(米「Yahoo! Finance」よりキャプチャ。一部加筆)
2017年2月3日 お昼前後の日経平均5分足チャート(米「Yahoo! Finance」よりキャプチャ。一部加筆)

通常、日銀の国債買入オペの通知時刻は10:10と14:00の2回ですが、10:10に通知された内容が市場が期待していたほどのものではなかっため、失望感から債券が売られ、長期金利は一時0.150%近くまで上昇しました(「債券価格と金利の関係」の解説記事はこちらを参照)。

日本国債先物(10年)30分足チャート(出典:世界リアルタイム株価指数)
日本国債(10年)先物価格の30分足チャート(出典:世界リアルタイム株価指数)

債券市場とほぼ時を同じくして、株式・為替の両市場も反応。債券市場参加者と同様の失望感や金利の上昇(=日米間金利差の縮小)もあって株式市場は急落。為替相場も円高ドル安の動きを見せました。

そして、11:30となり株式市場は昼休憩となります。株式市場が止まっている間も為替・債券市場は動いていますが、そこでは極度に値が変わるような動きはしていませんでした。そのまま14:00まで推移するかと思われましたが、株式市場の後場寄りでもある12:30、日銀にしては異例の時間に次のような発表がありました。

種類:国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)(注4)
スタート日:2017年2月7日

(注4)国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下)の固定利回較差は、0.006%。この結果、10年利付国債345回の買入利回りは、0.110%となる。買入金額に制限を設けずオファー。

(日本銀行「オペレーション(日次公表分) 2017年2月3日」より一部抜粋)

中身は、イールドカーブ・コントロールの一環として昨年11月にも行われた「買入無制限の指値オペ」でした。昨年の指値オペは「前日終値に対し高い金利(=安い債券価格)で買入」という魅力のないものでしたが、今回は「0.150%近くまで上昇した金利を抑え込むためのオペ=市場価格より高値で債券を買入」というものでした。

これを受け、債券市場は上の図のように債券価格が急上昇(=金利低下)。また、前ページの図のように株式市場も後場寄りで急騰、為替相場も高値をとるなど、各市場は大きく反応しました。

日銀が異例の時間にオペを公表をした理由や、こうした方法に対する評価はアナリストや市場参加者によってさまざまですが、このように何かが一つ動くと、単一の市場だけではなく他の市場も相関的に動くのがよくわかると思います。


このように、経済を表すものとして最も身近な株価は、金利や為替などさまざまな要因を受けて動くものです。投資をするならもちろん、するつもりがない人でも、株価の動向を注視することで社会の動きを確認することができるので、興味を持ってみてはいかがでしょうか。