「季節性」と「特徴的な動き」がポイント

そうであれば、「パワートレンドの状態」がいつ起こるのかがわかれば、個人投資家として弱い立場にある我々もその動きに乗じて投資をすることにより、買った銘柄にはすぐに利が乗って、カンタンに勝つことができる、といいえるはずです。

逆にパワートレンドでないときに投資をすると、それこそ意味のない動きに惑わされ、無駄な損切りをしたり、疑心暗鬼になって間違った利食いのクセを身につけてしまったりします。その結果、本当にトレンドが出たときには乗り遅れ、あるいは乗りきれず、苦労ばかり多くてまったく儲からない投資になってしまうのです。

ではパワートレンドの状態はいつ起こるのか? これを知ることは、実はそれほどむずかしくはありません。「季節性」をベースに「特徴的な動き」をチェックすればわかります。本書ではその考え方と手順を体系的にまとめています。

また、私自身の状況判断を、「株探(かぶたん)」というサイトの「伊藤智洋が読む日経平均」という連載記事で、毎朝7時過ぎに更新していますから、本書で基本を学んだ後は、日々それを参考にしていただいてもよいでしょう。

できるだけカンタンに大きく勝てる方法がベスト

「1年に2回だけ売買する人がいちばん儲かる」という書名は、できるだけカンタンに大きく勝つ方法がベストである、という本書の投資法をよく表しています。毎日必死で相場をチェックして、神経をすり減らしながら勝ったり負けたりを繰り返し、トータルでは大した儲けになっていない、というのは本当に時間と労力の無駄です。

統計的にみて、カンタンに儲けられるパワートレンドの時期は年に2回ぐらいしかありません。また、そのときに動く値幅も、データによりある程度は想定できます。これがわかっていれば、「どうなるんだろう」という疑心暗鬼ではなく、「こうなるはずだ」という強い気持ちをもって相場に臨むことができます。

そういう強い気持ちが結果として、株式投資で成功することにつながるのです。


 

伊藤智洋(いとう としひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。メールマガジン、株価、商品、為替の市況をネット上で配信中。『テクニカル指標の読み方・使い方』『株価チャート/テクニカル分析で儲ける!』(日本実業出版社)。『チャート革命』『FX・株・先物チャートの新法則』『株価チャートの実践心理学』(東洋経済新報社)、『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『儲かる原則』『投資家のための予想&売買の仕方マニュアル』(同友館)などの著書がある。