配当控除(申告分離課税:×/総合課税:○)

「配当控除」とは、配当所得を総合課税で確定申告することにより、配当所得の5~10%の控除が得られる(所得税の場合。住民税は1.4~2.8%)というものです。この控除は、日本国内に本店がある法人から受ける配当金に限って受けられるもので、外国株など海外法人から受ける配当等は対象となりません。

控除率は配当以外の所得(例:給与所得)に配当所得を加えることで算出した「課税総所得金額」で1000万円を境にして異なり、1000万円以下の場合は所得税10%・住民税2.8%、それを超えると所得税5%・住民税1.4%になります。

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課税総所得で1000万円が配当控除率の分かれ目(『平成29年申告用 あなたの確定申告』P.107より)

例として「課税総所得が195万円超330万円以下の人が、総合課税で申告した場合」を考えてみましょう。総所得がこの額だと10%の所得税がかかりますが、配当控除が10%受けられるので所得税分がまるまる戻ってくる計算になります。

損益通算(申告分離課税:○/総合課税:×)

損益通算とは「株の譲渡損失と配当金による利益を通算できる」というものです。譲渡損失と通算することで利益の総額を減らすことができるので、減少分にかかっていた税額が戻ってくるようになります。

また、損益通算しても引ききれなかった譲渡損は、最大3年まで繰り越すことも可能(繰越控除)ですが、確定申告をすることが条件となります。

借入金利子の控除(申告分離課税:○/総合課税:○)

信用取引による買い注文など借入金で株式を購入した場合、借入金についた利子は必要経費として所得から差し引くことができます。ただし、年間で支払った利子のうち「その株式をもっていた期間に対応する利子」だけが対象となるほか、すでに同年中に売ってしまった株式にかかっていた利子は譲渡所得の経費扱いとなり、配当所得の経費にはできないので注意が必要です。

総合課税と申告分離課税、どちらが得?

さて、この二つの課税方法、一体どっちを選んだら得をするのでしょうか? それぞれ見比べてみましょう。

金額にもよりますが、譲渡損がある場合は申告分離課税を検討してみるといいでしょう。極端な話ですが、配当で得た利益以上の譲渡損がある場合、申告分離課税で損益通算を行なうことで、源泉徴収された税金がまるまる戻ってきます。

一方、総合課税でトクをするには、自分の課税総所得金額と税率を考える必要があります。以下の表をご覧ください。

(『平成29年申告用 あなたの確定申告』P.109より引用のうえ一部編集)
(『平成29年申告用 あなたの確定申告』P.109より引用のうえ一部編集)