深海の不思議

発売日 2008.03.12
著者 瀧澤美奈子
判型 A5判/並製
ページ数 176
ISBN 978-4-534-04354-2
価格 ¥1,650(税込)

いまだ謎が多い深海の世界を「しんかい6500」に乗船経験のある著者が解明!その地形や環境を図解し、奇妙な生物もイラスト・写真で紹介。地球温暖化の影響、新エネルギー源「メタンハイドレート」の話題など、深海と地球環境問題との関係も解説します。

≪章立て≫
1章 深海と地球の気候変動
2章 深海はどんなところか?
3章 深海底はどんなところか?
4章 深海の生物ファイル
5章 深海探査技術と目的

オンラインストアで購入する

テキスト採用など、大量・一括購入に関するご質問・ご注文は、弊社営業部(TEL:03-3268-5161)までお問い合わせください。

詳細

1章 深海と地球の気候変動

 1-1 深層大循環 海の表層を流れる海流とはまったく別の深層流

 1-2 気候変動と深海 深海は長期的な気候変動に関係がある

 1-3 海の氷 いま北極海では何が起こっているのか?

 1-4 二酸化炭素の吸収と放出 温暖化対策にはCO2の分布や動きを知ることが大事

 1-5 海の酸性化 大気中のCO2が増えれば海水のCO2濃度も高くなる

 1-6 水温の上昇 海洋生物に忍び寄る地球温暖化の影響

 1-7 氷期の間の急激な温暖化 深層循環の変化と気候変動の深いかかわり

 1-8 エルニーニョ現象 太平洋の赤道付近広範囲を海面水温が数℃上昇する現象

 1-9 ラニャーニャ現象 東太平洋の赤道付近で海面水温が低下する現象

 1-10 テレコネクション 遠く離れた地点間でも気圧に相関関係がある

 1-11 海洋の変化 海水温のわずかな変動で地球環境は大きく影響する

 1-12 海洋大循環 深層大循環は弱まりはじめている?

 1-13 暁新世/始新生境界温暖極大期(PETM) 北極海がまるで亜熱帯の海のように暖かくなってい

     た!?

2章 深海はどんなところか?

 2-1 深さ 深海とは海のどの部分のこと?

 2-2 広さ 地球の海のほとんどは深海といっていい

 2-3 明るさ 人間の目が光を感じるのは水深400メートルが限界

 2-4 水圧 水深10メートルにつき1気圧の割合で水圧が増える

 2-5 音 深海は低周波のくぐもった音でにぎやか

 2-6 塩分濃度 深海の塩分濃度はほぼ一定になっている

 2-7 水温 深海の水温はどれくらい冷たいのか?

 2-8 深海での海水密度 水塊の位置や動きは密度が決める

 2-9 天気 深海でも嵐が起きることがある?

3章 深海底はどんなところか?

 3-1 深海を探る方法 深海底を「見る」には測ることから

 3-2 深海を宇宙から見る 人工衛星から深海底のでこぼこを見る

 3-3 海底地図 海底地図には地球の素顔が刻まれている

 3-4 地形 海底は3つの部分に分けることができる

 3-5 海底山脈 地球をぐるりと1周半する海底の大山脈「中央海嶺」

 3-6 深さ 最深部が1万メートルを超す地球一深い場所

 3-7 熱水噴出孔 煙突から湧き上がる海底温泉

 3-8 湧水域 硫化水素やメタンを含んだ冷たい湧水

 3-9 地磁気 海底に刻まれる地球の過去の記録

 3-10 海と陸 海底地殻は重く大陸地殻は軽い

4章 深海の生物ファイル

 4-1 プランクトン ギリシャ語で「漂うもの」という意味

 4-2 ネクトン 自分で泳ぐことができる海洋生物

 4-3 ベントス 海底に住んでいる生物はすべて「ベントス」という

 4-4 マリンスノー 深海を降る“雪”は食物連鎖の現われ

 4-5 マリンスター 真っ暗な深海に飛び散る青白い光のシャワー

 4-6 グロテスクな深海生物 個性的な顔は生きるために必要だった

 4-7 深海生物の特殊技能 獲物を捕らえるためのさまざまな工夫

 4-8 生きるための戦略 深海魚の浮き袋はどうなっているのか?

 4-9 カニやエビはし深海に住む種が多い

 4-10 頭足類 イカとタコも深海性の種が多い

 4-11 クラゲ 深海はクラゲの楽園で姿形もさまざま

 4-12 貝 鉄のウロコで身を守る不思議な巻貝

 4-13 生える動物 海底や岩に固着して一生を過ごす生物

 4-14 深海の巨大生物 マッコウクジラとダイオウイカのぶつかり合い

 4-15 有孔虫 星型の形が美しい「星砂」も有孔虫の一種

 4-16 ウナギの産卵場所 誕生の地ははるか日本から3000キロも離れている

 4-17 カムフラージュ 光を使って隠れる技「カウンターイルミネーション」

 4-18 目 弱い光を集めるために目が望遠鏡のように発達

 4-19 嗅覚 深海底の生物は嗅覚がすぐれている

 4-20 振動の感知 目の見えない深海魚は“気配”を感じ取る

 4-21 生物発光 深海生物は何のために発光するのか?

 4-22 熱水噴出孔生物群集 たくさんの生物が暮らす深海のオアシス

 4-23 湧水生物群集 冷たい水の湧き出し口も深海のオアシス

 4-24 鯨骨生物群集 腐ったクジラの骨を栄養にしている生物

 4-25 生命の起源 地球上で最初の生命が誕生した場所とは?

 4-26 栄養塩 豊かな漁場は海のどこにできる?

 4-27 日周鉛直移動 夜になると海面近くに現われる海洋生物

 4-28 生物の水平分布 表層の生物分布の影響は深くなるにつれてあいまいに

 4-29 生物の垂直分布 水深による環境の変化に生物はうまく適応している

5章 深海探査技術と目的

 5-1 飽和潜水技術 潜水病に陥らないための技術

 5-2 海洋観測の目標 海という1つの世界を丸ごと知ろうとする試み

 5-3 海洋観測の方法 現場の海で人が測る方法と自動計測する方法がある

 5-4 海水成分の分析 海水の主要成分は6つの元素からできている

 5-5 科学トレーサー 海の中のトリチウムや炭素14を観測する

 5-6 海洋音響トモグラフィ 音波の到着時間の違いから海洋中の温度を検出する

 5-7 無人探査機 安全な機械で深海の不思議を解明する

 5-8 有人潜水船 深海の広がりを間近に感じ謙虚に向き合える

 5-9 「しんかい6500」 世界で最も深く潜ることができる有人潜水調査船

 5-10 巡回探査 広大な海を知るために避けられない単純作業

 5-11 「うらしま」 機体にコンピュータを内蔵した海を航行するロボット潜水船

 5-12 海底掘削 海底をドリルで掘り進み採取したコアを分析する

 5-13 地球深部探査船「ちきゅう」 日本が建造した世界一大きな地球深部探査船

 5-14 メタンハイドレート 新たなエネルギー源と期待されているが問題も…

 5-15 マンガン団塊 深海底に転がっている黒っぽいゴツゴツとした塊

 5-16 生物資源探査 深海で微生物とその微生物がつくり出す酵素を探す

著者プロフィール

瀧澤美奈子

たきざわ・みなこ
1972年、長野県生まれ。文部科学省科学技術学術審議会「地球観測システム推進部会」臨時委員。東京理科大学理工学部物理学科卒業後、お茶の水女子大学理学研究科物理学専攻修了、修士。一般企業を経て科学ジャーナリストに。執筆や講演をとおして、より多くの人が科学的な好奇心を満たし心豊かに生きられるようなヒント作りを目指している。「しんかい6500」に乗船し深海探索の経験を持つ。著書に『深海にひめられた地球の真実』(旺文社)、『科学のニュースが面白いほどわかる本』(中経出版)、『図解「物理」は図で考えると面白い』青春出版社、『光の大研究』(PHP研究所)など多数。

関連書籍

ページのトップへ