記事を読まれること」を考えずに自由な記事が書けるのです。</p>
<p>いずれにせよ、WordPressブログとnoteはまったく異なる媒体なので、うまく使い分けるようにしましょう。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>あなたの老後は大丈夫？   深刻化する「認認介護」</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-33716/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Ｙ]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 20 Sep 2020 02:00:43 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[暮らしに役立つ]]></category>
		<category><![CDATA[暮らしの「?」を解決]]></category>
		<category><![CDATA[介護保険]]></category>
		<category><![CDATA[制度改正]]></category>
		<category><![CDATA[地域包括ケアシステム]]></category>
		<category><![CDATA[認知症]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=33716</guid>

					<description><![CDATA[——国際アルツハイマー病協会（ADI）は、世界保健機関（WHO）と共同で、毎年９月21日を「世界アルツハイマーデー」、９月を「世界アルツハイマー月間」と定めて、認知…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div>
<div class="notable-area">——国際アルツハイマー病協会（ADI）は、世界保健機関（WHO）と共同で、毎年９月21日を「世界アルツハイマーデー」、９月を「世界アルツハイマー月間」と定めて、認知症のさまざまな啓蒙活動を行っています。日本でも、「老老介護」「認認介護」などと呼ばれる高齢者や認知症の人どうしの介護が深刻化するなか、介護保険制度が見直されました。2021年４月からは、認知症の人も家族も安心して暮らせるよう、生活支援や介護予防などの施策が強化されます。<br />
<br />
<span style="font-size: 12px;"><strong>※本稿は<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534058034" data-wpel-link="internal"><strong><span style="color: #ff6600;">『〈図解〉2021年度介護保険の改正 早わかりガイド』</span></strong></a>をもとに再編集しています。</strong></span></div>
</div>
<h2>介護は2025年と2040年にピークを迎える!?</h2>
<p>介護保険制度がスタートして今年で20年。制度ができる以前は、介護は家族や親族が担っていましたが、その後、急速に進む高齢化、介護期間の長期化、核家族化などの影響で、家族や親族だけで介護を行なうことがむずかしくなってきました。そこで、社会全体で介護を支えるためのしくみが整備されたのです。</p>
<p>行政がサービス内容などを決めていた、それまでの措置制度と比べれば、大幅に利便性が向上し、高齢期の暮らしを支えるしくみとして必要不可欠なものとなっている介護保険制度ですが、運用を続けるなかで、多くの課題が浮き彫りになってきました。</p>
<h2><span style="color: #ff0000;">課題①</span>　増え続ける利用者と介護費用</h2>
<p>大きな課題の１つは<strong>「介護費用」</strong>です。この20年間で介護費用は大幅に増加し、サービスの利用者も増え続けています。2000年４月末時点での要介護（要支援）認定者は218万人でしたが、2019年４月末には659万人と、３倍に増加しました。</p>
<p>内訳をみると、在宅でのサービスを利用している人が97万人から378万人で約3.9倍、施設サービス利用者は52万人から95万人で約1.8倍に増加し、2006年４月にスタートした<strong>「地域密着型サービス」</strong>の利用者は87万人を超えています。</p>
<p><strong>〔地域密着型サービス〕</strong>　<br />
在宅での生活が困難になったときに、住みなれた地域を離れずに暮らしていけるようにするためのサービス。市町村（特別区を含む）がサービス事業者を指定し、地域の特性を活かした計画を整備して、施設から在宅へという流れの受け皿となるサービスが提供されます。要介護度により利用できるサービスが異なり、要介護１〜５の人の場合は次の９種類です。このほか、要支援１または２の人が利用するサービスもあります。<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/p139.jpg" data-wpel-link="internal"><img decoding="async" class="aligncenter wp-image-33759 " src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/p139.jpg" alt="" width="609" height="553" /></a></p>
<p>はたして、今後も介護保険の利用者は増え続けるのでしょうか。結論からいえば、２回のピークを迎えた後、利用者は減少する見込みです。</p>
<p>最初のピークは、団塊世代が75歳以上となる2025年。そして次のピークは、その団塊世代の子どもが65歳以上となる2040年です。とくに2040年は、高齢者の人口がピークを迎え、介護ニーズの高い85歳以上が急速に増加する見込みです。</p>
<p>ちなみに、65歳以上の人口は、2000年４月末は2165万人でしたが、2019年４月末には3528万人になっています。</p>
<p>ただし、各市町村別の推計によると、徐々に介護サービスの需要が減少する市町村もある一方で、都市部を中心に2040年まで需要が増え続ける市町村もあります。今後、介護保険のサービスは、市町村ごとにその対応が異なってくるでしょう。</p>
<h2><span style="color: #ff0000;">課題②</span>　介護サービスの多様化への対応</h2>
<p>もう１つの課題は<strong>「介護サービス」</strong>の内容です。高齢者の１人暮らし、あるいは高齢者夫婦のみの世帯、認知症を患っている人の増加などによって、求められる介護サービスは多様化しています。</p>
<p>また、介護が必要となった場合、約４人に３人が「自宅で介護を受けたい」と希望しますが、認知症の人については、急激な環境変化は、その症状に良い影響を与えないこともわかってきました。</p>
<p>そのため、高齢者に必要なサービスを提供するためには、おおむね30分で行ける範囲内（日常生活圏域）に「介護」「医療」「予防」「住まい」「生活支援」の５つの要素が必要とされています。</p>
<p>こうした事情を鑑みて、2015年度から始まったのが<strong>「地域包括ケアシステム」</strong>です。要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしく暮らすことができるよう、先の５つの要素を一体的に提供する体制づくりが推進されています。2021年４月からは、法改正により、さらに取り組みを強化していくことになりました。<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/p14.jpg" data-wpel-link="internal"><img decoding="async" class="aligncenter wp-image-33757 " src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/p14.jpg" alt="" width="591" height="301" /></a></p>
<p>たとえば、上図のとおり、「生活支援・介護予防（いつまでも元気に暮らすために）」が老人クラブ・自治会・ボランティア・ＮＰＯ等により提供されていますが、これらを支援しているのが、介護保険の地域支援事業です。</p>
<p>すでに、国民健康保険と後期高齢者医療制度により、疾病予防や重症化予防のために75歳以上の後期高齢者に対して健康相談、健診や保健指導が行なわれており、この地域支援事業に医療や保健事業の専門職が加われば、要支援・要介護の状態でない期間をより長くできるなどの効果も期待できます。</p>
<h2>介護保険も地域格差の時代に…!?</h2>
<p>介護保険は、市町村が保険者となって運営しています。先の地域包括ケアシステムの流れのなかで、医療や住まい、支援団体との調整など、介護を支える中心的役割を担っています。</p>
<p>その財源は、40歳以上の加入義務のある人たちからの保険料が全体の半分を占め、残りは公費、つまり税金でまかなわれています（国が25%、市町村と都道府県が12.5％ずつ負担）。</p>
<p>ただし、すでに述べたとおり、高齢者の人口、そのうち介護が必要な人と支える人の割合は、各地域によって異なります。重度の人が多く、介護サービスを使う割合が高い（たとえば、施設入所の利用率が高い）など、介護費用が多くかかる市町村では、当然ながら、利用者が負担する保険料も高くなります。</p>
<p>制度を財政的に破綻させることなく、持続可能な制度とするためには、各施策を充実させる一方で、保険給付の必要性や優先順位を考慮し、限られた財源の中で効率的にサービスを提供するしくみを考えていかなくてはなりません。そのうえで、市町村は、それぞれの地域の特性や実情、サービスの需要を考慮して、利用者にとって満足度の高い制度をつくり上げる必要があるのです。</p>
<p>介護される人も介護する人も、安全かつ安心できる老後を考えるとき、これからは地域格差をふまえて、「実力のある市町村」を選ぶことが当たり前になってくるでしょう。そして、お金・体力・心の限界を超える前に制度を上手に活用したいものです。</p>
<hr />
<h4>著者プロフィール：井戸 美枝（いど みえ）</h4>
<p>CFP®、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。経済エッセイストとしても活動。「むずかしいことでもわかりやすく」をモットーに数々の雑誌や新聞に連載を持つ。著書に、『〈図解〉2021年度介護保険の改正 早わかりガイド』（日本実業出版社）ほか、『100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる』（集英社）、『届け出だけでもらえるお金』（プレジデント社）、『受給額が増える！ 書き込み式得する年金ドリル』（宝島社）、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください！』（日経BP社）などがある。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
	</channel>
</rss>
