上司が情報を伝えたとき、「わかりました!」と部下は答えるものです。しかし、情報共有の質を高めるためには、「理解できているかどうかを確認しようか?」と「双方向での情報共有」を行なうことが大切です。

「今の内容でわかったと思うけど、念のために復唱してもらえるかな?」
「理解できているかどうかを確認してみようか」

このように双方のもっているイメージを面倒でも確認していくことで、ズレをなくすことが可能になります。

伝え方が、もめる原因に(photo by 青江/photoAC)

「もっと発言してよ!」は部下にとって恐怖のフレーズ

顧客が求めているニーズを考え、会社の方向性を決める会議。そこで重要になるのが、お客様に近い立場にいる若手メンバーの意見です。

しかし、多くの会社では「部下やメンバーが全然発言しない」というのが実情。これは、部下は「発言しても、意見を受け入れられない」という恐れを感じているからです。

このようなとき、上司は部下に「もっと発言してよ!」と言ってしまいがちですが、部下にとっては「全員の前で否定されるくらいなら言わない方がマシ」と、ますます口を閉ざすことになるだけです。

実際にせっかく意見を述べても、反論されたり、採用されないことはよくあるものです。しかし、意見が採用されないことと否定されることは、まったくの別のことだと、部下に伝えましょう。

部下の発言を引き出したければ、事前に部下から話を聞いておくことです。

たとえば、会議のテーマがあらかじめわかっていれば、そのテーマに関する意見を前もって部下に聞いておきます。そして、会議の場では部下に「先日のあの意見は私も同感だから、ここで提案してみてくれないか」と促せば、部下は「共感してもらっている」と安心し、発言しやすくなります。

またこのように上司が発言を促すことで、他のメンバーからの賛同も得られやすくなります。部下からすれば、採用されなくとも、会議のメンバーから、「そういった考えもあるよね」「その意見を検討してみようか」と肯定的に受け入れられることで、勇気を出して発言することにメリットを感じるようになります。

そのためにも、上司は部下が発言しないということをただ責めるのではなく、発言しやすい、安心できる場づくりが必要なのです。

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本書では、気持ちよく仕事ができるようになる「部下の動かし方」を、NGなやり方とOKなやり方を対比しながら具体的に解説しています。部下との誤解やすれ違いをなくし、お互いが成長する関係を目指し、今日から取り入れてみてはいかがでしょうか。