前回の記事では、主に譲渡益を主眼にして解説してきましたが、株取引による収益は「配当」によるものもあります。そして、「源泉徴収無しの特定口座(もしくは一般口座)」を開いて確定申告を行なうときに、税金を安く抑えるためには配当金を考慮に入れたうえで申告方法を選択する必要があります。

今回は、配当金にまつわる「確定申告を実際に行なうときのチェックポイント」について解説します。

※本記事は、2017年2月時点の情報をもとに構成されています。

株取引の確定申告では「配当金」の扱いも見逃せない

上場企業が発行している株(上場株)や投資法人などから得られる配当金は、受け取る段階で下記の税率に従い源泉徴収されているので、本来は確定申告をしなくても構いません(ただし、上場株の持株比率が3%を超える大口株主や、未上場会社の株などから得られる配当などは除く)が、申告の方法次第で納税額を抑えることができます。

※表中の所得税には、特別復興所得税を含む
 配当の種類税率
・(大口株主を除く)上場株式などの配当
・公募証券投資信託の収益分配など
所得税:15.315%
住民税:5%
・大口株主が受ける上場株式などの配当
・未上場株式などの配当
所得税:20.42%
(住民税は確定申告で徴収)

ちなみに、未上場会社の株などから得られる配当金が以下の計算式より少ない金額の場合は「少額配当」とされ、所得税の確定申告の義務が免除されます。

[少額配当の計算式]
10万円×配当計算期間の月数÷12

※配当計算期間が1年を超える場合には12か月として、配当計算期間に1か月に満たない端数がある場合には1か月として計算。

確定申告で得られるメリット

配当金を確定申告する場合の課税方法には「申告分離課税」「総合課税」の2種類があり、受けられるメリットが異なります。それぞれの方式と受けられるメリットの違いをまとめると、以下のようになります。

配当金にまつわる確定申告で受けられるメリットの違い(最下段は参考として掲載)

では、表中にある「配当控除」「損益通算」「借入金利子の控除」の各メリットについてみていきましょう。