自動車・EV関連

かつては電子回路・家電製品と並んで日本の「お家芸」と呼ばれていた自動車産業。これまで競争相手として認識されていたのはGMをはじめとする海外自動車メーカーでしたが、近年はテスラ(EV)やGoogle・Apple(自動運転)など、異なるアプローチで参入してくる他業種との競争を余儀なくされており、国内自動車各社は危機感を募らせています(参考:(トヨタの未来)「生きるか死ぬか」破壊的変化迫る、17/12/5付日経新聞)

愛知県・豊田市にあるトヨタ自動車本社(photo by 気ままに街歩き/photoAC)

こうした状況から、外国人投資家は「日本の自動車産業は海外メーカーの後塵を拝している」という見方をしているのに加え、経産省主導で進められている燃料電池車の拡充は世界の潮流と流れを異にするものとして冷ややかな視線をなげかけています。

対照的に、自動ブレーキをはじめとする各種部品メーカーに対する視線は好意的なものが多いと菊地さんは指摘しています。

外国人投資家も日本の自動車部品メーカーは国際競争力が高いのに割安だと思っており、日本の完成車以外の海外メーカーとの取引も増えていることを評価しています。自動運転関連の銘柄は幅広く、デンソー(6902.T)やスタンレー電気(6923.T)などの自動車部品から、日本電産や日本セラミック(6929.T)などの電子部品、ルネサスエレクトロニクス(6723.T)やローム(6963.T)などの半導体、日立化成(4217.T)や日清紡ホールディングス(3105.T)などの素材までもが関連銘柄です。

一方で、EV化でいらなくなるエンジン回りの部品メーカーなどの株は、ショートしたいニーズがヘッジファンドにはあります。

いずれにしてもこのテーマへの外国人投資家の関心は高く、みずほ証券では2017年7月に「Mizuho 自動運転プロジェクト 今世紀最大の産業イベント『自動運転車』が走り出す」という多くの関連アナリストが参加するレポートを出して好評を得ました。

(本書P.126より、一部編集により追記)


以上、菊地さんの著書をもとに「外国人投資家が日本市場、および各セクターに対する注目ポイント」を紹介してきました。下図に示すように、投資家別の日本株の売買シェアは6~7割が外国人投資家となっているため、投資で成功するには、その動向を強く意識する必要があります。

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投資家別の日本株の売買シェア(本書P.36より引用)

本書ではこの記事で紹介した3つのテーマ以外についても解説されています。今後の日本市場の動向を左右する外国人投資家の実態と注目点を知るうえで、ぜひ参考にしてみてください。

  • 本記事は、2017年12月10日発行『日本株を動かす外国人投資家の儲け方と発想法』(菊地正俊著)の内容に基づいて執筆されたものであり、その判断は市況および外部環境次第で変わることにご留意ください。
  • 本記事は特定の株式および金融商品、投資戦略等への勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の判断で決定いただくよう、お願いいたします。