「財務諸表」読解入門
発売日 | 2011.01.19 |
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著者 | 高田直芳 |
判型 | A5判/並製 |
ページ数 | 256 |
ISBN | 978-4-534-04790-8 |
価格 | ¥2,200(税込) |
IFRSならではの「資産負債アプローチ法」と、日本に長く根をおろしてきた「損益アプローチ法」の違いを理解すれば、財務諸表の本質がわかるようになる!「裏側に隠された経営戦略」までも読み解く、IFRS後でも通用する本当の実力を身につけよう。
≪章立て≫
第1章 財務諸表は、経営戦略のために生まれてきた
第2章 地球規模で変貌する財務諸表とIFRS悪玉論
第3章 損益計算書が、資産と負債の二枚腰に寄り切られた
第4章 崩壊するコスト構造を前に、狼狽するニッポン会計基準
第5章 IFRSに抗う法人税法、それを宥める税効果会計
第6章 負債と純資産のランデブーに、経営指標が嫉妬した
第7章 資産の時価評価に怯えるのが、貸借対照表の宿命
第8章 新参者のキャッシュフロー計算書に、恐いものなし
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詳細
第1章 財務諸表は、経営戦略のために生まれてきた
【01】財務諸表って何?
◆1年を15か月で暮らす人々 022
◆財務諸表のカイゼン活動 022
◆財務諸表は、計算書類や決算書とも呼ばれる 023
◆個別財務諸表と連結財務諸表がある 024
◆これからの時代は連結財務諸表が中心 025
◆1年で4回も作る財務諸表 026
【02】財務諸表は企業の素顔をうつす
◆3つの性格を持つ財務諸表 027
◆企業は財務諸表で体を表わす 028
◆誤った会計常識が横行する 029
◆財務諸表の様式が、会計処理に修正を求める 029
◆財務諸表が国際会計基準IFRSによって統一される 030
◆貸借対照表と損益計算書が消滅する? 031
◆不易流行の財務諸表 032
◆国際会計基準へ、右へならえ 033
【03】財務諸表の歴史は500年
◆最初は貸借対照表の一輪走行 034
◆意欲に燃えたコロンブス 034
◆産業革命が損益計算書を生む 035
◆帝国主義が貸借対照表思考へ揺り戻す 036
◆世界大恐慌により、再び損益計算書思考へ 036
◆時代を画した後入先出法 037
◆21世紀の大転換 038
第2章 地球規模で変貌する財務諸表とIFRS悪玉論
【04】財務諸表が熟成する一歩手前
◆財務諸表の黎明期 040
◆収支と収益の違い 041
◆収入から支出へ 042
◆キャッシュを持ったら「左へ」 042
◆売掛金の増加が現金支出になる理由 043
◆キャッシュフローは貸借対照表と強い結びつきがある 043
【05】財務諸表の左と右、前と後ろ
◆企業を「金庫」に見立てる 045
◆アナタ貸す人、ボク借りる人 046
◆銀行員になったつもりで財務諸表を見る 046
◆キャッシュフロー計算書に勘定科目はない 047
【06】財務諸表は4つの箱が始まりだ
◆4個の箱と6本の矢印 049
◆資金の調達形態でまとめる 050
◆財務諸表の原型が見えてきた 050
◆安く仕入れて、高く売るのが商売の基本 051
◆財務諸表に温度差が生じる 051
◆貸借対照表は双方向性、損益計算書は一方向性 052
◆キャッシュフロー計算書の概要を少々 053
【07】複雑化する財務諸表へ警鐘を鳴らす
◆貸借対照表からも当期純利益を求められる 054
◆ちょっと注釈を 054
◆二枚目半の財務諸表 055
◆これがクリーン・サープラス関係 056
◆そしてダーティ・サープラス関係が続く 057
◆包括利益悪玉論 057
◆財務諸表の難易度が増していく理由 058
◆IFRS攘夷論の行く末を憂える 059
◆資本回転率の妙 060
第3章 損益計算書が、資産と負債の二枚腰に寄り切られた
【08】売上高の認識で現場は大混乱
◆初めに全体の体系を 064
◆2つの原則が損益計算書を代表する 065
◆ビジネスには原因と結果がある 065
◆どこで実現したかの原則 066
◆企業の都合で売上高を計上する 067
◆弾力性に富む国際会計基準 068
◆売上高の認識も、資産負債アプローチ法 069
◆商品の支配力は自分にあるのか相手にあるのか 070
◆税法が中小企業を泣かせる 070
◆百貨店業界の因習「うりし」が崩壊する 071
◆今度の日曜日にウィンドーショッピングをしてみる 072
【09】売上高にコストを対応させる難しさよ
◆売上高とコストには温度差がある 074
◆コストは徐々に冷めていく 075
◆個別対応と期間対応 075
◆原因と結果が逆になる引当金 076
【10】やっとの思いで損益計算書ができあがる
◆営業活動と経常活動の違い 077
◆経常利益の下は非経常的なもの 078
◆ニッポン人は利益がお好き 079
◆損益計算書のどこに注目するか 079
◆当期純損失でも評価できる経営指標が欲しい 080
【11】包括利益計算書の登場に息をのむ
◆損益計算書に、とんでもない尾ヒレが付いた 081
◆同じ段差の階段を下りたり上ったり 082
◆学説の対立で階段を下りる 083
◆コンバージェンスで階段を上る 084
◆ニッポンの企業が負う、絶対的なハンデ 085
◆ニッポンの君子は豹変せず 085
◆減算と控除の違い 086
◆税法の損益計算書と貸借対照表 086
【12】当期純利益の終焉といわれても
◆包括利益は混成部隊 088
◆「その他の包括利益」って、何様? 089
◆含み損益の吹きだまり 090
◆業績が苦しいときの益出し頼み 090
◆益出し操作のカラクリ 091
◆あの企業の益出しを封鎖せよ 092
◆当期純利益と包括利益のどちらを重視すべきか 093
第4章 崩壊するコスト構造を前に、狼狽するニッポン会計基準
【13】損益分岐点が崩壊する5分前
◆普遍的な損益計算書の構造を追い求める 096
◆固定費と変動費の例示 096
◆ワザと落とし穴に嵌り込む 097
◆CVP図表を片手に探検を開始 098
◆総コスト直線は1次関数の直線型 099
◆中空に浮かぶ損益分岐点 100
◆月次決算があるから固定費が生まれる 101
【14】コスト戦略に役立たぬCVP分析
◆実務は小説よりも奇なり 103
◆CVP分析は固定費を過小評価している 104
◆CVP分析は実務を顧みない空想の産物 105
◆実務を観察して見えてくるもの 106
◆CVP分析の本質は単利計算 107
【15】コスト戦略の本丸はどこだ
◆財務諸表は複利を内蔵する 109
◆ほんの少しの応用を 110
◆複利計算を基礎にしたコスト関数 111
◆複利計算に基づくコスト戦略 112
◆CVP分析とSCP分析の比較 114
【16】付加価値を高めるには何が「不要」か
◆付加価値とは「目に見えないもの」 116
◆事業付加価値の正体は「のれん」 116
◆控除方式から付加価値を求める 118
◆付加価値は固定費から構成される 118
◆付加価値経営の弱点 119
【17】操業度の過不足に右往左往する人々
◆損益分岐点比率を求める意味はない 120
◆敵(実際操業度)を知り、おのれ(予算操業度)を知ること 121
◆予算となるべき生産能力を、さっと求める 122
◆量産効果を最も発揮する売上高 123
◆量産効果には「底」がある 124
◆実際操業度率と予算操業度売上高を組み合わせて見えるもの 125
◆2つの損益分岐点と収益ゾーン 125
【18】減価償却がわかれば、しめたもの
◆減価償却がわかれば財務諸表の半分がわかる 127
◆固定資産の流動化とは何か 127
◆固定資産は「部分」では扱わない 128
◆均等に割り振る会計技術にすぎない 129
◆減価償却は歴史に揉まれてきた 129
◆定額法と備忘価額0円 130
◆定率法の別名は倍数法 131
◆定率法の特徴を2つほど 132
◆定率法と修繕費用はセット 132
◆国際会計基準は減価償却にシビア 133
◆資産を除去するまでの歳月は、企業を待たず 134
第5章 IFRSに抗う法人税法、それを宥める税効果会計
【19】利益と所得の違いに税法の意地を見る
◆財務諸表のブラックボックス、それが「税」 136
◆税金の種類いっぱい、いっぱい 137
◆財務諸表に計上される税金の居場所 137
◆当期中に稼いだ利益は、税額計算の基礎にならない 138
◆正しい財務諸表と、見栄えのする財務諸表 139
◆すべてを定めていなくても分厚い税法 140
◆別表四の仕組みを超カンタンに 140
◆税はジャンケンの後出し 142
【20】税の往復ビンタ
◆「益金不算入」を知る人は意外と多い 143
◆「益金算入」は洗い替えに端を発する 144
◆「損金不算入」は、ものには限度がある証拠 145
◆「損金算入」は財務諸表ではできず 146
◆国際会計基準が引き起こす無理難題 146
◆確定決算主義という「葵の御紋」 147
◆国際会計基準が減価償却をかき乱す 148
◆税の往復ビンタは痛かった 148
【21】税効果会計、初級の入り口
◆財務諸表の迷宮に入り込む 150
◆自然に解消される差異と、ずっとソリが合わぬ差異 150
◆税前純利益から所得金額までが一苦労 151
◆「損金不」算入と、「益金不」算入の闘い 152
◆税金の前払いは、いかほどに 153
◆当期がかぶった税負担は重い 154
◆繰延税金資産が生まれるにはワケがある 155
◆交際費は文句なくコストなのに 156
◆知られているようで知られていない実効税率 157
◆税効果会計は納税額を減らす効果があるのか 158
第6章 負債と純資産のランデブーに、経営指標が嫉妬した
【22】負債と純資産の分かれ道くねくね
◆貯蓄好きの国民性が5分類を生む 160
◆会社法の発想でファイナンス戦略を語ってはならない 160
◆負債と純資産の綱引き合戦 161
◆「他人資本+自己資本=使用総資本」という概念 161
◆他人資本と自己資本を構成するものたち 163
◆自己資本の中に内部留保がある 164
【23】節税対策がカネを呼ぶ
◆損益計算書の、簡単な復習 165
◆勇気をふるって銀行から借金をする 166
◆株主に頭を下げて出資を仰ぐ 167
◆ときには箇条書きでまとめましょう 168
【24】ノーベル経済学賞の醍醐味を味わいましょう
◆経営者の直感の正しさを証明する 171
◆犬も笑う命題 172
◆借金の増大は倒産リスクを拡大させる 172
◆マスメディアの自己資本比率信仰 174
◆経営リスクの小さいビジネスは借金が重要 174
◆経営リスクの大きいビジネスは自己資金で対応する 175
【25】ビジネススクールでは決して教えてくれない話
◆MM理論に一般公式や実務解は存在しない 177
◆ヒントは講義室ではなく、現場にある 177
◆他人資本と自己資本は反比例する 178
◆コシヒカリとササニシキ、どちらがお好き? 179
◆ほんの少しの知識と勇気を 181
◆中学の算数で一般公式を導く 182
◆最適資本構成の一般公式 183
◆最適資本構成の実務解を求める 184
【26】ファイナンス戦略のヘソがここにある
◆貸借対照表へ拡張する 186
◆自己資本コスト率をROEで代用する 187
◆負債と純資産の実務解を求める 187
◆ファイナンス戦略+コスト戦略=経営戦略に役立つ財務諸表 188
◆自己資本比率にファイナンス戦略はない 190
【27】全体最適化がファイナンス戦略をへこませる
◆ROEとROIは同じ穴のムジナ 191
◆株主から見るROEと、本社から見るROI 191
◆部分最適化の弊害とEVA 192
◆EVAは右肩上がりの成長を前提とする 193
◆混迷する経営指標の数々 194
◆限界利益は有用だが使えない 194
◆国際会計基準の時代に合った経営指標を 196
第7章 資産の時価評価に怯えるのが、貸借対照表の宿命
【28】流動性配列法とワンイヤールール
◆貸借対照表の並べかた 198
◆資産も債務の支払能力が試される 199
◆固定資産や固定負債には流動性配列法は不適用 199
◆営業循環基準と1年基準(ワンイヤールール) 200
◆敗者復活の1年基準 201
◆余談1:有価証券は売掛金よりも換金されにくいのか 202
◆余談2:「その他流動資産」と「その他の流動資産」は異なる 202
【29】投資有価証券の減損は、なぜ「50%」なのか
◆負債までもが金融商品になる 204
◆企業が保有するほとんどが「投資有価証券」 204
◆子どものお使いの減損会計 205
◆根拠は法人税基本通達にあった 206
◆すべての株を売ってみると仮定する 207
◆全(100%)か無(0%)の中間点 207
◆株価と覚醒剤に共通するもの 208
【30】棚卸資産という怪物は御しがたし
◆まずは商品と製品の定義から 209
◆業種と業態は異なる 209
◆水は原料となり材料にもなる 210
◆貯蔵品から副産物まで 211
◆仕掛品を数えるな 211
◆過剰在庫と在庫切れのド真ん中 212
【31】在庫に最適残高は存在するか
◆在庫の多重構造 214
◆常に最適在庫なら誰も悩まない 215
◆あっさり乗り越えるランニング・ストック方程式 215
◆最適在庫は、なるほどこうやって求める 216
◆勘と経験を働かせてみる 217
◆在庫の回転期間の求めかた 218
◆最適在庫をあっさりと計算する 218
第8章 新参者のキャッシュフロー計算書に、恐いものなし
【32】キャッシュに馴染めというのが無理な注文だ
◆「六重の塔」の基本は貸借対照表にあり 222
◆貸借対照表と損益計算書からの流れ者 223
◆キャッシュフロー計算書には直接法と間接法があった 225
【33】静のキャッシュと動のキャッシュフロー
◆読みとるチカラを養う 227
◆キャッシュの静の部分 228
◆キャッシュの動の部分 229
◆現金収入か現金支出か、それが問題だ 229
【34】営業・投資・財務たちの同床異夢
◆新参者の問題点 231
◆営業活動キャッシュフローの問題点 231
◆キャッシュフロー・マージンの登場 233
◆理論的な裏付けがないキャッシュフロー・マージン 233
◆売上高営業利益率の問題点 234
◆八方美人で時間軸のない財務活動キャッシュフロー 234
【35】EBITDAとフリーキャッシュフローの呪縛
◆EBITDAに潜む2つの問題点 236
◆債務償還年数とインタレスト・カバレッジ・レシオ 237
◆EBITDAはメタボリック指数 237
◆EBITDAの親戚に付加価値がある 238
◆フリーキャッシュフローとは何か 239
◆理論的な証明を怠った実務解 239
◆キャッシュフローに関する最後の「ひとこと」 240
索引 242
著者プロフィール
高田直芳
公認会計士・経営コンサルタント。昭和34年生まれ。都市銀行勤務を経て平成9年に公認会計士登録。監査法人に勤務後、独立。『明快!経営分析バイブル』(講談社)、『決定版ほんとうにわかる経営分析』(PHP)などのほか、『実例でわかる新しい決算書のつくり方』『高田直芳の実践会計講座「戦略会計」入門』『同「管理会計」入門』(以上、当社)など著書多数。