「話しかけられて返事をするときは、相手に聞こえる声で話す」。また、「相手を見て返事をする」ことも大切ですね。

この2つを、まずは親子の会話の中で取り入れてみてはどうでしょう。お母さんが子どもに話しかけるのなら、返事をするときにお母さんのほうを見るように教える。子どもの声が聞こえなければスルーしないで、「聞こえないよ」と言ってあげることで、聞こえる声で話す練習になります。

毎朝、親に起こされている

 「お母さんが子どもを起こすのをやめたときに、起きられるようになりますよ」

「何歳くらいから、1人で起きられるようになりますか」「いつまで親が子どもを起こせばいいのでしょう」というお母さんからの相談に、こう田嶋さんは答えるそうです。なぜなら、子どもが自分で起きる前に親が起こしている間は、1人で起きられるようにならないから。

しかし、ただ単に放ったらかすだけでは学校に遅刻してしまいます。それならば子どもが1人で時間に間に合うように起きるためのサポートにまわりましょう。

たとえば「明日から1人で起きようね」と話をして、子どもに目覚ましをかける方法を教えます。最初の数日は部屋のカーテンを開けて朝日を入れたり、音楽をかけたりして、目覚めを促してもいい。「起こす」のではなく、「起きる」のをサポートするのです。

子どもの自立は、親の姿勢次第です。「1人で起きられないから、毎朝起こすしかない」という親の姿勢が、子どもの自立を妨げているのです。しっかりしたお母さんほど、「まだまだ」と子どもから手を離そうとしません。しかし親が手を離さないと、子どもは自信をもてません。「1人で起きられるかどうか」さえ自信がもてないようでは、社会に出ることはとても無理です。

子どもが自分から離れていってしまうのは心配だし、寂しいですが、「もうこの子はできる」と、手を離す時期を決める勇気をもちましょう。

持ち物を親と一緒に揃えている

小学校に入学し、授業が始まると時間割にあわせて持ち物を揃える必要があります。親が子どもと一緒に「明日は体育があるから、体操服がいるね」「国語の教科書は入れた?」そんな会話をしながら、持ち物の確認をするのは、最初の段階では「良い習慣」です。

一般的にはそこからだんだんと親の手を離れ、自分で確認し揃えられるになっていくプロセスをたどっていきますが、いつまでたっても忘れ物がないか確認せずにいられない親もいます。

そこには「だって、忘れたら困るじゃない」「親が確認してあげた方が安心」という親心があるのでしょう。しかし、今一度考えてみてください。今後中学、高校と進み、社会人になってまで同じことを続けるのは現実的に難しいのではないでしょうか?

田嶋さんによると、いざ親が手を離すときに、「もう○○歳だから(何年生だから)、今日から1人でやりなさい!」と言っていきなり放りだす親が多いそうです。しかし、子どもは、○○歳になったからといって急にできるようになるものではありません。

子どもにとって一番かわいそうなのは、できないまま放りだされることです。できない子だから確認してあげるのではなく、できるようになるサポートをしてあげることが大切です。持ち物の準備も、ただ忘れ物のないように確認するだけではなく、自分で持ち物を揃えながら、少し先の未来を想像し、計画的にものごとを進める力を育てるサポートへとつながるといいですね。

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カホコは物話が進むなかで、成長の兆しがみえますが、まだまだお母さんとは離れられないようです……。

田嶋さんは同書のなかで、「自分の部屋に親が入って片づけても平気」「失敗して怒られないように努力している」「叱られたときに、何も言えない」など、親が気づくべき子どもの悪い習慣を教えてくれています。子どもとの毎日のなかで、「一人前の大人」になるために大切なことってなんだろうと疑問をもったお父さんお母さん、参考にしてみていかがでしょう。