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	<title>業務スキルを身につける &#8211; 日本実業出版社</title>
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	<lastBuildDate>Wed, 24 Jun 2026 07:27:18 +0000</lastBuildDate>
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		<title>【編集後記】「それ本当に意味あんの？」ばかりの「生成AI×ナントカ」。ただしこの本は──</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-42527/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[WH]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 24 Jun 2026 08:00:18 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[DX]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネススキル]]></category>
		<category><![CDATA[生成AI]]></category>
		<category><![CDATA[経理]]></category>
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					<description><![CDATA[6月12日に発売した『Before/Afterでよくわかる 生成AI×経理・会計 実務入門』。Amazonの「財務会計」「会計専門書」カテゴリーで1位になるなど（6…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>6月12日に発売した<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534062758/" data-wpel-link="internal"><strong>『Before/Afterでよくわかる 生成AI×経理・会計 実務入門』</strong></a>。Amazonの「財務会計」「会計専門書」カテゴリーで1位になるなど（6月17日時点）好評をいただいており、早々に重版が決まりました。<br />
本書の背景と特徴について、担当編集者が解説します。</p>
<hr />
<p>経理パーソンのみなさん、日々のお仕事のなかで、「生成AI」使っていますか？</p>
<p>「ChatGPTとかは、たまにメールを書く時に使うかな……」<br />
「経理のガチガチの実務にAIなんて本当に使えるの？」</p>
<p>そんなふうに思っている方にこそ、ぜひ届いてほしい1冊が完成しました。<br />
<strong>『Before/Afterでよくわかる 生成AI×経理・会計 実務入門』</strong>です。<br />
著者は、公認会計士で<strong><a target="_blank" href="https://www.youtube.com/channel/UCVAfxqELHqrUcrBeIYZ3pfA" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer" class="wpel-icon-right">『公認会計士YouTuberくろいちゃんねる』<span class="wpel-icon wpel-image wpel-icon-4"></span></a></strong>を運営されている、白井敬祐先生です。</p>

<figure id="attachment_42528" aria-describedby="caption-attachment-42528" style="width: 250px" class="wp-caption aligncenter"><a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534062758/" data-wpel-link="internal"><img fetchpriority="high" decoding="async" class="wp-image-42528 size-medium" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/6275a-250x355.jpg" alt="Before/Afterでよくわかる　生成AI×経理・会計 実務入門　書影" width="250" height="355" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/6275a-250x355.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/6275a-110x156.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/6275a-155x220.jpg 155w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/6275a.jpg 438w" sizes="(max-width: 250px) 100vw, 250px" /></a><figcaption id="caption-attachment-42528" class="wp-caption-text">Before/Afterでよくわかる　生成AI×経理・会計 実務入門</figcaption></figure>

<h2>経理に生成AIが使えるわけなくない？←←←</h2>
<p>いまでこそ、「AIエージェント」や「業務フローへのAI組込み」といった言葉が当たり前に飛び交うようになりました。しかし皆さん忘れているかもしれませんが、昨年ごろの生成AIといえば……</p>
<p>「1.1＞1.11とかいうヤバいやつ」<br />
「複雑な指示は、言うことを聞くことのほうが少ない。実用レベルでない」<br />
「シンタックスが合っているだけのダダイズム生成マシン」（最新のGeminiのflashもそうかもしれません笑）</p>
<p>経理や会計は、1円のミスも許されない厳密な世界。一方で、当時の生成AIは「平気で嘘をつく（ハルシネーション）」とセットで言われていた時期です。「そんな不確実なものを経理に使えるわけがない」というのが、世間の一般的な空気だったのかもしれません。</p>
<p>実は、本書の原案である<a target="_blank" href="https://www.kigyoujitsumu.net/" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer" class="wpel-icon-right"><strong>『月刊 企業実務』</strong><span class="wpel-icon wpel-image wpel-icon-4"></span></a>（日本実業出版社発行）での連載企画が持ち上がった時も、そんな感じでした。生成AIが、インターネットやパソコンの登場と同様に、世界を変えてしまうのは明白でした。しかし問題は、どう実用レベルに落とし込むか。当時、それはそれほど明らかではありませんでした。</p>
<p>そんななか、唯一と言っていいほど、<strong>業務に実用できるレベル</strong>で経理・会計における生成AI活用を発信していたのが、本書の著者である白井敬祐先生でした。まさに、この分野における「草分け的存在」です。</p>
<h2>それでも、生成AIには逆らえない</h2>
<p>X（旧Twitter）などのSNSを見ていると、毎日のようにこんな投稿が流れてきませんか？</p>
<p>「【神ツール】経理業務が10倍速くなるChatGPTプロンプト10選！　詳細はプロフィールへ！」<br />
「AIでバックオフィス人員は大幅削減」（with不気味なAI画像）</p>
<p>ノウハウの切り売りや、過剰に不安を煽るような投稿は氾濫していますが、「1つのプロンプトをコピペしただけで、経理の複雑な実務が魔法みたいに解決するわけがないだろう」と思われる方は多いでしょう（豆知識のつまみ食いで解決できる問題なんて、社会には何もないというのが現実かもしれません）。</p>
<p>しかし、それでも、人間の手作業を遥かに凌駕する処理能力で、生成AIは私たちのビジネス、そして「経理・会計」という職種の在り方を不可逆的に変えていきます。上にあるような生成AIの苦手も次々と克服されてきましたし、私たちはその大きな潮流に逆らうことはできません。「AI＝万能」は嘘でしょうが、生成AIが持つ「圧倒的なポテンシャル」そのものは本物です。</p>
<h2>生成AI導入の、圧倒的現実路線</h2>
<p>担当編集者の思う本書の魅力の1つは、一言で言うと「極めて地に足がついている」という点です。</p>
<p>よく言われるような、「AIで未来の経営が変わる！」といった壮大な理想論は語りません。</p>
<p>コラムに「完璧を目指さないのがDXのコツ」ともあるとおり、本書に通底しているのは極めて現実的な思想です。</p>

<figure id="attachment_42532" aria-describedby="caption-attachment-42532" style="width: 570px" class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" class="wp-image-42532 size-large" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/353d9789545bc6ea1ccaa8ed525caed9-570x208.jpg" alt="" width="570" height="208" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/353d9789545bc6ea1ccaa8ed525caed9-570x208.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/353d9789545bc6ea1ccaa8ed525caed9-250x91.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/353d9789545bc6ea1ccaa8ed525caed9-110x40.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/353d9789545bc6ea1ccaa8ed525caed9-180x66.jpg 180w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/353d9789545bc6ea1ccaa8ed525caed9.jpg 595w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /><figcaption id="caption-attachment-42532" class="wp-caption-text">p81 コラム「完璧を目指さないのがDXのコツ」より</figcaption></figure>

<p>&nbsp;</p>
<p>経理の仕事において、100％の正確性を期待して生成AIに丸投げするのは、現時点では不可能ですし、危険でもあります。けれど、「いままで人間が手作業で数時間かけてやっていた『下調べ』や『データの整理』を、AIを使って20分で終わらせる（＝80%の完成度まで一気に行ける）」としたらどうでしょうか？</p>
<p>残りの20％を、プロフェッショナルである人間の目でチェックして仕上げればいい。それだけで、業務の生産性は劇的に上がります。</p>
<h2>超・実用的、超・お得</h2>
<p>「生成AIなんて、うちの会社にはまだ早いよ……」と踏み切れずにいる企業にこそ、この「現実路線の生成AI活用」を体験してほしいと思っています。</p>
<p>本書は、4節の基礎知識・全22節のケーススタディ・24のコラムで構成され、292ページ・本体価格2,000円。経理への生成AI導入が、<strong>「1冊で完結」</strong>します。お得です。</p>
<p>日次、月次、年次業務まで網羅したうえで、なんと、「生成AIを社内にどうやって普及させるか」という組織づくりのノウハウや、「Googleの各種ツール（スプレッドシートなど）とAIをどう連携させるか」といった周辺知識まで網羅しているのです。</p>

<figure id="attachment_42535" aria-describedby="caption-attachment-42535" style="width: 570px" class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" class="wp-image-42535 size-large" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/51307cf9ca21b529fbe4964e85bb6b63-570x123.jpg" alt="" width="570" height="123" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/51307cf9ca21b529fbe4964e85bb6b63-570x123.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/51307cf9ca21b529fbe4964e85bb6b63-250x54.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/51307cf9ca21b529fbe4964e85bb6b63-110x24.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/51307cf9ca21b529fbe4964e85bb6b63-180x39.jpg 180w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/51307cf9ca21b529fbe4964e85bb6b63.jpg 601w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /><figcaption id="caption-attachment-42535" class="wp-caption-text">p179 コラム「日程調整も生成AIにお任せ」より</figcaption></figure>

<p>&nbsp;</p>
<p>しかも、本を買っていただいた読者の方には、紙面に掲載されているプロンプト（指示文）が、すべてダウンロードできる特典が付いています。さらに、解説動画へのQRコードも備えています。</p>
<h2>「革命」はこれまでもあったこと</h2>
<p>かつて、経理の現場に「電卓」が登場したとき、あるいは「会計ソフト」や「Excel」が導入されたとき、きっと当時の先輩たちは「これが使い物になるものか」「使いこなせるだろうか」とさまざまな思いを抱えながらも、それを当たり前の道具として受け入れていったはずです。</p>
<p>今、私たちが直面している「生成AI」も、まったく同じなのかもしれません。間違いなく、これからの時代の業務基盤を構成するものです。</p>
<p>10年後、いや3年後には、「AIを使わずに経理実務をやるなんて、そろばんで決算書を作成するようなもの」と言われる時代が来るかもしれません。</p>

<figure id="attachment_42538" aria-describedby="caption-attachment-42538" style="width: 570px" class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" class="wp-image-42538 size-large" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/0bb76f9cbdebc5cf9f7fcb34c79a21f9-570x92.jpg" alt="" width="570" height="92" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/0bb76f9cbdebc5cf9f7fcb34c79a21f9-570x92.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/0bb76f9cbdebc5cf9f7fcb34c79a21f9-250x40.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/0bb76f9cbdebc5cf9f7fcb34c79a21f9-110x18.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/0bb76f9cbdebc5cf9f7fcb34c79a21f9-180x29.jpg 180w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/0bb76f9cbdebc5cf9f7fcb34c79a21f9.jpg 657w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /><figcaption id="caption-attachment-42538" class="wp-caption-text">p272より</figcaption></figure>

<p>&nbsp;</p>
<p>だからこそ、本書は、これからの時代を歩むすべての経理パーソンにとって、「いますぐ読んでおくべき必携書」だと確信しています。</p>
<p>「もっとラクに、もっとスマートに、付加価値の高い経理の仕事がしたい」<br />
そう願うあなたのデスクの片隅に、ぜひこの本を置いてください。ページを開いたその日から、業務変革（Before/After）が始まります。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>労働者の納得なき雇止めが招く雇用継続リスク</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-42159/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 26 Jan 2026 05:14:45 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[リスクマネジメント]]></category>
		<category><![CDATA[企業実務]]></category>
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					<description><![CDATA[トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大事です。会社の日常業務に潜むリスクと、その対応策を弁護士・小杉太一氏が解説します。</p>
<p>※本記事は月刊「企業実務」の連載・「まさか!」に備える総務のリスクマネジメントを転載したものです。<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/?s=%E3%80%8C%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%8B%21%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%82%99%E3%81%88%E3%82%8B%E3%80%80%E7%B7%8F%E5%8B%99%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88&amp;post_type=post" data-wpel-link="internal">本連載のバックナンバーはこちら</a></p>
</div>
<p>企業は、労働者との間で、期間の定めのない労働契約(以下、「無期労働契約」)を締結するケースと、期間の定めのある労働契約(以下、「有期労働契約」)を締結するケースがあります。</p>
<p>有期労働契約を締結するケースでは、企業は、労働契約の期間が満了する時に労働契約を更新せず、労働契約を終了させることができます。有期労働契約の期間満了時に労働契約を更新しないことを「雇止め」といいます。</p>
<p>しかしながら、労働契約を継続または更新したい労働者が雇止めの効力を争うことにより、紛争に至る事例が生じています。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-42162" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/manga8.jpg" alt="" width="375" height="838" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/manga8.jpg 375w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/manga8-250x559.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/manga8-72x160.jpg 72w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/manga8-98x220.jpg 98w" sizes="(max-width: 375px) 100vw, 375px" /></p>
<h2>雇止めが否定されるリスク</h2>
<p>厚生労働省労働基準局の調査では、過去5年間に有期労働契約の期間満了時に雇止めをされた経験のある有期契約労働者のうち、雇止めをめぐって「トラブルになったことがある」割合は32・8%にのぼります。</p>
<p>トラブルの原因としては、「契約の継続( または更新)を希望していた」こと(82・5%)、「理由が納得できなかった」こと(42・2%)、「予告がなかった、または遅かった」こと(36・2%)が挙げられています(「令和3年有期労働契約に関する実態調査」より)。</p>
<p>仮に裁判で雇止めの効力が否定された場合、企業は、当該労働者との間で労働契約を継続しなければなりません。また、雇止め以降から判決確定の日までの賃金も支払うことになります。何よりも、裁判で労働契約終了の効力が争われることになれば、弁護士費用をはじめとする応訴の負担があるだけでなく、レピュテーションリスクも懸念されます。</p>
<p>このように後日紛争に至る可能性があることに留意し、有期労働契約を締結・終了する際には、法令に則った手続きと、労働者の納得を得ることが大切といえます。</p>
<h2>有期労働契約における留意点</h2>
<h3>(1) 有期労働契約の上限期間</h3>
<p>有期労働契約には、一定の上限期間があります。一部の例外を除き、3年を超えることはできません(労働基準法14条1項)。前出の調査によると、1回あたりの契約期間は、6か月超1年以内が62・3%、3か月超6か月以内が19・6%、1年超2年以内が10・2%を占めています。</p>
<h3>(2) 契約締結時と更新時における雇用条件の明示</h3>
<p>2024年4月1日から、新たに有期労働契約を締結するときおよび更新するときに、労働契約を更新する場合の基準に関する事項を明示することが義務付けられました(労働基準法施行規則5条1項1号の2)。</p>
<p>更新する場合がある有期労働契約を締結する場合は、契約期間を通算した期間を定めるときはその期間を、更新回数の上限を定めるときはその上限を明示することとなります。</p>
<p>たとえば、前者については「通算契約期間○年まで」、後者については「更新○回まで」と明示する必要があります。</p>
<h3>(3) 無期労働契約への転換</h3>
<p>1回以上更新をした有期労働契約の契約期間の通算が5年を超える場合、労働者が企業に対し、現在締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、無期労働契約の締結を申し込んだときは、企業はその申込みを承諾したものとみなされ、現在の契約期間満了日の翌日から、有期労働契約が無期労働契約へ転換されることとなります(労働契約法18条1項)。</p>
<p>企業としては、将来、労働契約を終了させる予定であったとしても、自動的に無期労働契約が成立してしまうため、十分な注意が必要です。</p>
<p>なお、有期労働契約の契約期間を通算した期間の5年間については、有期労働契約を締結していない期間が一定以上続いた場合、それ以前の有期労働契約の期間は契約期間の通算から除外されます。</p>
<p>たとえば、企業とその労働者との間で有期労働契約を締結しない期間が6か月以上あると、それ以前の有期労働契約の契約期間は通算から除外されることとなります。下図のケースでは、契約(1)の期間が契約期間の通算から除外されます。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-42163" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/yatoi.jpg" alt="" width="570" height="141" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/yatoi.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/yatoi-250x62.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/yatoi-110x27.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/yatoi-180x45.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>2024年4月1日以降は、新たに、労働者に無期労働契約への転換を申し込む権利が発生する有期労働契約の更新時に、無期労働契約の申込みに関する事項および転換後の無期労働契約の労働条件を明示することが義務付けられました(労働基準法施行規則5条5項)。</p>
<p>たとえば、「本契約期間中に会社に対して期間の定めのない労働契約の締結の申込みをすることで、本契約期間の末日の翌日から期間の定めのない労働契約に転換することができる」としたうえで、無期労働契約の労働条件を明示することとなります。</p>
<h2>有期労働契約の更新拒絶の可否</h2>
<p>有期労働契約であっても、次の3つの要件を満たすときは、企業は更新を拒絶することができません(労働契約法19条)。</p>
<ol>
	<li>有期労働契約が過去に反復して更新され、その契約期間の満了時に契約を更新しないことにより契約を終了させることが社会通念上解雇と同視できること、または労働者にとって契約期間の満了時に契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があること</li>
	<li>労働者が、契約期間が満了する日までの間に更新の申込みをしたこと、または契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをしたこと</li>
	<li>企業がその申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないこと</li>
</ol>
<p>これらの要件のうち、特に問題となるのは1の要件です。1に該当するか否かについては、これまで多くの裁判例がありますが、</p>
<ol>
	<li>労働契約の臨時性・常用性</li>
	<li>更新の回数</li>
	<li>雇用の通算期間</li>
	<li>契約期間の管理の状況</li>
	<li>労働契約継続の期待をもたせる企業の言動の有無</li>
</ol>
<p>などを総合考慮して、個々の事案ごとに判断されます。</p>
<p>1の要件の充足性を否定する事情としては、たとえば、更新回数に上限を設ける場合や、形式的な雇用条件の明示にとどまらず労働者に対して十分な説明を行ない、労働者に雇用条件を十分認識させていた場合などが挙げられます。</p>
<p>*　*　*</p>
<p>労働者との将来の紛争を未然に防ぐためにも、また労働者の雇用の不安定を可能な限り解消するためにも、企業としては、法令に則った手続きを十分に履践する必要があります。</p>
<hr />
<p><strong>執筆者：鳥飼総合法律事務所弁護士・小杉太一</strong></p>
<p>同志社大学法科大学院修了。2019年9月、司法試験合格。2020年12月、弁護士登録。2021年1月に鳥飼総合法律事務所入所。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>兼業・副業における労働基準法違反リスク</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-42146/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 07 Jan 2026 08:16:12 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[リスクマネジメント]]></category>
		<category><![CDATA[企業実務]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=42146</guid>

					<description><![CDATA[トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大事です。会社の日常業務に潜むリスクと、その対応策を弁護士・種池慎太郎氏が解説します。</p>
<p>※本記事は月刊「企業実務」の連載・「まさか!」に備える総務のリスクマネジメントを転載したものです。<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/?s=%E3%80%8C%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%8B%21%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%82%99%E3%81%88%E3%82%8B%E3%80%80%E7%B7%8F%E5%8B%99%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88&amp;post_type=post" data-wpel-link="internal">本連載のバックナンバーはこちら</a></p>
</div>
<p>兼業・副業といわれるものには、フリーランスのような「業務委託」による働き方のほか、複数の会社と労働契約を締結し労働者として勤務するという働き方があり、最近ではスキマバイトなどのスポットワークといわれるものも増えています。</p>
<p>このように会社と労働契約を締結し、兼業・副業を行なう人は「労働者」として、労働関係法令が適用されることになります。</p>
<p>従業員の兼業・副業については、これまで、本業への専念や機密保持などを理由に一律に禁止している企業が多くありました。一方、裁判例においては、労働者が就業時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由であり、例外的に制限ができるのは、次の場合とされています。</p>
<ol>
	<li>労務提供上の支障がある場合</li>
	<li>業務上の秘密が漏洩する場合</li>
	<li>競業により自社の利益が害される場合</li>
	<li>自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合</li>
</ol>
<p>したがって、企業が従業員の兼業・副業を一律に禁止することや、兼業・副業の禁止に違反したとして懲戒処分(解雇)を行なうことは、不法行為に基づく損害賠償責任が認められたり、解雇無効と判断されるリスクがあります。</p>
<p>政府も2017年に働き方改革の一環として兼業・副業を普及促進する方針を示して以降、ガイドラインを策定するなどして兼業・副業に関する環境整備を推進しています。こうした流れを受け、企業側の姿勢にも変化が起きており、多様な働き方の実現や従業員のモチベーション向上を目的として、兼業・副業を容認、または容認を予定している企業は増加する傾向にあります。</p>
<p>兼業・副業を巡るこのような状況を踏まえると、企業としては従業員の兼業・副業を認め、また兼業・副業人材を受け入れることを検討すべきでしょう。</p>
<h2>兼業・副業の促進手順</h2>
<h3>(1) 就業規則の整備</h3>
<p>まずは、就業規則に兼業・副業に関する規定を盛り込む必要があります。就業規則で兼業・副業を禁止している企業はもちろんのこと、すでに兼業・副業を認めている企業、禁止・容認を明記していない企業についても、</p>
<ol>
	<li>兼業・副業を認めること</li>
	<li>労務提供上の支障がある場合などには兼業・副業が禁止・制限されること</li>
</ol>
<p>さらには兼業・副業内容および時間の把握のために、</p>
<p>3. 兼業・副業に従事することを届け出ること</p>
<p>を内容とする規程を整備することが必要となってきます。</p>
<h3>(2)兼業・副業内容および時間の把握</h3>
<p>従業員の兼業・副業を認めるとして、企業はその内容や労働時間を把握する必要があります。従業員の行なう兼業・副業が就業規則において禁止や制限される内容かどうかはもちろんのことですが、後記のとおり、当該従業員の労働時間を兼業・副業先の企業と通算して管理する必要があるためです。</p>
<p>企業が具体的に把握する必要がある事項としては、<strong>下表</strong>のようなものが考えられます。企業は従業員が兼業・副業を行なうに当たり、これらの事項についての届出を求めるほか、兼業・副業の開始後も、定期的に実労働時間の報告を求める必要があります(下表7,8)。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-42148" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/haaku.jpg" alt="" width="570" height="485" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/haaku.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/haaku-250x213.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/haaku-110x94.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/haaku-180x153.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>なお、兼業・副業の内容および時間の把握の必要性については、兼業・副業人材を受け入れる側の企業についても同様のことがいえますので、採用時に確認書の提出を求めることなどが考えられます。</p>
<h2>割増賃金未払いリスクに注意</h2>
<p>労働基準法(以下「労基法」)では、労働時間については、「事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」とされています(労基法38条1項)。</p>
<p>ここでいう「事業場を異にする場合」には、同じ使用者の異なる事業場だけでなく、異なる使用者の異なる事業場も含まれるとされています(労働基準局長通達、昭和23年5月14日付け基発第769号)。</p>
<p>たとえば、A社のI支店とJ工場で勤務するような場合だけでなく、A社のI支店とB社のK工場で勤務するような場合についても、労働時間に関する規定(法定労働時間と時間外労働のうち、時間外労働と休日労働の合計が単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件)が通算されることになります。</p>
<p>このような労働時間の通算は、</p>
<p>1. 所定労働時間の通算(労働契約の締結順で行ないます)<br />
2. 所定外労働時間の通算(実際に労働が行なわれた順で行ないます)</p>
<p>の順で行ない、通算の結果、法定外労働時間が発生する場合は、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要となります。</p>
<p>兼業・副業先の労働時間の把握を怠ってしまうと、じつは法定外労働時間が発生していたにもかかわらず、割増賃金が支払われていなかったということになりかねません。なお、従業員の兼業・副業が、労基法が適用されないようなかたち(フリーランス、起業など)で行なわれる場合には、兼業・副業先との労働時間の通算は行なわれません。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-42149" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/manga6.png" alt="" width="345" height="778" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/manga6.png 345w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/manga6-250x564.png 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/manga6-71x160.png 71w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/manga6-98x220.png 98w" sizes="(max-width: 345px) 100vw, 345px" /></p>
<p>企業にとって、兼業・副業に対する取組みは、もはや避けることのできない課題です。他方、兼業・副業には、一律禁止としている場合のほか、兼業・副業を認めていた場合であっても、割増賃金の未払いをはじめとするさまざまなリスクが生じます。</p>
<p>そのようなリスクを低減させるためにも、自社従業員および新規採用者に対する兼業・副業の有無を確認するだけでなく、兼業・副業の内容および労働時間を継続的に把握することが重要です。</p>
<hr />
<p><strong>執筆者：鳥飼総合法律事務所弁護士・種池慎太郎</strong></p>
<p>早稲田大学大学院法務研究科修了。2014年9月、司法試験合格。警察庁勤務を経て、2022年12月、弁護士登録。2023年1月に鳥飼総合法律事務所入所。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>フリーランス法違反リスク</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-41973/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 25 Dec 2025 04:09:38 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[リスクマネジメント]]></category>
		<category><![CDATA[企業実務]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=41973</guid>

					<description><![CDATA[トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大事です。会社の日常業務に潜むリスクと、その対応策を弁護士・橋本充人氏が解説します。</p>
<p>※本記事は月刊「企業実務」の連載・「まさか!」に備える総務のリスクマネジメントを転載したものです。<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/?s=%E3%80%8C%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%8B%21%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%82%99%E3%81%88%E3%82%8B%E3%80%80%E7%B7%8F%E5%8B%99%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88&amp;post_type=post" data-wpel-link="internal">本連載のバックナンバーはこちら</a></p>
</div>
<p>働き方の多様化が進み、フリーランスとして仕事をする人が増えています。しかし、フリーランスは取引先との関係では、立場が弱い場合が多く、「約束した条件を正当な理由もなく変更された」「過酷な条件を飲まなければ仕事を継続してもらえない」などのトラブルが多発しています。</p>
<p>フリーランスと事業者の取引を規律する法律としては、独占禁止法や下請法が存在していましたが、これらの法律だけでは、フリーランスの保護が不十分でした。</p>
<p>このような現状を踏まえ、(1)フリーランスとの取引の適正化と、(2)就業環境の整備を目的とする「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(いわゆるフリーランス法)が成立、2024年11月1日に施行されました。</p>
<p>フリーランス法では、発注事業者に7つの義務と7つの禁止行為が定められています(表)。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-41975" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu5-1.jpg" alt="" width="570" height="1049" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu5-1.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu5-1-250x460.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu5-1-87x160.jpg 87w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu5-1-120x220.jpg 120w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>大企業など、すでに下請法の対策やハラスメント防止対策等の就業環境の整備を講じている企業においては、これらの対策の範囲にフリーランスを含めることで対応可能な部分が多いため、フリーランス法対応のための負担がそれほど大きいとはいえません。</p>
<p>他方で、これまで下請法の適用がなかったり、ハラスメント防止対策等を講じてこなかった企業にとっては、フリーランス法対応のために新たに対策を講じる必要があり、負担が大きくなることが想定されます。</p>
<p>フリーランス法違反があった場合には、行政機関による調査が行なわれ、助言や指導のほか勧告を行ない、勧告が行なわれた場合には事業者名などが公表されます。</p>
<p>また、勧告に従わない場合には、命令がなされ、この命令に違反した場合には50万円以下の罰金が科されることもあります。</p>
<h2>フリーランスに業務委託する全事業者に適用</h2>
<p>フリーランス法の対象となるのは、「発注事業者」(業務委託事業者または特定委託事業者)から「フリーランス」(特定受託事業者)への「業務委託」です。</p>
<h3>「特定受託事業者」とは</h3>
<p>まず、フリーランス法で規定されるフリーランス(特定受託事業者)とは、業務委託される側の事業者で、(1)個人であって従業員を使用しないもの、あるいは(2)法人であって、1人の代表者以外に役員がおらず、かつ従業員を使用しないものです。</p>
<p>「従業員を使用」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ継続して31日以上雇用されることが見込まれる労働者を雇用することをいいます。</p>
<h3>「業務委託事業者」または「特定委託事業者」とは</h3>
<p>「業務委託事業者」とは、フリーランスに業務委託をするすべての事業者をいいます。この事業者には、フリーランス自身も含まれます。</p>
<p>業務委託事業者のうち、(1)個人であって従業員を使用するもの、あるいは(2)法人であって、代表者以外に役員がいる、または従業員を使用するものが「特定業務委託事業者」です。つまり、フリーランス(特定受託事業者)に業務委託する事業者は皆フリーランス法に規定される「発注事業者」となるわけです。</p>
<h3>業務委託とは</h3>
<p>そして、フリーランス法における業務委託とは、(1)物品の製造・加工、(2)情報成果物の作成、(3)役務(サービス)の提供を委託することです。</p>
<p>フリーランスの代表的な職種は、運送業、システム開発・ウェブ作成関係、建設業、クリエイター等ですが、あらゆる業種がフリーランス法の対象となり得ます。</p>
<p>弁護士や税理士等の士業も、フリーランスに該当する場合があります。たとえば、特定受託事業者に該当する税理士に税務申告や記帳代行を委託する場合なども、フリーランス法の対象となります。</p>
<h2>フリーランス法への対応</h2>
<p>発注側としては、フリーランス法の適用の有無を判断するために、業務委託時点までに、発注先に「従業員」の有無を確認して、フリーランスに該当するかを確認する必要があります。</p>
<p>確認は口頭でも可能ですが、トラブル防止の観点から、メールやSNS等の「記録に残る方法」での確認が望まれます。そして、業務委託先がフリーランスである場合には、表中の(1)取引条件の明示義務に違反しないために、業務委託契約書や発注書等の見直しが必要です。</p>
<p>発注事業者となり得る企業としては、業務委託契約書や発注書の見直し、フリーランスからの育児介護等の配慮の申出や、ハラスメント相談等をしやすい就業環境の整備を進めるなどして、フリーランス法に違反することがないようにしましょう。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-41976" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu5-2.jpg" alt="" width="354" height="800" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu5-2.jpg 354w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu5-2-250x565.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu5-2-71x160.jpg 71w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu5-2-97x220.jpg 97w" sizes="(max-width: 354px) 100vw, 354px" /></p>
<p>&nbsp;</p>
<hr />
<p><strong>執筆者：鳥飼総合法律事務所パートナー弁護士・橋本充人</strong></p>
<p>民間企業勤務を経て予備試験に合格。首都大学東京（現・東京都立大学）法科大学院修了。鳥飼総合法律事務所に入所。企業法務、相続問題に注力。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>長時間労働による労災請求のリスク</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-41964/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 24 Dec 2025 06:44:36 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[リスクマネジメント]]></category>
		<category><![CDATA[企業実務]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=41964</guid>

					<description><![CDATA[トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大事です。会社の日常業務に潜むリスクと、その対応策を弁護士・横地未央氏が解説します。</p>
<p>※本記事は月刊「企業実務」の連載・「まさか!」に備える総務のリスクマネジメントを転載したものです。<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/?s=%E3%80%8C%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%8B%21%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%82%99%E3%81%88%E3%82%8B%E3%80%80%E7%B7%8F%E5%8B%99%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88&amp;post_type=post" data-wpel-link="internal">本連載のバックナンバーはこちら</a></p>
</div>
<p>「働き方改革」という言葉をよく耳にするようになった今日においても、長時間労働が原因となってうつ病等を発症し、最悪の場合、自殺にまで追い込まれてしまうケースは後を絶ちません。</p>
<p>厚生労働省が発表した資料によると、精神障害に関する労災請求は令和元年度が2060件であったのに対し、令和5年度は3575件と増加の一途をたどっています(厚生労働省「過労死等の労災長時間労働による労災請求のリスク補償状況」)。</p>
<p>ひとたび長時間労働を原因とする労災事件が起きた職場は、いわゆる「ブラック企業」として認識され、企業価値を大きく損ないます。また、労災請求に加え、うつ病等を発症した従業員やその遺族から、会社が職場を安全に保つ義務を怠ったとして、多額の損害賠償請求がされることがあります。</p>
<h2>精神障害による労災の認定基準とは</h2>
<p>そのような事態を防ぐには、まず、うつ病等の精神障害の発症の一因となる長時間労働を是正することが必要です。</p>
<p>そもそも労災とは、労働者が業務上または通勤中に怪我などをした場合に必要な保険給付を行なう制度です。労災の対象となる典型例は、業務中に骨折などの怪我をした場合です。</p>
<p>これに対し、精神障害を発症した場合は、業務によって精神障害を発症したのかどうか、はっきりとしません。そこで実務上は、厚労省の定める「心理的負荷による精神障害の認定基準」(以下、「認定基準」といいます)に照らして判断されています。</p>
<p>認定基準の定める労災認定要件は次のとおりです。</p>
<ol>
	<li>認定基準の対象となる精神障害を発病していること</li>
	<li>認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること</li>
	<li>業務以外の心理的負荷や個人のストレスに対する反応のしやすさにより発症したとは認められないこと</li>
</ol>
<p>特に重要となるのは2の要件です。2を判断するにあたっては、いわゆる「過労死ライン」といわれる1か月100時間、2か月~6か月平均で80時間の時間外労という基準が用いられます。</p>
<p>この基準に照らして、長時間労働が原因で精神障害等を発症したかが判断され、1日の労働時間に換算すると、20日出勤の場合で1日4時間程度の残業が目安となります。そのほかにも、「新規事業や大型プロジェクトの担当になったか」「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があったか」などが考慮されます。考慮事項は、認定基準で細かく具体的に規定されています。</p>
<p>また、3については、業務以外の心理的負荷について、認定基準で規定されている出来事が複数あったかで判断します。たとえば、自分が離婚または配偶者と別居した、配偶者・子ども・親または兄弟姉妹が死亡した、引越しをした、失恋・異性関係のもつれがあったかなどです。あわせて精神障害の既往歴があるか、アルコール依存状況があるかについても考慮されます。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-41966" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu4-1.jpg" alt="" width="345" height="779" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu4-1.jpg 345w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu4-1-250x564.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu4-1-71x160.jpg 71w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu4-1-97x220.jpg 97w" sizes="(max-width: 345px) 100vw, 345px" /></p>
<h2>長時間労働が原因と認められたケース</h2>
<p>このような基準に基づいて、長時間労働による労災が認められたケースには、次のようなものがあります。</p>
<p>自殺は本人の意思によるものであるとされていた風潮を変えたのが、大手広告代理店の新人社員が、恒常的な長時間労働に従事した結果(本人が申告したのは月48時間~78時間程でしたが、本来の残業時間はこれを優に超えていると認定されています)、うつ病を発症し、自殺したケースです(最高裁平成12・3・24)。</p>
<p>このケースは、使用者が負う「職場を安全に保つ義務」に、労働者の心身の健康に対する配慮が含まれることを示した点でも注目されました。過労死ラインを超えるような長時間労働でなくても、長時間労働による労災が認められた例もあります(仙台高判令和2・1・28)。</p>
<p>このケースでは、時間外労働は月平均80時間を下回るものの、従業員が適応障害を発症し、その後も決算月などの対応で長時間労働していたことが推測され、そのような状況で上司から叱責されたことに過敏に反応したため自殺したとして、労災認定をしています。</p>
<p>さらに最近では、長時間のテレワークで労災が認められたケースがありました。新型コロナの感染拡大に伴いテレワークをするようになった経理担当の従業員が、新しい精算システムの導入などで業務が増え、適応障害を発症したというものです。直前2か月の残業時間は、1か月あたり100時間を上回っていました。</p>
<h2>労災の発生を防ぐには</h2>
<p>長時間労働による労災発生を未然に防ぐには、次のような対策が大事になります。</p>
<h3>1 時間外・休日労働時間の削減</h3>
<p>時間外・休日労働時間が長くなればなるほど健康障害が生じるリスクは高まります。時間外・休日労働時間を削減すれば、健康障害のリスク、ひいては長時間労働を原因とする労災が生じるリスクは低減します。</p>
<p>時間外労働の上限は、臨時的な特別な事情があって労使が合意した場合を除き、原則として月45時間、年360時間です。この基準を念頭に、実労働時間を把握し、適切な人員配置を確保します。</p>
<h3>2 健康管理体制の整備・健康診断の実施</h3>
<p>長時間労働に伴う従業員の心身の不調に、会社がいち早く気づき、対応することも重要です。健康診断で異常の所見があった者については、従業員まかせにするのではなく、会社として医師の意見に基づいた適切な事後措置を講じます。</p>
<p>場合によっては、長時間労働者に対し、医師による面接指導を積極的に活用することも検討します。あわせて、いま現在、個々の従業員に問題が生じていないかを確認する必要もあります。下表の項目に多く当てはまる従業員がいる場合は要注意です。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-41967" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu4-2.jpg" alt="" width="570" height="624" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu4-2.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu4-2-250x274.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu4-2-110x120.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/jitu4-2-180x197.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>仮に、業務の都合上、長時間労働が続いてしまった場合は、当該従業員に対して、会社としてしっかりとコミュニケーションをとり、健康状況も含めたフォローをしていくことが必要です。</p>
<hr />
<p><strong>執筆者：鳥飼総合法律事務所弁護士・横地未央</strong></p>
<p>首都大学東京（現・東京都立大学）法科大学院卒業。国家総合職として勤務後、鳥飼総合法律事務所入所。第二弁護士会高齢者・障がい者総合支援センター所属。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>退職者による営業秘密漏えいリスク</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-41932/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 23 Dec 2025 06:18:32 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[リスクマネジメント]]></category>
		<category><![CDATA[企業実務]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=41932</guid>

					<description><![CDATA[トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大事です。会社の日常業務に潜むリスクと、その対応策を弁護士・山田重則氏が解説します。</p>
<p>※本記事は月刊「企業実務」の連載・「まさか!」に備える総務のリスクマネジメントを転載したものです。<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/?s=%E3%80%8C%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%8B%21%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%82%99%E3%81%88%E3%82%8B%E3%80%80%E7%B7%8F%E5%8B%99%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88&amp;post_type=post" data-wpel-link="internal">本連載のバックナンバーはこちら</a></p>
</div>
<p>近年、人材の流動性が高まっています。大手企業もこれまでのような新卒一括採用に頼るのではなく、中途採用を積極的に進めるようになりました。その背景としては、人手不足の深刻化という「量」の側面と、多様な知識、経験を有する人材の獲得という「質」の側面が挙げられます。</p>
<p>しかし、人材の流動性の高まりは、新たな問題も引き起こしています。たとえば、退職者(役員・従業員)による、秘密情報やノウハウの流出、顧客の奪取、従業員の引抜きといった問題です。</p>
<p>営業秘密の漏えいの約4割が中途退職者(役員・従業員)によるものとの調査結果もあります(独立行政法人情報処理推進機構「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020」)。</p>
<p>退職者が、退職時に秘密情報やノウハウを持ち出す理由は、それらを使って自ら事業を興したり、あるいは、競合企業への転職とその後の事業活動を有利に進めたいと考えるからです。退職後の顧客の奪取や従業員の引抜きも、同様の理由からです。</p>
<p>退職者にこのような行為を思いとどまらせる最も効果的な方法は、退職者による「競業」そのものを禁止・制限する(競業避止義務を課す)ことです。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-41961" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/10/jitu3-1.jpg" alt="" width="383" height="870" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/10/jitu3-1.jpg 383w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/10/jitu3-1-250x568.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/10/jitu3-1-70x160.jpg 70w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/10/jitu3-1-97x220.jpg 97w" sizes="(max-width: 383px) 100vw, 383px" /></p>
<h2>競業避止義務を定める際の注意点</h2>
<p>あらかじめ退職者による「競業」を禁止・制限しておけば、もし、退職者がそのような行為に及んだ場合は、そのような行為をやめさせたり、損害賠償請求をすることができます。</p>
<p>しかし、退職者にとっては、広く「競業」を禁止・制限されると、前職の仕事とはまったく関係のない仕事に就く必要が生じます。前職で得た知識、経験が転職先で一切活かせないというのは、退職者にとっても酷でしょう。</p>
<p>そこで、退職者には、職業選択の自由(憲法22条1項)が保障されていることを理由に、「競業」を禁止・制限する契約(競業避止義務)は、一定の場合に限って有効と考えられています。</p>
<p>あまりに退職者にとって不利な競業避止義務を定めると、そのような契約は無効となってしまいます。実際に退職者による「競業」がなされた場合に効果を発揮しないため、競業避止義務の内容を定める際には注意が必要です。</p>
<p>競業避止義務の有効性は、実務上は、次の2つの観点から判断されます(下表)。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-41962" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/10/jitu3-2.jpg" alt="" width="570" height="535" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/10/jitu3-2.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/10/jitu3-2-250x235.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/10/jitu3-2-110x103.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/10/jitu3-2-180x169.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<h3>1．競業避止義務を退職者に課すことで企業に守るべき利益があるか</h3>
<p>競業避止義務は、退職者に競業避止義務を課すことで守ろうとする「技術的な秘密」や「営業上のノウハウ」等が、法的保護に値するような重要な情報であるといえる場合に認められます。</p>
<p>仮に、退職者が在職中にそのような情報に触れていなければ、そもそも退職者に競業避止義務を課す必要がないため、競業避止義務の有効性は否定されます。</p>
<h3>2.　競業避止義務の内容が目的に照らして合理的な範囲にとどまっているか</h3>
<p>これについては総合的に判断されますが、特に、次に該当する場合に、認められる可能性が高いといえます。</p>
<p>c　競業避止義務の存続期間が1年以内となっている場合<br />
d　禁止行為の範囲が業務内容や職種等によって限定されている場合<br />
e　代償措置(高額の給与や退職金)が講じられている場合</p>
<p>逆に、次の場合は認められる可能性は低いといえます。</p>
<p>c　競業避止義務の存続期間が2年を超える場合<br />
d　禁止行為の範囲が一般的・抽象的に定められている場合<br />
e　代償措置が講じられていない場合</p>
<h2>退職時に誓約書の提出を義務化しておく</h2>
<p>退職者に競業避止義務を課すための最も効果的な方法は、退職者から、退職時に競業避止義務を負う旨の誓約書を提出してもらうことです。</p>
<p>退職する時点では、その退職者が在職中に触れた情報の重要度に応じて、地域的な限定や存続期間、禁止行為の内容を個別具体的に定めることができるため、競業避止義務が有効となる可能性が高まります。</p>
<p>しかし、在職中の処遇などが理由で、退職者が会社と対立したまま会社を去るケースでは、素直に誓約書の提出がされないことがあります。また、退職後に競業を予定している退職者ほど、誓約書の提出を拒む可能性が高いでしょう。</p>
<p>そこで、就業規則において、退職時の誓約書の提出を義務化しておくこともあわせて検討するべきです。退職時の誓約書の提出が義務化されていれば、会社としては退職者に誓約書の提出を強く求められますし、退職者としても、就業規則に正面から反する対応は躊躇せざるを得ないでしょう。</p>
<p>誓約書(競業避止義務)の有効性は、前述のとおり総合的に判断されるため、どのような事案でも有効といえる条項を定めることは困難です。たとえば、次の条項のように、存続期間や禁止行為の範囲を相応に限定した内容であれば、有効と認められるケースも多いと考えられます。</p>
<h3>【文言例】</h3>
<h4>誓約書の競業避止義務条項</h4>
<p>私は、退職後1年間は、自らまたは新たな勤務先において、私が在職中に担当した貴社の取引先との間で、貴社と同種の取引を行なわないことを誓約いたします。</p>
<h4>就業規則の誓約書提出義務条項</h4>
<p>従業員は、当社を退職する際、秘密保持の確認や競業避止義務の確認等を含む、当社の指定する誓約書を提出しなければならない</p>
<p>人材の流動性は今後も高まる一方です。企業としては事業の継続的な成長のため、多様な人材を受け入れつつ、自社の秘密情報や顧客、従業員といった競争の源泉は守る必要があります。</p>
<p>退職者に対し競業避止義務を課すことは、自社の競争の源泉を守るうえで有用な対策です。その内容に配慮しつつ、定めるべきといえるでしょう。</p>
<hr />
<p><strong>執筆者：鳥飼総合法律事務所パートナー弁護士・山田重則</strong></p>
<p>印紙税や固定資産税などの税務のほか、企業、個人問わず幅広く業務を行なう。相続や後見に関する公的活動に従事するほか、大学で法的な文章の書き方の授業も受け持つ。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>残業の過少申告リスク2　未払い残業代とレピュテーションリスク</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-41789/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 23 Oct 2025 04:33:06 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[リスクマネジメント]]></category>
		<category><![CDATA[企業実務]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=41789</guid>

					<description><![CDATA[トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大事です。会社の日常業務に潜むリスクと、その対応策を弁護士・奈良正哉氏が解説します。</p>
<p>※本記事は月刊「企業実務」の連載・「まさか!」に備える総務のリスクマネジメントを転載したものです。<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/?s=%E3%80%8C%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%8B%21%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%82%99%E3%81%88%E3%82%8B%E3%80%80%E7%B7%8F%E5%8B%99%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88&amp;post_type=post" data-wpel-link="internal">本連載のバックナンバーはこちら</a></p>
</div>
<p>過少申告による残業規制のクリアには、二重の罪があります。すなわち「残業代の未払い」と「嘘の申告による残業規制のクリア偽装」です。</p>
<p>残業の過少申告が発覚するのは、内部通報によるケースが多いでしょう。「○○課長は残業をつけさせてくれない」などです。経験的にいえば、そうした通報が1件でもあると、その部門では、過少申告がまん延していると思ったほうがいいでしょう。</p>
<p>次に会社内部で発覚するのは、内部監査部門による内部監査によってです。おそらく残業規制が導入されてしばらくたった後、規制が遵守されているか、監査を行なった企業も多いと思います。</p>
<p>このとき、さらに深掘りした監査により、規制クリアは本質的に(正味の就業時間で)なされたのか、それとも表面的にクリアしたことになっていたのかが明らかになるケースもあります。これらは会社内部の機能による発覚ですから、労基署による指摘に比べると、自浄作用が働いていることの証明になります。</p>
<p>また、最近ではSNSへの投稿がきっかけとなって、管理部門が調査に乗り出すこともあるでしょう。これも、会社による自浄作用の発揮ということになります。しかし、きっかけはSNSなので、会社のレピュテーションを傷つけてしまいます。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-41796" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu2-1.jpg" alt="" width="410" height="909" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu2-1.jpg 410w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu2-1-250x554.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu2-1-72x160.jpg 72w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu2-1-99x220.jpg 99w" sizes="(max-width: 410px) 100vw, 410px" /></p>
<p>最近では、各社の労働環境を集約したサイトもあるようです。就活生は、このようなサイトも見て判断材料としているでしょうから、悪い評判がたてば、採用に影響を及ぼすことは必至でしょう。さらに、労基署への通報や過労死・過労事故などがきっかけになって、労基署の臨検を受けて発覚することもあります。</p>
<p>監督官庁からの指摘で過少申告が発覚するのは大きなダメージです。特に、残業が少ないはずなのに過労死や過労事故が発生するようでは、会社の労務管理全般の信頼性が揺らぐことになります。</p>
<h2>過少申告を認識したらすべきこと</h2>
<h3>1　正しい残業時間を申告させる</h3>
<p>残業の過少申告が判明したら、何をおいても、全社員に正しい申告をさせることです。なぜ、まっさきに正しい申告をさせなければならないかといえば、</p>
<ul>
	<li>違法状態(36協定違反、残業代の未払い等)を解消する必要がある</li>
	<li>過少申告を見逃して未払い賃金を発生させていたら、いつまでも労働債権の時効(3年)の効果を享受できない</li>
</ul>
<p>といった理由からです。</p>
<h3>2　残業の&#8221;過少申告体質&#8221;を改善する</h3>
<p>もともと日本人は、残業を過少申告する傾向があります。「仕事が遅いと見られたくない」「成果が出ていない仕事の残業代は申告しにくい」といった思いから、過少申告が体に染みついているのです。また、残業規制は会社としてクリアすべきものですから、自己犠牲の精神から、残業の過少申告を「悪いことではない」と考える人もいるでしょう。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-41797" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu2-2.jpg" alt="" width="561" height="607" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu2-2.jpg 561w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu2-2-250x270.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu2-2-110x119.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu2-2-180x195.jpg 180w" sizes="(max-width: 561px) 100vw, 561px" /></p>
<p>こうした考えを改めるには、繰り返し繰り返し、正しい申告を促していくしかありません。心情として、過少申告は「よい」ことだと思っている従業員には、それは間違いで過少申告は「悪い」ことだと刷り込んでいく必要があります。</p>
<p>なぜ悪いかといえば、従業員は、会社に対する虚偽の申告で、結局会社にダメージ(悪評判、経済的損失)を与えるからです。「服務規律違反に該当する」と整理することも有効かもしれません。部下に正しい申告をさせない管理職に対しても同様です。</p>
<h2>未払い残業代の清算</h2>
<p>正しい申告がなされるようになれば、現在から将来に向けて未払い残業代は発生しません。しかし、過去にも遡って残業時間を修正する必要があります。時効は3年ですから、3年分遡って正しい残業時間を把握し、その分の未払い残業代を清算しなければなりません。</p>
<p>その分は会社にとって費用になりますから、金額によっては決算への影響を考えることが必要になります。</p>
<p>さらに、本来、未払い残業代には発生ごとに利息を付ける必要があります。金額のインパクトもさることながら、未払い残業代が発生している全社員について、1か月ごとに発生する残業代について個々に利息計算をすることができるのか、という事務上の問題もあります。</p>
<p>すでに退職している人はどうするのか、どのように連絡するのかも問題になります。</p>
<p>たとえばホームページなどで公知するのは簡便ですが、広く残業代の未払いを知らしめることになってしまい、会社のレピュテーションを傷つけることになります。完璧な清算はあきらめ、どこかで割り切って「不完全清算のリスクを取る」ことも選択肢の1つになるでしょう。</p>
<p>一方、未払い残業代の清算は、それを受け取る従業員には思わぬボーナスのようなものです。それ自体はうれしいことでしょうが、清算時期(支払日)によっては翌年の社会保険料に影響することがあります。</p>
<p>未払い残業代の清算については、そのやり方や付帯する法的事項について、弁護士に相談したほうが安全でしょう。その後、本件について労基署との会話があると<br />
した場合、やり方の正当性について主張しやすくなることも期待できます。</p>
<p>***</p>
<p>未払い残業代の清算は、会社に経済的な負担を強いることになるでしょう。しかし、清算を行なうことで、従業員のマインドも変わります。すなわち、</p>
<ul>
	<li>「残業の過少申告は、結局、会社の不利益になる(=過少申告は「悪い」ことだ)」</li>
	<li>「残業規制をクリアするには、これまで以上に生産性を上げなければならない」</li>
</ul>
<p>というように、従業員のマインドはリセットされます。</p>
<p>これまで、経営者も残業管理は個々の従業員の心がけと現場の工夫といった安直な認識にとどまりがちでした。これが経営として真剣に取り組むべき、まさに経営課題であることが、改めて認識されることになります。</p>
<hr />
<p><strong>執筆者：鳥飼総合法律事務所パートナー弁護士・奈良正哉</strong></p>
<p>元みずほ信託銀行執行役員・監査役。現プライム上場企業3社の社外取締役・監査役。日弁連信託センター委員。企業ガバナンス全般、リスク管理、信託などに注力。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>残業の過少申告リスク1　経営の効率化を阻む&#8221;隠れ残業体質&#8221;</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-41778/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 08 Oct 2025 03:00:03 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[リスクマネジメント]]></category>
		<category><![CDATA[企業実務]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=41778</guid>

					<description><![CDATA[トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>トラブルが起きて初めて「そこにリスクが潜んでいた」ことに気づくのはよくある話です。しかし、事業を継続していくには、まだ表面化していないリスクを予測し、備えることが大事です。会社の日常業務に潜むリスクと、その対応策を弁護士・奈良正哉氏が解説します。</p>
<p>※本記事は月刊「企業実務」の連載・「まさか!」に備える　総務のリスクマネジメントを転載したものです。<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/?s=%E3%80%8C%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%8B%21%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%82%99%E3%81%88%E3%82%8B%E3%80%80%E7%B7%8F%E5%8B%99%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88&amp;post_type=post" data-wpel-link="internal">本連載のバックナンバーはこちら</a></p>
</div>
<p>2024年4月より建設業と運輸業に5年遅れで適用された残業規制。いわゆる2024年問題です。逆にいうと、両業種以外では5年前からその適用がなされていて、遵守が求められています。</p>
<p>ここでは法規制あるいは規制クリアの問題ではなく、その大前提としての「残業の正しい申告がなされているか」に焦点をあて、そのリスクを考えます。日本においては、残業は過大に申告されることはまれで、正しくない申告とは、すなわち過少に申告されているということです。</p>
<p>過少申告のまま規制をクリアしても、何にもならないのは当然です。さらにいえば、過少申告により実態を正しく把握できず、結局適切な対策が打てなくなるリスクは高くなります。</p>
<p>ここでいうところの適切な対策とは、新規採用であり、抜本的な省力化投資のことです。あるいは仕事を選別する、さらには一部の仕事を止めてしまうという選択肢もあるでしょう。</p>
<p>適切でない対策とは、代表的には従業員のマインドリセットです。すなわち「従業員の効率的な仕事への取組みや残業を規制する意識」を標榜して、個々の現場や従業員に規制クリアのための責任を丸投げしてしまうことです。</p>
<h2>過少申告の兆しの見つけ方</h2>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-41781" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/manga1.jpg" alt="" width="388" height="865" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/manga1.jpg 388w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/manga1-250x557.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/manga1-72x160.jpg 72w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/manga1-99x220.jpg 99w" sizes="(max-width: 388px) 100vw, 388px" /></p>
<h3>(1)残業体質の職種・部門がないか</h3>
<p>まず、自社が残業体質であるかどうかを感覚的に把握する必要があります。</p>
<p>たとえば、規制の適用が遅れた運輸、建設業界は典型的な残業体質業界です。多くの従業員(下請を含む)の収入は歩合制になっており、「運んでなんぼ」「何日働いてなんぼ」の世界です。営業職の賞与が歩合制になっている会社もそうでしょう。</p>
<p>さらに、自社のなかに〝残業体質〟の部門はないでしょうか。会社によって異なりますが、研究開発部門、生産部門、販売部門は残業体質になりがちです。あるいは営業成績の振るわない営業部、実績を上げることに血眼になっている支店長のいる支店などはどうでしょうか。</p>
<h3>(2)申告と実態が乖離してないか</h3>
<p>次に残業時間の申告と実態の乖離を推測します。</p>
<p>オフィスへの入退室に際し、ICカードを使用するケースで考えてみましょう(ここで現場への直行直帰は考慮しません)。入退室の記録(すなわち会社にいた時間)と、申告している就業時間に乖離はないでしょうか。</p>
<p>ここで、就業時間の申告は、パソコンのログイン・ログアウトに整合することが求められているとします。しかし、たとえばログインの1時間も前に入場する、ログアウトの1時間も後に退場するというのは不自然です。</p>
<p>会社にいるのは何のためかといえば、それは仕事をするためです。空白の1時間は仕事はしていない、休んでいた、私事に使っていたというなら、それを合理的に説明できる必要があります。</p>
<p>滞在時間に休憩や研修や自己研鑽などを織り交ぜて、実質就業時間は会社に滞在していた時間よりも短いと申告するのもよく見かける手口です。</p>
<p>しかし、忙しくて会社に10時間もいるのに、その合間を縫って、研修(しかも業務に関連のない)や自己研鑽をするでしょうか。休憩を所定時間を超えて取って、そのためにさらに帰宅を遅くするでしょうか。説得力のある説明がなければ、それらはすべて就業時間とみなすのが自然でしょう。</p>
<h3>(3)残業時間の分布に不自然さはないか</h3>
<p>残業時間の会社全体の分布はいかがでしょう。一般的な分布は正規分布(ベルカーブ)になることが多いと思います。しかし、規制上限の手前で、急激に崖になって分布が落ちていないでしょうか。残業規制を意識して、残業時間の自主規制をした結果とはいえないでしょうか。</p>
<h3>(4)いつも規制ぎりぎりまで残業している従業員がいないか</h3>
<p>個別の人単位で残業時間を見たとき、仕事ができない人が残業しているでしょうか。その反対に仕事ができる人、すなわち人事評価の高い人が残業していないでしょうか。</p>
<p>仕事ができる人に仕事は集中します。仕事ができて人事評価も高くて会社への帰属意識も強い人が、申告上は残業規制の一歩手前で寸止めしていないでしょうか。</p>
<h2>なぜ過少申告をするのか</h2>
<p>日本人は残業の過少申告体質だと思います。理由はいくつかあるでしょう。</p>
<p>まず、残業規制が導入されてから特にいえることですが、「残業する人=仕事が遅い人」という評価になり、残業時間が自分の人事評価に悪影響を及ぼすのを従業員は恐れます。</p>
<p>また、残業規制は会社としてクリアするべきものですから、自分が犠牲になって(申告時間を規制内に抑えることによって)会社として規制をクリアさせたいと考える人もいるでしょう。自己犠牲の精神ともいえるし、過少申告の正当化ともいえます。すなわち、過少申告は「よい」ことであって、決して「悪い」ことではない、という心情です。</p>
<p>管理職の資質も問題になることがあるでしょう。自分の部下が規制をクリアできない残業をすると自分の評価にも響きます。ですから、先ほどの不合理な休憩、自己研鑽、研修などの名目をつくって、残業規制をクリアする申告を黙認(ときには奨励)することになります。</p>
<p>見て見ぬふりをしているというのは、過失で見過ごしたというレベルではなく、わざとそうさせていた、と判断されてもしかたがないことです。成績の悪い営業店、あるいは成績向上に躍起になっている支店長がいる場合も「営業目標がクリアできないのにもう帰るのか」といった昭和的な圧力が加わることもあるでしょう。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-41793" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu1.jpg" alt="" width="564" height="738" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu1.jpg 564w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu1-250x327.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu1-110x144.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/zitumu1-168x220.jpg 168w" sizes="(max-width: 564px) 100vw, 564px" /></p>
<p>申告に基づく残業のデータを表面的に見ただけでは、このような作為はわかりません。人事部門は厳格かつ詳細に残業データを見て、不合理な申告があれば、当人だけでなく管理者にも注意喚起する必要があります。</p>
<hr />
<p><strong>執筆者：鳥飼総合法律事務所パートナー弁護士・奈良正哉</strong></p>
<p>元みずほ信託銀行執行役員・監査役。現プライム上場企業3社の社外取締役・監査役。日弁連信託センター委員。企業ガバナンス全般、リスク管理、信託などに注力。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>分析AIに求める夢と現実</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-40694/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 15 Oct 2024 07:00:23 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[SCM]]></category>
		<category><![CDATA[サプライチェーン]]></category>
		<category><![CDATA[需要予測]]></category>
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					<description><![CDATA[SaaSなどに代表されるWeb上だけで完結するサービスと異なり、現物を扱う事業の場合は必ず在庫管理や物流と言ったロジスティクスの課題が付きまといます。そのため、それ…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>SaaSなどに代表されるWeb上だけで完結するサービスと異なり、現物を扱う事業の場合は必ず在庫管理や物流と言ったロジスティクスの課題が付きまといます。そのため、それらの課題を解決し全体最適化を図るSCM(サプライチェーンマネジメント)の重要性はここ20年ほどでうなぎ上りで増しています。</p>
<p>そこで、資生堂やNECなどグローバル企業で需要予測に携わりながら、大学の講師として教鞭をとる山口雄大氏の新刊『<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534061263/" data-wpel-link="internal">サプライチェーンの計画と分析</a>』の内容を交えながら、最新のSCMに関する知見を短期集中連載でご紹介します。</p>
<p><a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/post-40433/" data-wpel-link="internal">第1回はこちら</a>、<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/post-40446/" data-wpel-link="internal">第2回はこちら</a>　<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/post-40449/" data-wpel-link="internal">第3回はこちら</a>　<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/post-40581/" data-wpel-link="internal">第4回はこちら</a></p>
</div>
<h2>業務における情報の分析フロー</h2>
<p>SCM(Supply Chain Management)に限らず、多くの業務でさまざまな情報を参考にしているはずです。数値情報に限らず、定性的な言語情報から示唆を考えることもデータ分析と言えます。その共通のプロセスは大まかに次の4ステップになると考えています。</p>
<ol>
	<li>情報収集</li>
	<li>データ整理</li>
	<li>業務における分析(例:需要予測・財務分析・購買分析など)</li>
	<li>意思決定(例:施策立案・在庫計画・調達計画など)</li>
</ol>
<p>大企業ではERP(Enterprise Resource Planning)システムなどに売上や商品・顧客マスタなどの情報が整理されている場合が多いですが、顧客の声や外部環境、施策に対する評価などまで一元的に管理できている企業は多くありません。そのため、どんな情報が必要かを各担当者が想像し、時間をかけて収集する必要があります。</p>
<p>集めた情報の種類や量は多く、そのままでは有益な示唆を得ることがむずかしい状態になります。そこで、書籍第5章で説明しているデータリテラシーを使い、情報を整理します。具体的には、データの関連づけ、補正、分類、基礎統計量の確認、簡単なビジュアライゼーションによる傾向や関係性の把握などです。</p>
<p>その後でいよいよ、自身が担当する業務の分析を行うことができます。需要予測であれば、自社からの出荷だけでなく、取引先からの出荷や最終消費者・ユーザーの購買実績、SNSで発信された商品への評判、競合のマーケティング情報などを収集し、需要を予測したい商品と関連付けて整理しておかないと、精度の高い需要予測を目指すのはむずかしいでしょう。</p>
<p>最後に、人による意思決定が必須です。データからどんな示唆が得られたとしても、それを踏まえてアクションに移すのには責任が伴います。</p>
<p>需要予測はデータ分析の結果のままで良いと思われがちですが、それは間違いです。過去の延長である時系列予測でも、高度なAI(人工知能)による予測でも、それを自身、自部門の責任としてマーケティングや営業、生産や調達、物流、経営管理などのさまざまなステークホルダーへ提示する必要があります。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-40746" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/scm5-1.jpg" alt="" width="570" height="250" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/scm5-1.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/scm5-1-250x110.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/scm5-1-110x48.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/scm5-1-180x79.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<h2>人の記憶とスキルに依存する分析</h2>
<p>データ分析と聞くと、統計学やプログラミングなどを使った数値・言語解析を思い浮かべやすいですが、このように業務フローを整理すると、かなりの部分で人の記憶とスキルに依存する構造が見えてきます。</p>
<p>とくに情報収集は経験の差が出やすいものです。たとえばメーカーからの出荷変動が発生した際、その原因を分析する必要がありますが、経験があれば、次のようなことなどをすぐに思いつき、すばやくさまざまなアクションを開始することができます。</p>
<ul>
	<li>販売チャネルやエリアなどのセグメント別に変動率の差を調べる</li>
	<li>卸出荷やPOSレベルでも変動が発生しているかを調べる</li>
	<li>他カテゴリや関連商品でも同程度の需要変動が発生しているかを調べる</li>
	<li>競合含め、外部環境の変化を調べる</li>
	<li>対象商品のマーケティング計画を確認する</li>
	<li>過去の類似例から需要変動の継続可能性を想像する</li>
	<li>整理した情報を基にマーケターや営業担当者と議論する</li>
</ul>
<p>しかし、新任の担当者は右往左往し、まずはまわりのプロフェッショナルに助けを求めるといった動きになってしまいます。データの整理についても基本的には同じです。こうした人の記憶やスキルに依存してパフォーマンスが大きく変わるプロセスに、どうAIなどの高度な技術を使って価値を生み出すかを考えることが重要なのです。</p>
<p>たとえば、別々のシステムに存在する情報の自動ひもづけや、カテゴリ・商品ごとに重要な外部情報を管理するデータベース、統計学やAIを使った異常値の検知と予測モデルによるその補正案の提示など、この需要予測の例のようにプロセスを分解すると、具体的な支援策を考えることができます。</p>
<p>最後のステップである意思決定も、AIを使ったシナリオ分析やシミュレーションができることで、思考の幅を広げることができるでしょう。</p>
<p>たとえば気象や競合のマーケティングなど、先を見通すのがむずかしい要素が需要に大きく影響する場合、一つの予測値が当たる前提での意思決定は有効になりにくいと言えます。そうした業界、商材については、因果関係をモデル化し、シナリオ分析できるケイパビリティが競争力を生むのです。</p>
<h2>AI導入目的のギャップ</h2>
<p>AI導入の目的に関するAI白書2020の調査結果 では、「ヒューマンエラーの低減」や「労働力不足への対応」といった項目で、AIの「導入を検討中」、つまりはAIを導入していない企業の期待値が高くなっていました。労働力や人件費の削減というテーマは関心が高い一方、AIを「導入済み」の企業の回答結果から、それは期待すべき項目ではなくなる傾向があると言えます。</p>
<p>これはAIのパフォーマンスが期待値に届かないというよりは、AIの学習データや特徴量の管理、AIのアウトプットの解釈と説明など、新たな仕事が生まれるからだと筆者は考えています。</p>
<p>逆に「導入済み」の企業がAIに期待しているのは、「業務効率化や生産性向上」、「新サービスの創出」、「既存サービスの付加価値の向上」など、新たな価値創出に関連するものでした。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-40747" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/scm5-2.jpg" alt="" width="570" height="439" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/scm5-2.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/scm5-2-250x193.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/scm5-2-110x85.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/10/scm5-2-180x139.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>この調査は2019年に行なわれたものですが、2024年時点でも参考になる示唆が得られると思います。</p>
<p>また当時は、AI導入済みの企業が22社であったのに対し、導入を検討中の企業は358社と、15倍以上の差が開いている状況での調査結果でした。2024年ではこの差がだいぶ縮小されていると思いますが、導入検討中の企業については特に知っておくべき内容と言えます。</p>
<p>AIもデータサイエンス同様、人の意思決定を支援できてこそ価値を生み出します。</p>
<p>ここで、人の意思決定を「強化」するものか、「置換」するものかは見極める必要があります。強化とは意思決定の質とスピードを高めることであり、置換は意思決定を自動化・効率化することと言い換えられますが、予測誤差が発生した場合のデメリット(代償)の大きさに留意すべきだと指摘されています。</p>
<p>病気の診断のように間違いの代償が大きい場合は、人の意思決定を「置換」すべきではなく、「強化」するためにAIを活用すべきと考えられています。</p>
<p>需要予測においても、施策の対象にならない商品はAI予測で「置換」し、新商品や主力品は、販売計画のリスク評価のためのカウンターフォーキャストや、意思入れのためのベースフォーキャストなどとして活用することで、意思決定を「強化」するといった使い分けが有効だと考えています。</p>
<p>こうしたAIの活用法も人が意思決定すべきものなのです。</p>
<hr />
<h4>著者profile</h4>
<p>山口雄大(やまぐち・ゆうだい)<br />
NECのシニアデータサイエンティスト兼、需要予測エバンジェリスト。青山学院大学グローバル・ビジネス研究所プロジェクト研究員。東京工業大学生命理工学部卒業。化粧品メーカー資生堂のデマンドプランナー、S&amp;OPグループマネージャー、青山学院大学講師などを経て現職。JILS「SCMとマーケティングを結ぶ!需要予測の基本」講師などを兼職。</p>
<p>実務家向け番組「山口雄大の需要予測サロン」でSCMの知見や事例を発信する他、数百名のデータサイエンティストと協働して様々な業界のSCM改革をデータ分析で支援。「需要予測相談ルーム」では年間50社程度にアドバイスを実施している。Journal of Business Forecasting(IBF)や経営情報学会などで論文を発表。</p>
<p>著書に『すごい需要予測』(PHP研究所)や『需要予測の戦略的活用』(日本評論社)、『全図解 メーカーの仕事』(共著・ダイヤモンド社)、『新版　需要予測の基本』(日本実業出版社)など多数。</p>
<p>現在NECのサイト上で、SCMをデータサイエンスでどう進化させるべきかについて15分で分かりやすく解説した「山口雄大の需要予測トーク!」の「競争力を生み出すSCMデータサイエンス」回を公開中(詳しくは以下のバナーをクリック/タップ)。<a target="_blank" href="https://jpn.nec.com/demand-forecast/event/240828-archive/?cid=df_777" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer"><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-40643" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana-.jpg" alt="" width="350" height="200" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana-.jpg 350w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana--250x143.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana--110x63.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana--180x103.jpg 180w" sizes="(max-width: 350px) 100vw, 350px" /></a></p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>需要予測と販売計画</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-40581/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 07 Oct 2024 02:00:54 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[SCM]]></category>
		<category><![CDATA[サプライチェーン]]></category>
		<category><![CDATA[需要予測]]></category>
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					<description><![CDATA[SaaSなどに代表されるWeb上だけで完結するサービスと異なり、現物を扱う事業の場合は必ず在庫管理や物流と言ったロジスティクスの課題が付きまといます。そのため、それ…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>SaaSなどに代表されるWeb上だけで完結するサービスと異なり、現物を扱う事業の場合は必ず在庫管理や物流と言ったロジスティクスの課題が付きまといます。そのため、それらの課題を解決し全体最適化を図るSCM(サプライチェーンマネジメント)の重要性はここ20年ほどでうなぎ上りで増しています。</p>
<p>そこで、資生堂やNECなどグローバル企業で需要予測に携わりながら、大学の講師として教鞭をとる山口雄大氏の新刊『サプライチェーンの計画と分析』の内容を交えながら、最新のSCMに関する知見を短期集中連載でご紹介します。</p>
<p><a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/post-40433/" data-wpel-link="internal">第1回はこちら</a>、<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/post-40446/" data-wpel-link="internal">第2回はこちら</a>　<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/post-40449/" data-wpel-link="internal">第3回はこちら</a></p>
</div>
<h2>意思決定のインプットとしての需要予測</h2>
<p>何がいつ、どこでどれくらい必要とされるかを予測する需要予測は、SCM(サプライチェーンマネジメント)の情報のトリガーです。バリューチェーンでは研究開発や商品開発が先にありますが、これらは一般にサプライチェーンには含まないことが多いものです。</p>
<p>しかし、研究開発における実験データや調査結果を需要予測に使う場合もありますし、商品開発時点から需要予測が必要になる業界も多いため、関連するプロセスと言えます。</p>
<p>SCMでは、需要はSKU別に数量ベースで予測されます。原材料や部品はここから一意に算出できるため、それらの需要は従属需要と呼ばれます。一方、商品の需要は別の情報から計算できるものではないため、独立需要と呼ばれ、需要予測の対象になります。</p>
<p>これに需要変動リスクやサービス率の目標などを考慮して立案するのが在庫計画であり、既存の在庫や生産予定、生産の効率や制約を加味して生産計画が立てられます(書籍第2章参照)。これらは売上(見込み)の最大化やコストの最小化を目的とし、各種制約条件がある意思決定問題として整理することができます。</p>
<p>そのため、適する技術が異なり、需要予測には機械学習による分類・予測が使われますが、在庫計画や生産スケジュールの立案には<strong>最適化技術</strong>が有効になります。</p>
<p>最適化技術とは、従来から「Optimization」としても知られているものであり、売上やコストといった目的関数と、生産設備や人員数、サービスレベルの目標といった各種制約条件をモデル化したうえで、その中での最適な条件を算出するものです。</p>
<p>自動で唯一の正解が導かれるというのは正しい理解ではなく、むしろ制約条件をパラメータとして動かすことでシミュレーションし、意思決定を支援する技術と認識するのが良いと考えています。</p>
<p>筆者は、<strong>需要予測は後工程の意思決定を最適化する一つの重要なインプット</strong>と捉えています。この考え方は、正解を導くのはなく意思決定を支援するという、データサイエンスの実務活用に必須ですし、PoC(Proof of Concept)から運用に移行するための効果試算でも留意すべきポイントになります。</p>

<figure id="attachment_40599" aria-describedby="caption-attachment-40599" style="width: 570px" class="wp-caption alignnone"><img decoding="async" class="size-full wp-image-40599" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide4.jpg" alt="" width="570" height="346" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide4.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide4-250x152.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide4-110x67.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide4-180x109.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /><figcaption id="caption-attachment-40599" class="wp-caption-text">SCMにおける需要予測の役割</figcaption></figure>

<h2>予測と計画は別概念</h2>
<p>もう1つ、ここで違いを整理しておくべき概念があります。それは、予測と計画です。</p>
<p>日本では需要予測、需要計画、販売計画の違いはあまり明確ではないと感じます。一方で海外、特に米国では<strong>Demand Forecasting</strong>と<strong>Demand Planning</strong>に分けて語られる傾向があります。</p>
<p>筆者は前者を需要予測に該当させることが多いですが、予測はデータドリブンで、できるだけ予測者の主観を入れずに行なうべきものだと考えています。後者は需要計画(この言葉は日本語ではあまり聞きませんが)や販売計画に該当させ、予測に対して何らかの“意思&#8221;を反映させたものと分けています。</p>
<p>ここで言う“意思”には、</p>
<ul>
	<li>新しい環境変化の影響</li>
	<li>過去に実施していない施策の効果</li>
	<li>目標や予算達成を目指したアスピレーション(事業計画との整合)</li>
</ul>
<p>など、根拠を定量的に示すのがむずかしい要素が含まれます。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-40691" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide5.jpg" alt="" width="570" height="346" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide5.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide5-250x152.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide5-110x67.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide5-180x109.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>実務では明確な線引きがむずかしい場合があり、かつどちらが正しいという議論でもありませんが、<strong>重要なのは予測と計画を分けて管理すること</strong>です。</p>
<p>それというのも、計画の目的は目標を達成することであり、そのためには計画の誤差要因をMAPE(Mean Absolute Percentage Error)やBiasといった専門的な指標を駆使して、正しく分析できる必要があります。</p>
<p>その際、予測の時点でどの程度の誤差が発生しているのか、その後の計画立案で悪化したのか、などを把握できることで、目標達成のためのアクションが変わる可能性が高いのです。</p>
<p>予測の誤差が大きければ、データ分析とは基本的に過去の解釈なので、市場が変化していると考えることができます。一方で、計画段階で誤差が拡大しているのであれば、それは自社の施策効果を見誤った可能性があると言えるでしょう。</p>
<p>こうした解釈のためには、需要予測のモデルや使っているデータを理解している必要がありますし、予測モデルの癖(出力の傾向)もモニタリングしておくことが有効です。</p>
<p>統計的な予測モデルや予測AIの活用は基本的に予測を高度化させる手段です。計画立案の精度を高めるためには、より多くの関係者からのタイムリーで正確な情報連携が有効になるかもしれません。</p>
<p>予測と計画を、意思という観点で分けて管理することで、予測精度向上や目標達成に向けた的確なアクションを考えることができるようになります。ビジネスにおける需要予測は、単にロジックを高度にするだけでは成果を生み出すことはできません。</p>
<p>需要予測オペレーションをマネジメントするという発想が有効であり、ここで紹介したような標準知識は、マネジメントに活用することができるのです。</p>
<h4>参考文献</h4>
<ul>
	<li>AI白書2020. 月刊ロジスティクス・ビジネス, 2021年8月号, p.15.ライノスパブリケーションズ.</li>
	<li><a target="_blank" href="https://dhbr.diamond.jp/articles/-/10347" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer" class="wpel-icon-right">AIプロジェクトを軌道に乗せる5つのステップ 選択、開発、評価、導入、管理を慎重に進める | イヤボール・ボジノフ｜2024年3月号｜DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー<span class="wpel-icon wpel-image wpel-icon-4"></span></a></li>
</ul>
<hr />
<h4>著者profile</h4>
<p>山口雄大(やまぐち・ゆうだい)<br />
NECのシニアデータサイエンティスト兼、需要予測エバンジェリスト。青山学院大学グローバル・ビジネス研究所プロジェクト研究員。東京工業大学生命理工学部卒業。化粧品メーカー資生堂のデマンドプランナー、S&amp;OPグループマネージャー、青山学院大学講師などを経て現職。JILS「SCMとマーケティングを結ぶ!需要予測の基本」講師などを兼職。</p>
<p>実務家向け番組「山口雄大の需要予測サロン」でSCMの知見や事例を発信する他、数百名のデータサイエンティストと協働して様々な業界のSCM改革をデータ分析で支援。「需要予測相談ルーム」では年間50社程度にアドバイスを実施している。Journal of Business Forecasting(IBF)や経営情報学会などで論文を発表。</p>
<p>著書に『すごい需要予測』(PHP研究所)や『需要予測の戦略的活用』(日本評論社)、『全図解 メーカーの仕事』(共著・ダイヤモンド社)、『新版　需要予測の基本』(日本実業出版社)など多数。</p>
<p>現在NECのサイト上で、SCMをデータサイエンスでどう進化させるべきかについて15分で分かりやすく解説した「山口雄大の需要予測トーク!」の「競争力を生み出すSCMデータサイエンス」回を公開中(詳しくは以下のバナーをクリック/タップ)。<a target="_blank" href="https://jpn.nec.com/demand-forecast/event/240828-archive/?cid=df_777" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer"><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-40643" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana-.jpg" alt="" width="350" height="200" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana-.jpg 350w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana--250x143.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana--110x63.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana--180x103.jpg 180w" sizes="(max-width: 350px) 100vw, 350px" /></a></p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>有事に際立つSCMの役割</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-40449/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 26 Sep 2024 02:30:35 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[SCM]]></category>
		<category><![CDATA[サプライチェーン]]></category>
		<category><![CDATA[需要予測]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=40449</guid>

					<description><![CDATA[SaaSなどに代表されるWeb上だけで完結するサービスと異なり、現物を扱う事業の場合は必ず在庫管理や物流と言ったロジスティクスの課題が付きまといます。そのため、それ…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>SaaSなどに代表されるWeb上だけで完結するサービスと異なり、現物を扱う事業の場合は必ず在庫管理や物流と言ったロジスティクスの課題が付きまといます。そのため、それらの課題を解決し全体最適化を図るSCM(サプライチェーンマネジメント)の重要性はここ20年ほどでうなぎ上りで増しています。</p>
<p>そこで、資生堂やNECなどグローバル企業で需要予測に携わりながら、大学の講師として教鞭をとる山口雄大氏の新刊『<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534061263/" data-wpel-link="internal">サプライチェーンの計画と分析</a>』の内容を交えながら、最新のSCMに関する知見を短期集中連載でご紹介します。</p>
<p><a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/post-40433/" data-wpel-link="internal">第1回はこちら</a>、<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/post-40446/" data-wpel-link="internal">第2回はこちら</a></p>
</div>
<h2>混乱で実感するSCMの価値</h2>
<p>2010年からの10年以上、化粧品や日用雑貨品の需要予測を担ってきた経験の中で、最も印象的だったサプライチェーンの危機は、2014年の10月から激増したインバウンド需要 によるものでした。このタイミングで化粧品などが免税対象になり、また日本が国をあげて訪日キャンペーンを実施し始めていたため、訪日外国人数とインバウンド消費が共に急増したのです。</p>
<p>もちろん、あらゆる商品の売上が急増したわけではなく、商材によって違いはあったものの、次の特徴を備えたものが人気になったと言えます。</p>
<ul>
	<li>グローバルにおけるブランド、商品の認知度</li>
	<li>企業やブランドに対する信頼感</li>
	<li>高機能による顧客価値</li>
	<li>各国の慣習や文化に合ったデザインや色、配合</li>
</ul>
<p>このとき、売上規模が過去の数十倍以上になる商品もあり、一方で原材料や部品の手配、生産キャパシティや人員などを数ヵ月で同様に増やすことはむずかしく、化粧品や菓子、医薬品、電化製品などにおいて過去10年にはなかった水準の欠品が発生したのです。</p>
<p>SCM(Supply Chain Management)部門の関係者は相当大変だったのですが、CEOだけでなく、人事部門や営業・マーケティング部門などもSCMの重要性に気づくこととなりました。</p>
<p>これは需要(変動)ドリブンのサプライチェーン危機と言えますが、2020年以降、世界で広がったパンデミックでは供給ドリブンのサプライチェーン危機に見舞われました。半導体不足は自動車やスマートフォン、工場用ロボットなどの業界で生産遅延を引き起こしたと聞きますし、工場の稼働停止はより広い業界の供給を遅らせる要因になりました。</p>
<p>日頃はSCM担当者の尽力のおかげで、各業界はさまざまな商品を安定的に供給できているわけですが、平時ではあまりその貢献には光が当たりません。<strong>しかし、こうした大きな外的環境の変化などによってサプライチェーンが混乱すると、その価値が多くの関係者に伝わる</strong>のです。</p>
<h2>欠品と過剰在庫はくり返す</h2>
<p>こうした大規模な需要の急増や供給の遅延などによって、長期にわたる欠品が発生すると、短期的な販売機会の損失に加え、サプライチェーンパートナーからの信頼の失墜という、より大きなビジネス影響が発生します。これを防ぐため、企業は必要以上に原材料を確保したり、増産を行ったりする場合があります。</p>
<p>この結果、需要や供給が落ち着いてくると、今度は過剰在庫が問題になるのです。過剰在庫は欠品ほどすぐには問題になりにくく、決算のタイミングなどでフォーカスされます。しかし、実はこの時点からの対処では遅く、本来は適切なSCMによって早期に在庫を制御しなければなりません。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-40562" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide3.jpg" alt="" width="570" height="300" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide3.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide3-250x132.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide3-110x58.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide3-180x95.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>在庫は目に見える管理費を増加させるだけでなく、適切に抑制できていれば他の領域に投資できたはずのキャッシュを逸失しているというネガティブなビジネス影響があるためです。さらに、たとえば工場の生産ラインの増強といった設備投資を行っていた場合、基本的には廃棄、売却などはむずかしいため、過剰在庫よりも対応に苦慮することとなります。</p>
<p>このように、SCMには欠品と過剰在庫の抑制という2つの目標があり、これらは売上のトップラインと利益を伸張させるというより大きな目的につながっています。留意すべきは、販売機会の損失やコストの増加を防ぐという短期的なメリットだけでなく、サプライチェーンパートナーからの信頼維持や、顧客生涯価値(Life Time Value)という長期にわたる売上の確保、投資原資の創出という、数値では評価しづらいより大きなメリットがあることです。</p>
<p>後追いかつ受け身のSCMでは、いつまでも欠品と過剰在庫という負のサイクルから抜け出せません。SCMの変革をリードするためには、標準知識と進化のトレンドを踏まえて、各社に合った目的とマイルストーンを描けることが重要です。</p>
<p>そしてSCMの変革を経営層に提案するのに適したタイミングは、有事による混乱が落ち着いた直後です。もちろん、ROI(Return on Investment)の定量的な試算などは必要ですが、それよりもSCM担当者以外のステークホルダー、特に経営層がSCM変革の必要性を実感していることが重要なのです。</p>
<p>SCM変革においては、各社のサプライチェーンのどこにボトルネックがあるのかを特定することが必要になります。このためには、サプライチェーンにある多様な機能について理解しておかなければなりません。</p>
<h4>参考文献</h4>
<ul>
	<li><a target="_blank" href="https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer" class="wpel-icon-right">訪日外客統計｜JNTO(日本政府観光局)<span class="wpel-icon wpel-image wpel-icon-4"></span></a></li>
</ul>
<hr />
<h4>著者profile</h4>
<p>山口雄大(やまぐち・ゆうだい)<br />
NECのシニアデータサイエンティスト兼、需要予測エバンジェリスト。青山学院大学グローバル・ビジネス研究所プロジェクト研究員。東京工業大学生命理工学部卒業。化粧品メーカー資生堂のデマンドプランナー、S&amp;OPグループマネージャー、青山学院大学講師などを経て現職。JILS「SCMとマーケティングを結ぶ!需要予測の基本」講師などを兼職。</p>
<p>実務家向け番組「山口雄大の需要予測サロン」でSCMの知見や事例を発信する他、数百名のデータサイエンティストと協働して様々な業界のSCM改革をデータ分析で支援。「需要予測相談ルーム」では年間50社程度にアドバイスを実施している。Journal of Business Forecasting(IBF)や経営情報学会などで論文を発表。</p>
<p>著書に『すごい需要予測』(PHP研究所)や『需要予測の戦略的活用』(日本評論社)、『全図解 メーカーの仕事』(共著・ダイヤモンド社)、『新版　需要予測の基本』(日本実業出版社)など多数。</p>
<p>現在NECのサイト上で、SCMをデータサイエンスでどう進化させるべきかについて15分で分かりやすく解説した「山口雄大の需要予測トーク!」の「競争力を生み出すSCMデータサイエンス」回を公開中(詳しくは以下のバナーをクリック/タップ)。</p>
<p><a target="_blank" href="https://jpn.nec.com/demand-forecast/event/240828-archive/?cid=df_777" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer"><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-40643" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana-.jpg" alt="" width="350" height="200" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana-.jpg 350w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana--250x143.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana--110x63.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/zyuyoubana--180x103.jpg 180w" sizes="(max-width: 350px) 100vw, 350px" /></a></p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>需要予測でフードロス解決を目指す</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-40446/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 17 Sep 2024 02:30:02 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[SCM]]></category>
		<category><![CDATA[サプライチェーン]]></category>
		<category><![CDATA[フードロス]]></category>
		<category><![CDATA[需要予測]]></category>
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					<description><![CDATA[SaaSなどに代表されるWeb上だけで完結するサービスと異なり、現物を扱う事業の場合は必ず在庫管理や物流と言ったロジスティクスの課題が付きまといます。そのため、それ…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>SaaSなどに代表されるWeb上だけで完結するサービスと異なり、現物を扱う事業の場合は必ず在庫管理や物流と言ったロジスティクスの課題が付きまといます。そのため、それらの課題を解決し全体最適化を図るSCM(サプライチェーンマネジメント)の重要性はここ20年ほどでうなぎ上りで増しています。</p>
<p>そこで、資生堂やNECなどグローバル企業で需要予測に携わりながら、大学の講師として教鞭をとる山口雄大氏の新刊『<a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534061263/" data-wpel-link="internal">サプライチェーンの計画と分析</a>』の内容を交えながら、最新のSCMに関する知見を短期集中連載でご紹介します。</p>
</div>
<h2>世界でも日本でも食べ物が捨てられている</h2>
<p>みなさんも「フードロス」という言葉は聞いたことがあると思います。食品廃棄のことであり、世界では飢餓に苦しんでいる人たちがいる一方で、年間13億トンもの食べ物が廃棄されています 。</p>
<p>日本だけでも612万トン捨てられていて、その中には調理する前のもの(病気にかかってしまった家畜や災害で傷ついた野菜など)もあれば、調理・加工された後の食べ残しや消費期限切れもあります。</p>
<p>フードロスはもったいないだけでなく、資源の限られた地球の持続可能性のためにも、できるだけ少なくしたいと、ビジネスパーソンに限らず多くの人が考えているでしょう。</p>
<p>外食サービス業においては、消費期限切れによるフードロスは利益を悪化させる要因にもなります。原材料費をかけ、設備や調理スタッフを使って料理を用意しても、売上を生まずに捨てられるからです。</p>
<p>たとえばお寿司は生ものであり、消費期限が特に短いという特徴があります。つまり廃棄リスクが高い商材と言えるのですが、この問題を解決するための1つとして、需要予測の精度向上が取り組まれています。</p>
<p>需要予測とは、何がいつ、どこで何個、必要とされるのかを予測することです。顧客から欲しいと言われてから生産するものであれば、こうした需要予測は不要になりますが、みなさんが普段、小売店で目にするほとんどの商品は購買時点で生産されているものであり、需要予測が必要なのです。</p>
<p>外食サービスにおいては、注文を受けてから調理されている印象があるかもしれません。しかし、そのための食材は購入されていますし、メニューによっては仕込みが済んでいます。こうした予測に基づく行動によってサービス提供までの時間を短くし、顧客の体験価値を向上させているのです。</p>
<h2>時間帯別の回転寿司の需要予測</h2>
<p>回転寿司チェーンは、2020年からのパンデミック、そして原材料価格の高騰を受けた値上げにより集客に苦戦しました。集客が落ち込めば、売上も下がり、利益も確保しづらくなります。食品廃棄ロスの影響も大きくなるため、AI(人工知能)を使った需要予測に取り組む企業が出てきました。</p>
<p>AIで需要予測の精度を高め、さまざまなムダを減らすことで利益を増やそうという狙いです。データ基盤の構築や十分な学習データセットを用意するなど、適切な機械学習の環境を構築できれば、<strong>AIは人よりも多くの情報を適切に考慮した分類や予測ができる</strong>可能性が高まります。</p>
<p>回転寿司の需要は、消費期限の問題から、月や週、日よりも細かな時間帯別の予測が必要になります。時間的にもエリア的にも物的にも細かいほど、需要の因果関係は複雑になる傾向があり、より多くの要素を考慮しなければなりません。</p>
<p>基本的には、客数予測よりも商品別の需要予測のほうがむずかしくなります。これは、客層、人によってメニューの好みが異なり、つまりは因果関係がより複雑になるからです。また、日本全国計よりも、店舗別の客数予測のほうがむずかしいと言えます。これはエリアによって天候や店舗近隣のイベントの影響が大きくなるためです。</p>
<p>回転寿司チェーンであれば、近くの幼稚園や学校のイベントや、コンサート、スポーツの試合などによって客数だけでなく客層も大きく変わると考えられます。また、その時間帯の天気や近隣の競合チェーンのキャンペーンも客数に影響するでしょう。季節に合わせてメニューに加える新商品の需要予測も簡単ではありません。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-40550" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide2.jpg" alt="" width="570" height="349" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide2.jpg 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide2-250x153.jpg 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide2-110x67.jpg 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/slide2-180x110.jpg 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>こうした複雑な因果関係が商品ごとに異なり、かつ頻度高く更新していく必要もあるため、AIの活躍が期待できると考えられているのです。しかし、先述のような<strong>因果関係を整理し、データとして蓄積することを主導するのは人です</strong>。</p>
<p>外食サービスでは、図に記載した要素以外にも、扱う商材によって留意すべきものがあるでしょう。筆者の経験では、少なくとも30~40種類の要素(AIの学習においては特徴量と言います)を整理する業界が多かった印象です。これは各商材の顧客、競合、市場などを熟知した各社の有識者ではないと、的確に想像することができません。</p>
<p>また、AI、機械学習を含む、データサイエンスの基礎知識がないと、業務知見(ドメイン知識)を有効活用することはできません。プログラムを書けなくても、次のことを理解しておく必要があるのです。</p>
<ul>
	<li>AIにはどんなことを期待できるのか</li>
	<li>そのためにはどんな情報が必要か</li>
	<li>どのような形のデータとして蓄積しておくことが必要なのか</li>
	<li>AIのアウトプットを基に、何に留意して意思決定すべきか</li>
</ul>
<p>業界知見を持った人とAIが協働することで、フードロスという世界的な社会問題が少しでも解決されればと願っています。</p>
<h4>参考文献</h4>
<ul>
	<li><a target="_blank" href="https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_01.html" data-wpel-link="external" rel="external noopener noreferrer" class="wpel-icon-right">食品ロスの現状を知る：農林水産省(maff.go.jp)<span class="wpel-icon wpel-image wpel-icon-4"></span></a></li>
</ul>
<hr />
<h4>著者profile</h4>
<p>山口雄大(やまぐち・ゆうだい)<br />
NECのシニアデータサイエンティスト兼、需要予測エバンジェリスト。青山学院大学グローバル・ビジネス研究所プロジェクト研究員。東京工業大学生命理工学部卒業。化粧品メーカー資生堂のデマンドプランナー、S&amp;OPグループマネージャー、青山学院大学講師などを経て現職。JILS「SCMとマーケティングを結ぶ!需要予測の基本」講師などを兼職。</p>
<p>実務家向け番組「山口雄大の需要予測サロン」でSCMの知見や事例を発信する他、数百名のデータサイエンティストと協働して様々な業界のSCM改革をデータ分析で支援。「需要予測相談ルーム」では年間50社程度にアドバイスを実施している。Journal of Business Forecasting(IBF)や経営情報学会などで論文を発表。</p>
<p>著書に『すごい需要予測』(PHP研究所)や『需要予測の戦略的活用』(日本評論社)、『全図解 メーカーの仕事』(共著・ダイヤモンド社)、『新版　需要予測の基本』(日本実業出版社)など多数。</p>
<p>&nbsp;</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>ロジスティクス＆需給インテリジェンスの現在</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-40433/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 23 Aug 2024 01:00:51 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[SCM]]></category>
		<category><![CDATA[生産管理]]></category>
		<category><![CDATA[需給]]></category>
		<category><![CDATA[需要予測]]></category>
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					<description><![CDATA[SaaSなどに代表されるWeb上だけで完結するサービスと異なり、現物を扱う事業の場合は必ず在庫管理や物流と言ったロジスティクスの課題が付きまといます。そのため、それ…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>SaaSなどに代表されるWeb上だけで完結するサービスと異なり、現物を扱う事業の場合は必ず在庫管理や物流と言ったロジスティクスの課題が付きまといます。そのため、それらの課題を解決し全体最適化を図るSCM(サプライチェーンマネジメント)の重要性はここ20年ほどでうなぎ上りで増しています。</p>
<p>そこで、資生堂やNECなどグローバル企業で需要予測に携わりながら、大学の講師として教鞭をとる山口雄大氏の新刊『サプライチェーンの計画と分析』の内容を交えながら、最新のSCMに関する知見を短期集中連載でご紹介します。</p>
</div>
<h2>競争優位を生むロジスティクス&amp;インテリジェンス</h2>
<p>ビジネスは戦争になぞらえて語られることがありますが、筆者はどちらにおいてもロジスティクスが極めて重要になるという考え方に賛同しています。ロジスティクスは物流の言い換えではありません。より自律的な概念であり、最前線における需要予測を踏まえた物資・資源の調達から、物流によって届けきるところまでをリード&amp;フォローする機能です。これが前線における競争優位を生み出します。</p>
<p>そして需要予測はロジスティクスにおいて必須の機能であり、競争優位の源泉でもあると考えています。需要予測のキャリア、研究をつづける中で気づいたのが、需給情報の収集と分析、そこからの示唆を意思決定層へ発信していくことも、競争優位を生み出していくために非常に重要であるという事実です。筆者はこれを「需給インテリジェンス」と呼び、経営における意思決定を深化させる重要な機能だと提唱しています。</p>
<p>ロジスティクスとインテリジェンスは補完的な関係にあり、需要予測をベースとする需給インテリジェンスは適切なロジスティクスの実行のために有効です。一方でロジスティクスの各所から収集できる情報が需給インテリジェンスに必須となります。</p>
<p>需給インテリジェンスを踏まえたロジスティクスこそが、前線で効果的に機能し、競争における優位性を生み出すのです。『サプライチェーンの計画と分析』(日本実業出版社　2024年)ではこの需給インテリジェンスを重要な切り口として、データサイエンスで進化しつつあるSCMを解説します。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-full wp-image-40435" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/fig1.png" alt="" width="570" height="336" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/fig1.png 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/fig1-250x147.png 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/fig1-110x65.png 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/fig1-180x106.png 180w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<h2>競争力の創出を目指すSCM</h2>
<p>SCM、サプライチェーンマネジメントという言葉は、この20年程度でだいぶ日本企業にも広まり、重要視されるようになってきたと感じます。SCMの知識体系をグローバルで整理しているASCM(Association for Supply Chain Management) によると、SCMは次のように定義されています 。</p>
<p>「価値の創造、競争力のある基盤構築、世界規模でのロジスティクス活用、需給の同期化、グローバルなパフォーマンス測定を目的とする、サプライチェーン活動の設計、計画、実行、管理、監視。」</p>
<p>企業の活動は基本的に、製品やサービスを通じて顧客に価値を販売することですが、そのためには営業やマーケティング、ファイナンス、研究開発、商品開発、調達、生産、物流など、さまざまな機能が連携しています。顧客に提供する価値を創造するこの連携はバリューチェーンとも呼ばれますが、その中で需要と供給(需給)のバランスを制御し、企業の競争力を高めていくしくみがSCMなのです。</p>
<p>SCMの中でも特に、ビジネスに必要な物を調達したり、販売したりする際に重要な輸配送、保管、出荷などを適切に制御する概念をロジスティクスと呼びます。商品の原材料や部品、人材の調達、製品の生産拠点、顧客など、ビジネスの対象範囲が世界に広がっていく中で、ロジスティクスの戦略的な活用がますます重要になっています。</p>
<p>SCMにおける制御では、計画、調達、生産、ロジスティクス、販売などさまざまな活動が対象になりますが、それぞれのパフォーマンスを定期的に測定することが必要になります。モニタリングすべきKPI(Key Performance Indicator)を定めることで、異常を早期に察知し、改善のアクションに動けるのです。</p>
<p>本書ではこのSCMについて、企業の具体的な活動もまじえながら基礎的な知見を解説するとともに、AIやデータ分析による進化など、近年のトレンドも紹介していきます。</p>
<h2>SCMを学ぶ目的</h2>
<p>2020年からの世界的なパンデミックを受け、SCMの考え方は大きく変化したと言えるでしょう。需要に加えて供給の不確実性が高まったことや、在庫をはじめ、効率を追求し過ぎることが事業の継続性に大きなリスクになると、SCMに関わるビジネスパーソンは学びました。</p>
<p>サプライチェーンは自社の製品やサービスを顧客に提供するための物と情報の流れであり、こうしたビジネス環境の変化も踏まえ、経営層はそれを適切に管理してくことが求められます。このパンデミックによって、経営層の意識のフォーカスが、生産コストから物流・供給コストへ変わったことが指摘されています 。</p>
<p>従来は生産コスト、つまり労働力や土地などのコストや、技術レベル、生産環境やインフラの整備状況などを考慮した生産拠点の配置が重要視されていました。これは、生産コストが物流コストに比べて大きい場合が多かったためです。しかし、パンデミックに起因してコンテナ運賃が10倍近く暴騰するなど、物流コストが上がったり、半導体をはじめとする重要な部品などの安定的な供給を前提にできなくなったりしたことが、サプライチェーンデザインを考え直すきっかけとなったのです。</p>
<p>生産コストを低くするために、主要な販売エリアから遠く離れた国に生産拠点を構えた場合、基本的には物流コストは高くなります。また、輸送距離が長くなるほど、なんらかのトラブルで物流が遅延するリスクや原材料や部品、最終製品などの汚破損リスクは高まります。</p>
<p>また、各種在庫の状況、何が今、どんな状態でどこにあるのかが不透明になっていきます。物流コストが生産コストと比較して圧倒的に小さければ、こうした影響はあまり考えなくて良いのですが、もちろん業界によるものの、全体的な物流コストとリスクの上昇がサプライチェーンデザインの考え方を変えているのです。</p>
<p>COVID-19によるパンデミックは特別なものではなく、自然災害や紛争・テロ、貿易摩擦など、サプライチェーンに大きな影響を与える出来事はくり返されています。そうしたVUCAな環境下で事業を継続していくためには、リアルタイムに近い情報に基づく需給バランスの制御、SCMが極めて重要な役割を果たしていて、経営層やSCMの部門長だけでなく、ファイナンスや営業、マーケティング、ITなどの業務領域でも、部長クラス以上には必須の知識となってきていると言えます。</p>
<p>インターネットやAIといった技術が進歩し、スマートフォンが普及してSNSを使った生活者からの情報発信が劇的に増え、EC(Electric Commerce)が多くの商材で当たり前になるといった購買行動の変化と、異常気象の増加や世界的なパンデミック、SDGs 意識の高まり、サイバー攻撃リスクの増加といった、サプライチェーンにおける供給の不確実性の増加の中で、商品を受け取るまでの体験も重要になってきています。</p>
<p>つまり、商品開発や設計、販売に携わるマーケターやエンジニア、営業担当者などもSCMに関する基礎知識を身につけておくことが重要になっていて、SCMを考慮した商品デザイン(Design for SCM)、マーケティングを考えることが競争力に直結し始めているのです。</p>
<p>このように、SCMは経営層にとっても実務担当者にとっても、企業の持続的な競争力を生み出すために必須の知識になっています。　『サプライチェーンの計画と分析』でSCMの標準知識とビジネスの最前線での試行錯誤、さらには近年のデータサイエンス活用のアイデアなどを知り、データドリブンSCMによる自社の競争力向上について考えていただければと思います。</p>
<hr />
<h4>著者profile</h4>
<p>山口雄大(やまぐち・ゆうだい)<br />
NECのシニアデータサイエンティスト兼、需要予測エバンジェリスト。青山学院大学グローバル・ビジネス研究所プロジェクト研究員。東京工業大学生命理工学部卒業。化粧品メーカー資生堂のデマンドプランナー、S&amp;OPグループマネージャー、青山学院大学講師などを経て現職。JILS「SCMとマーケティングを結ぶ!需要予測の基本」講師などを兼職。</p>
<p>実務家向け番組「山口雄大の需要予測サロン」でSCMの知見や事例を発信する他、数百名のデータサイエンティストと協働して様々な業界のSCM改革をデータ分析で支援。「需要予測相談ルーム」では年間50社程度にアドバイスを実施している。Journal of Business Forecasting(IBF)や経営情報学会などで論文を発表。</p>
<p>著書に『すごい需要予測』(PHP研究所)や『需要予測の戦略的活用』(日本評論社)、『全図解 メーカーの仕事』(共著・ダイヤモンド社)、『新版　需要予測の基本』(日本実業出版社)など多数。</p>
<p>&nbsp;</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>財務会計における「固定資産の考え方」</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-40356/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[OR]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 26 Jul 2024 01:00:26 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[会計]]></category>
		<category><![CDATA[会計士]]></category>
		<category><![CDATA[税理士]]></category>
		<category><![CDATA[経理]]></category>
		<category><![CDATA[財務会計]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.njg.co.jp/?p=40356</guid>

					<description><![CDATA[簿記の勉強では、よくB/S(貸借対照表)やP/L(損益計算書)といった表の話がでてきますが、そうした表(財務諸表)を作るうえでも財務会計に関する理解が求められます。…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="notable-area">
<p>簿記の勉強では、よくB/S(貸借対照表)やP/L(損益計算書)といった表の話がでてきますが、そうした表(財務諸表)を作るうえでも財務会計に関する理解が求められます。財務会計は税務署や金融機関、株主など社外の利害関係者に財務状況を報告することを目的としているため、収益や固定資産、負債や税効果会計など様々な会計基準を理解しておく必要があります。</p>
<p>本記事では『財務会計の基本』(登川雄太著)より、固定資産に関する総論的な見方を一部抜粋・編集して解説します。</p>
</div>
<h2>固定資産とは</h2>
<p>固定資産とは、長期(1年以上)にわたって保有する資産の総称です。固定資産は、下記の3つに大別されます。</p>
<table style="border-collapse: collapse; width: 100%; height: 102px;">
<tbody>
<tr style="height: 41px;">
<th style="width: 26.2696%; height: 41px; text-align: center; vertical-align: middle;">有形固定資産</th>
<td style="width: 73.7304%; height: 41px; vertical-align: middle;">営業(会社の本業)のために長期にわたり使用する、具体的な形態がある資産(建物、土地、備品など)</td>
</tr>
<tr style="height: 41px;">
<th style="width: 26.2696%; height: 41px; text-align: center; vertical-align: middle;">無形固定資産</th>
<td style="width: 73.7304%; height: 41px; vertical-align: middle;">営業のために長期にわたり効果を発揮するが、具体的な形態を持たない資産(特許権、商標権、ソフトウェアなど)</td>
</tr>
<tr style="height: 20px;">
<th style="width: 26.2696%; height: 20px; text-align: center; vertical-align: middle;">投資その他の資産</th>
<td style="width: 73.7304%; height: 20px; vertical-align: middle;">長期の金融投資など(長期貸付金、投資有価証券、繰延税金資産など)</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<h3>商品と有形固定資産</h3>
<p>商品は販売目的で保有する資産、有形固定資産は長期間使用するための資産です。</p>
<p>一見、全然違うもののように思えますが、会計的には費用性資産であるという点で共通しています。そのため、どちらも「取得原価のうち、消費分は費用とし、未消費分は資産計上する」となります。この点、商品は「販売=消費」、「在庫=未消費」となるため、消費分と未消費分の区別は容易です。</p>
<p>一方、長期間使用する有形固定資産は、当期の消費分が目に見えません。目には見えなくても、耐用年数の到来時に処分価値がゼロ(もしくは、ごくわずか)になるのであれば、使用期間にわたって価値が減少しているのは事実です。</p>
<p>この「使用期間にわたって価値が減少しているが、その減少額を客観的に把握できない」点が有形固定資産の会計的特徴です。そこで有形固定資産は減価償却という手続きを行い、当期の価値減少額(当期の費用)を算定することになります。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-large wp-image-40361" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-1-570x195.png" alt="" width="570" height="195" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-1-570x195.png 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-1-250x86.png 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-1-768x263.png 768w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-1-110x38.png 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-1-180x62.png 180w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-1.png 1012w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>なお、土地は有形固定資産に該当しますが、時の経過により価値が減少するものではないため、減価償却はしません(非償却性資産という)。</p>
<h3>減価償却(定額法)</h3>
<p>減価償却とは、有形固定資産の取得原価を、使用する期間にわたって費用配分する手続きをいいます。また、減価償却により認識された費用を、減価償却費といいます。</p>
<ol>
	<li>X1年度首に300万円で営業用の車両を取得した。</li>
	<li>上記車両の耐用年数(使用可能期間)は3年、残存価額(耐用年数到来時の売却価格)はゼロと見積もっている。</li>
	<li>減価償却方法は定額法を採用している。</li>
</ol>
<p>このケースの要償却額(費用にすべき総額)は300万円ですが、毎期の価値の減少額は客観的に把握できないため、あらかじめ決めた方法により算定します。</p>
<p>上記の例では「定額法」を採用しています。定額法とは、減価償却費を毎期均等額とする方法です。よって、300万円を3年間で均等配分することになるので、100万円が毎期の費用となります。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-large wp-image-40362" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-2-570x168.png" alt="" width="570" height="168" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-2-570x168.png 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-2-250x74.png 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-2-768x226.png 768w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-2-110x32.png 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-2-180x53.png 180w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-2.png 1025w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>上記の例では残存価額をゼロとしていますが、残存価額がある場合は、残存価額を除いた金額が減価償却の対象になります(残存価額30万円なら、毎期の減価償却費は90万円〔=270万円÷3年〕)。</p>
<p>なお、定額法により計算したとしても、実際に毎期均等に価値が減少しているかどうかは定かではありません。あくまでも、みなし計算です(仮定計算という点は、棚卸資産の払出原価の算定と同じ)。</p>
<p>しかしながら、定額法による計算には合理性があります。それは、期間利益の平準化に資するという点です。もし、各期の減価償却費が異なってしまうと、期間利益(各期の利益)は大きくブレてしまいます。</p>
<p><img decoding="async" class="alignnone size-large wp-image-40363" src="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-3-570x269.png" alt="" width="570" height="269" srcset="https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-3-570x269.png 570w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-3-250x118.png 250w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-3-768x363.png 768w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-3-110x52.png 110w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-3-180x85.png 180w, https://www.njg.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/6-1-3.png 1002w" sizes="(max-width: 570px) 100vw, 570px" /></p>
<p>みなし計算である以上、期間利益がブレるような計算をするのは不適切です。この点、定額法によれば、毎期の減価償却費は同額となり、上記のようなデメリットを回避できるのです。</p>
<div class="notable-area">
<h4>ワンポイント</h4>
<p>期間利益の平準化という観点は、この後もたびたび出てくるから、しっかりおさえておこう!</p>
</div>
<h3>+α　正規の減価償却</h3>
<p>減価償却は、所定の方法(定額法や定率法など)により、毎期継続して規則的に行わなければなりません。この点を強調して、正規の減価償却と呼ぶことがあります。</p>
<p>正規の減価償却の対比概念は、恣意的な減価償却であり、恣意的な減価償却は禁止されています。例えば、「1年目はたくさん使用したから減価償却費は190万円、2年目はあまり使わなかったから50万円」と、気の向くままに減価償却費を算定してはいけません。もし恣意的な減価償却が認められてしまうと、「当期は利益を大きく見せたいから、減価償却は10万円だけにしよう」と、簡単に利益操作ができてしまうからです。</p>
<p>なお、正規の減価償却方法には、定額法以外にも定率法、級数法、生産高比例法があり、会社は自主的に選択することができます。また、途中で減価償却方法を変更すること自体は禁止されていませんが、変更する際は正当な理由が求められています。つまり、利益操作を目的とした変更は当然に認められません(継続性の原則)。</p>
<hr />
<h4>著者profile</h4>
<p>登川雄太(のぼりかわ・ゆうた)</p>
<p>[CPA会計学院]公認会計士講座 講師、[CPAラーニング]簿記検定コース 講師。専門は財務会計論。1986年生まれ。慶應義塾大学3年次に公認会計士試験に合格。慶應義塾大学経済学部卒業後、監査法人トーマツを経て、現職。CPA会計学院では、簿記入門講義(簿記3級の内容)から公認会計士試験の財務会計論まで広く教えている。</p>
<p>「楽しくわかる、わかるは楽しい。」をコンセプトにした簿記・会計をわかりやすく解説するウェブマガジン『会計ノーツ』を運営しており、そのページビューは月間20万PVを超える。著書に『世界一やさしい 会計の教科書 1年生』(ソーテック社)、『いちばんわかる日商簿記3級の教科書』『いちばんわかる日商簿記3級の問題集』(以上、共著〔CPA会計学院編著〕。CPA出版)などがある。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>交渉が苦手な人が取り入れたい心の習慣</title>
		<link>https://www.njg.co.jp/post-39742/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[haradamaho]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 16 Feb 2024 06:00:03 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ビジネスに役立つ]]></category>
		<category><![CDATA[仕事力を磨く]]></category>
		<category><![CDATA[業務スキルを身につける]]></category>
		<category><![CDATA[コミュニケーション]]></category>
		<category><![CDATA[交渉]]></category>
		<category><![CDATA[交渉術]]></category>
		<category><![CDATA[口下手]]></category>
		<category><![CDATA[気弱]]></category>
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					<description><![CDATA[交渉に苦手意識がある人の中には、「相手を説得せねばならない」「上手に話すべき」と考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、交渉を成功に導くために必要なのは、「…]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>交渉に苦手意識がある人の中には、「相手を説得せねばならない」「上手に話すべき」と考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、交渉を成功に導くために必要なのは、「交渉相手の話を聴く」こと、「自分の内面を整える」ことの2点であると心理カウンセラー弁護士の保坂康介氏は言います。今回は、交渉にもコミュニケーションにも苦手意識を持っている方に向けた新著 <a target="_blank" href="https://www.njg.co.jp/book/9784534060594/" data-wpel-link="internal">『心理カウンセラー弁護士が教える　気弱さん・口下手さんの交渉術』</a>から、「自分の内面を整える」ために気弱さん・口下手さんが、普段から取り入れたい心の習慣を教えます。</p>
<h2>「ねばならない」思考、 「べき」思考を手放していこう</h2>
<p>人との交渉を丸くおさめるためには、普段から「ねばならない」思考や「べき」思考を手放していくことも大事です。これは交渉時に限らず、持っていたほうがよい考え方でもあります。</p>
<p>そもそも「ねばならない」思考や「べき」思考とは何でしょう？　それは、自分の中で確立された「～とはこういうものだ」とか、「～とはこうあるべきだ」「～でなければならない」といったルールのことです。</p>
<h2>人によって行動の価値基準は異なっている</h2>
<p>例えば、「人には丁寧な言葉で接しなければならない」とか、「お金は無駄遣いせずに貯金をしなければならない」「目上の先輩には敬語を使うべきだ」といったようなものが挙げられます。こうしたルールは多くの方々がそれぞれに持っています。その中でも「丁寧」 とか「無駄遣い」「敬語」の評価は、人それぞれ違うのではないでしょうか。</p>
<p>人は皆、生まれ育った環境や遭遇した出来事などがまったく違うため、身を置いた環境、味わった経験によって、どのような言葉づかいであれば「丁寧」なのか、どんなお金の使い方が「無駄遣い」なのかは、人それぞれ基準が異なっているのです。</p>
<p>こうした自分の中で確立された「あるべき姿」や「ルール」を携えて相手との交渉をしていくと、当然に交渉相手の言動や提示条件に違和感を覚えたり、常識的ではないんじゃないの、と勝手に評価してしまうことが出てくると思います。</p>
<p>そうすると、自分の世界における正解にこだわり、交渉相手にも自分のルールを世の中のルールであるかのように押しつけあってしまい、交渉が難航してしまうのです。これが「ねばならない」思考、「べき」思考のデメリットです。</p>
<p>交渉を進めていくうえで大切なのは、感情に振り回されずに冷静さを保つことです。そのためにも「こうあるべき」や「こうしないといけない」という思考にしばられず、自分自身や他人に対してフラットな姿勢であることが望ましいのです。</p>
<h2>「ねばならない」思考、 「べき」思考が形成された要因</h2>
<p>「ねばならない」思考、「べき」思考は大きく分けて2つの過程で形成されます。</p>
<p>1つは幼少期の家族や周囲との関係性等の中で、自分が今後も生存し続けるために自らが編み出したものです。親から認められたい、他者から承認されたいという思いから、そのために「こうするべき」「こうであるべき」というルールを自らに決めてしまうのです。</p>
<p>もう1つは学校や部活動など家庭以外の場で受けた教育によって形成されます。僕は小、中、高校と野球部に所属していました。当時はいまより先輩後輩の上下関係が厳しく、先輩の言うことに異論を唱えることはご法度となっていました。違う意見や自分の意見を言うと生意気だと見なされていました。こうしたルールは、社会に出て通用するわけではありません。</p>
<p>逆に、社会に出てからは自分なりの意見を言わないままでいると、やる気があるのか、 などと違和感を覚える人のほうが多くなります。</p>
<p>でも、僕は社会人になってしばらくはこの思考癖が抜けず、意見を言うことができませんでした。目上の人には逆らったり反対意見を言うべきではないという思考が邪魔をしていたのです。こうした思考になっていると、同僚が目上の人に反対意見を言ったりしているのを見ると、その同僚に対して嫉妬を感じたり、イライラした感情が芽生えたりしていました。</p>
<p>こうした「ねばならない」思考や「べき」思考のために人間関係や交渉がうまくいかない人は、真面目で思慮深い性格の人々に多いと思われます。</p>
<p>「自分はそんな思い込みや思考はない」と思っている人であっても、自分自身を客観的に見つめてみると、意外と「ねばならない」思考や「べき」思考にとらわれていたりするものです。</p>
<h2>思い込みを外すと相手への許容性が高くなる</h2>
<p>もし自分の中にある小さなルールやこだわりを見つけた場合は、それをいったん手放してみることを試してみてもいいかもしれません。</p>
<p>また、他人や本との出会いによっても、自己の認識が高まることがあるので、普段とは違う本や人と出会う機会を意識的につくり出すようにしてみるのもいいですね。</p>
<p>自分の中で決めた、あるいは築き上げた「ねばならない」思考、「べき」思考をゆるめると、 交渉相手に対する許容性も増しますので、よりスムーズな交渉を見込むことができます。</p>
<hr />
<p>保坂康介（ほさか　こうすけ）<br />
1977年秋田県生まれ。弁護士／カウンセラー。明治大学政治経済学部卒。ドラマ「HERO」をきっかけに司法試験を目指し、2007年旧司法試験に合格。勤務弁護士として5年間の実務を経験した後、2014年に独立する。以降、東京都新宿区で法律事務所FORWARDを運営。延べ1500件以上の訴訟、調停、交渉代理の経験をする中で「理屈で攻めるより相手の心理も踏まえた交渉のほうが依頼者を幸福度の高い解決に導ける」ことを実感。2019年から心理学を学び、カウンセラー資格を取得。聴き方、伝え方、各種心理ワークを弁護士業務に活かすことで、ほぼすべての依頼者にとって満足度の高い交渉結果を生み出すに至っている。</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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