「運動神経がない」と決めつける前に

運動が苦手そうなわが子を見て、「うちの子は足も遅いし鉄棒もできない。運動神経がないんだな」と決めつけていませんか? 少し待ってください。その前に考えてみるべきことがあります。

それは、子どもの「運動経験が足りているかどうか」ということ。よくいわれることですが、いまの子どもたちの周りには屋外で自由に遊べる場所が少ないために、どうしても身体を動かす経験が不足します。

本来、「ゴールデンエイジ」と呼ばれる神経系が著しく発達する幼児(5歳)から小学生(12歳)の時期にいろいろな外遊びを経験すれば、基礎的な運動能力は自然に身につきます。しかし、いまの子どもたちはそれができる環境で生活していませんから、運動能力が低くても仕方がない面があるのです。

そうはいっても何とかしてあげたいのが親心。もし自分の子どもの日常生活を振り返って、「運動経験が足りてないな」と思ったら、親子で運動する時間をつくってみてはいかがでしょう。

脳を混乱させるトレーニング?

そんなときに効果的な方法として、「コーディネーショントレーニング」があります。

『運動神経のいい子に育つ親子トレーニング』の著者である三木利章さんは、ジュニアサッカークラブを中心に多くの子どもたちを指導しながら、ジュニア期の運動や遊び、コーディネーショントレーニングをテーマに講演なども行っています。

コーディネーショントレーニングとは、たとえば「じゃんけんをしながらサッカーボールをパスし合う」といったような、複数の動きを同時に行う運動で、脳の働きを活性化する効果があります。

コーディネーショントレーニングを行うとき、脳は複数の作業を行う命令を次々に出さなくてはならないため、混乱しながらもいそがしく働き続けます。この負荷のかかった状態が脳を活性化させ、運動のための神経系を刺激して頭と身体の連動性が高まり、運動能力のアップにつながるのです。

三木さんは同書で、「簡単かつ手軽にできる」コーディネーショントレーニングのメニューを数多く紹介しています。どのメニューも、せまいスペースでも親子や友だち同士で楽しくでき、しかも効果的なものばかりです。

その中から、ほんの少しですが紹介してみましょう!

足でパス&手で風船打ち

2人で、足でパスを交換しながら手で風船を打ち合います。親子でも、友だち同士でもできますね。1回2回と回数を増やしていき、10回パス交換できるように、記録更新を目指しましょう。

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『運動神経のいい子に育つ親子トレーニング』(以下同書)60ページより