[回答]
関係ないと言い切れるのは、株価ではなく「売上や利益」に対して
です。この点、本書の説明不足のため、勘違いされたら申し訳ございません。たしかに、個別銘柄の株価は日経平均や為替レートと動きが似てくるので、連動していると判断することもできますね。

一般に、個別銘柄の株価は短期的には市況や景気によって、長期的には業績を受けて変化していきます。しかし、現実には業績よりも日々の株価材料によるモメンタム(勢いや強弱のこと)の影響のほうが圧倒的に大きいので、純利益の伸びよりも、アベノミクスという全体の勢いによる押し上げ効果のほうが、短期的には株価に大きな影響を与えます。

もう一つの「為替と営業利益の関係」につきまして、ロイター社が公表した資料によると、非製造業の営業利益(為替変動を除く実質ベース)は15.2兆円(2013年度)から18兆円(2015年度)へと増加しています。このときの為替(ドル円)の値動きは、80円台(2013年1月)から120円台(2015年)という円安トレンドでした。為替変動による影響を除いた資料でこの数字ということは、「それだけ成長を続けている」と言えるのではないかと思います。

[質問]
今から私も長期投資を行なったとして、坂本さんのような収益(134万円→5000万円超、約37倍)を得るのは厳しいように思えますが、実際のところどうでしょうか?

[質問の背景・理由・補足]
直近10年で景気の大底ともいえる2009年1月から現在(2016年11月)では日経平均はおよそ11000円上昇、ドル円も35円ほどの開きがあります。そのため、やや意地悪な見方をすると「長期保有で2009年の134万円から2015年には5000万円と、約37倍も資産が増えたのは、こうした経済環境の波にうまく乗れたからでは?」といえるように思います。

こうした市況の違いと、前の質問にもある「小売株の成長もある程度景気や為替に左右されるのでは?」という疑問を踏まえると、今以上の日経平均および為替の伸びがないと厳しいのではないでしょうか。仮に、前述の約37倍にもおよぶ収益を得ようとするならば「現在の日経平均に11000円を足した約30000円(1990年頃の水準)、ドル円は約150円(1992年頃の水準)」になるくらい市況の変化がないと厳しいように感じられます。

日経平均の最大チャート(アメリカ版「Yahoo! FINANCE」よりキャプチャ、画像をクリック・タップで拡大)
日経平均の最大チャート(アメリカ版「Yahoo! FINANCE」よりキャプチャ、画像をクリック・タップで拡大)

[回答]
次の5年でさらに37倍にするのはまず不可能
だと思います。5000万円のさらに37倍は18億5000万円ですが、そこまで拡大できないでしょうね。私もそうなっているイメージが湧きません……。

正直なところ、本書の4章・5章で掲載した事例は、その当時で割安かつ伸び盛りだった銘柄を掲載しています。もちろん、成長がまだまだ続く会社もありますが、PERがすでに割高といえる状態にまで達しているので、読者のみなさまに対しても今はお勧めできないし、私自身が設定している「買いの条件」にも当てはまりません。

※例えばアークランドサービスの場合、平成37年までの成長戦略というプランが親会社であるアークランドサカモトのIR情報に記載されていました(2015年12月に出ていた当時のIR資料)。それによると売上高1000億円、営業利益100億円目標と書かれていました。2016年の売上高が209億円、営業利益が29億円だったため、ここから3倍以上になると予想できます。

そのため、新たな「割安かつ成長力のあるお宝株」を袋とじにし、本書の特別付録として掲載しました。袋とじにある銘柄は、今はまだ知名度も低く出来高も多くないため「本当にこの株を買って儲かるのか? 大丈夫なのか?」という不安もあると思われますが、この中から新しい大化け株がいくつも生まれるはずです。